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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
精霊の森編
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第二百五十二話・ドリアードの仲裁



森林での精霊達との戦いは更に白熱していった。

フレア、ジン、サラはそれぞれ魔力を高め、全力のエネルギー波を互いにぶつけようとしていた。

このままでは森に甚大な被害が及ぶかもしれない。

だがその時、突然両陣営の間を割って入るように仲裁者が現れた。


「誰だ !?」


三人は呆気にとられ、エネルギー波を撃つのを中断した。

緊迫したムードは一気に消し飛んだ。


「リア……お前……」


仲裁に入ったのは、一人の美しい女性だった。

大人びた雰囲気で緑色に輝く妖艶なドレスを身に纏っていた。

どうやらジン達の仲間のようだ。

彼女も精霊なのだろうか……。


「おーい~皆~」


戦いが中段された所にミライが体を重そうにしながらやって来た。

翼に水が含まれ、飛ぶことが出来ないようだ。


「ミライちゃん……」

「無事だったんですね……」


何処も怪我をしてないようで、私達はホッと胸を撫で下ろした。


「ジン、サラ……この者達は邪悪な存在ではありません……今すぐ戦いをやめてください」


リアと呼ばれる女性は宥めるようにジンとサラに言い聞かせた。


「何言ってんだよ、こいつらは精霊の森に侵入してきた賊共だぞ !?」

「ジン、落ち着いて下さい、彼女達が賊に見えるはずないでしょう……それに……」


リアは私を指差しながら続けた。


「このお嬢さんは貴方の攻撃から体を張って仲間を庇いました……そんな人が悪党とは思えません」

「それは……」


リアの言葉にジンは反論出来なかった。

サラも罰が悪そうにうつ向いた。


「ジンとサラがご迷惑をかけて申し訳ございませんでした……勝手に侵入者と決めつけ、襲い掛かってしまって……」


リアは申し訳なさそうに頭を深々と下げた。


「いえ、誤解が解けたので良かったです……所で貴女は……」

「申し遅れました、私は樹の上級精霊ドリアードのリアと申します」


リアは丁寧に自己紹介をした。

彼女から感じる魔力はジンと同等、それ以上だった。

上級精霊の名は伊達じゃ無さそうだ。


「リア……貴女も生きていたのですね……」


ランプの中でリトは小声で呟いた。

ジンだけではなく、リアのことも知っているようだ。


「ふう……もう少し遊びたかったのだが……まあ良いか……ワカバよ、私はランプに戻るぞ」


興が削がれたのか、戦う理由も無くなり、つまらなそうにフレアはランプの中へと消えていった。


不死鳥(フェニックス)……伝説の幻獣を召喚獣にしてるなんて、お強いんですね」


リアは私を見つめながら微笑んだ。

フレアの正体が不死鳥(フェニックス)だと見抜くなんて……この人の洞察力は並みじゃない……。


「マジかよ、不死鳥(フェニックス)なんて反則だろ…… !」

「しかも人間の姿のままで私達を子供扱いするんだもん !」


フレアの正体が不死鳥(フェニックス)と知り、ジンとサラはかなり驚いている様子だった。


「あの皆さん、危害を加えてしまったお詫びに精霊の世界にご招待したいのですが……」


仲直りの証にと、リアは私達に精霊の世界に来てほしいと提案した。


「おい、こいつらを神聖な森の中へ案内するのかよ !」


リアの提案にジンは猛烈に反対した。


「ジンは黙っていて下さい、それに、数千年ぶりのお客様ですよ ?」


リアは少し嬉しそうに見えた。


「ど、どうしますか? ワカバちゃん……罠かも知れませんよ……」


リリィは懐疑的な様子だった。

まあいきなり襲い掛かってきたし……無理も無いか……。


「心配ない、仮に罠だとしても私が全員蹴散らせば良いだけのことだ」


ランプの中からフレアの声がした。

なんて物騒な……。


「まあ良いじゃない~皆仲良くが一番だよ~それに精霊さん達の世界なんてロマンチックだよ~」


リリィとは対照的にミライはワクワク胸を踊らせていた。


「わ、分かりました……是非お願いします」


リアさんが私達を騙そうとしてるようには見えないし、彼女を信じることにした。


「有難うございます、では案内しますね」

「お、おい…… !」


リアは戸惑うジン、サラを置いて私達を案内した。


道中、彼女から色々と話が聞けた。

精霊女王と呼ばれる存在が森全体に結界を張り、本来は精霊以外が精霊の世界に入ってこられないようになっていた。

だが最近は精霊女王の力が弱まり、結界の守りが不完全になり、それを良いことに魔物や魔族が侵入するようになった。

精霊の中でも戦闘能力の高いジンとサラが侵入してきた魔物や魔族を退治していたようだ。

私達が迷い込んだのも結界が弱まっていたせいらしい。


「…………」


それよりも、気になるのがリトの方だ。

さっきから借りてきた猫のように大人しく、一言も喋らない。

リトは昔精霊でこの森を懐かしいと言っていた。

ジンに会ってからの取り乱しよう……夢に出た親友ってジンなのかな……。

自分で滅ぼしてしまったはずの精霊の森が無事で、親友も生きていた……。

きっと気持ちの整理がついていないのかも知れない……。


「こちらです」


あれこれ考えているうちに、私達は精霊達の住む神聖な領域へとたどり着いた。


To Be Continued

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