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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
スライムの来襲編
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第二百三十八話・作戦会議



エルサ、ヴェルザード、ルーシーが牢獄へ向かってる間、私達はオールアプセクトハウスにて作戦会議を開いていた。

メンバーは私、マルク、コロナ、クロス、ミライ、リリィ、グレン、エクレアだ。


スライは今までの敵とは比べ物にならない厄介な相手だ。

私はスライと戦った経験を元に皆と対策を話し合った。


「スライの恐るべき特徴は成長速度が凄まじい所ですね、最初は私でも何とか戦えていたんですが、短時間のうちに私を上回る戦闘能力を身に付けました……」

「成る程……確かに厄介だな……」


相手の戦い方を瞬時に学習し、知能の高さ……まさしく自然ならざる力だ……。


「つまり長時間戦うのは危険てわけだな、短期決戦が理想か……」


マルクは腕を組み、眉間に皺を寄せながら考えた。


「所でそのスライムって他人の魔力を吸収するのよね ?」


エクレアが話に入ってきた。


「そうですよ、奴は触れただけで相手の技をコピーする事が出来ます、反則ですよ」


ランプの中のリトが憎らしげに語った。

リトはスライとの戦闘で炎の魔力をコピーされ、挙げ句に体内に吸収されかけた。

フレアの助けが無ければ危なかった。

それだけではない、スライはどれだけバラバラに肢体を切り刻まれても即座に再生する異常な生命力を持っている。

相手からダメージを喰らってバラバラになったとしても再生し、ついでにパワーアップを果たしてしまう……。

その強さに限界は無い……。


「肉弾戦も遠距離からの攻撃もスライムを刺激して強くさせてしまう……手の打ちようがないな……」

「方法なら……あるよ……」


全員が頭を悩ませている中、黙って聞いていたコロナが口を開いた。


「私の魔法なら、一撃で倒せる……と思う……」


コロナは弱々しく遠慮がちに言った。


「成る程……確かに !」


コロナを見つめながら、クロスは声を張り上げた。

彼女は一撃で敵を葬る程の威力を持つ魔法、光冠爆破(コロナダイナマイト)の他に六属性の魔法が合わさった究極魔法、渦流最高光(ボルテックスプリーム)を使うことが出来る。

命中すれば流石のスライも一たまりもなく、跡形もなく塵になるだろう。

これだけの一撃必殺技を持ってるのはリト以外だとコロナくらいしかいない。


「コロナの魔法か……確かに威力は申し分ない……」

「私も一撃でやられちゃったしね」


エクレアはクスクスと笑いながら言った。

確かに一撃でやられてたな……。お母さん……。


「でもあれだけの威力の技、そう何回も使えないだろ ?」

「はい、だからスライに避けられないよう確実に当てる必要がありますね」


グレンとリリィが指摘した。

そう、問題点はそこだ。

コロナの究極魔法は大量の魔力を消耗する。

スライは獣のように機敏に動き回る……外すことは許されない……。


「まあそこは私達でカバーするよ~」


にこやかで呑気そうにミライは宣言した。


「ミライちゃん ?」

「私達が頑張ってスライムの動きを封じれば良いんでしょ~」

「成る程……」


ミライ達がスライを撹乱しているうちにコロナが魔力を溜め、動きを封じた所を外さないよう一気に魔法を浴びせる……。

これがミライの考える作戦だ。


「時間稼ぎと足止めか……スライ相手に上手くいくか正直自信ねえけど、他に良い作戦も無さそうだし、賭けてみるか ?」


マルクはやや乗り気では無さそうだったが、やってみる価値はあると判断した。


「そうですね、コロナちゃんが魔法を発動させるまでの間、皆で頑張ってスライを食い止めましょう !」

「「「おー !」」」




作戦も粗方決まり、全員の気持ちも一つに纏まってきた。

後はエルサ達が戻ってきた時に作戦内容を伝え、戦いの準備をしてから全員でスライに挑む……。

その予定だったが、すぐに狂い出した。


「大変です !無限(メビウム)結束(ユナイト) !!!」


騎士の男が血相を変えて私達の元へやって来た。

全身泥だらけでだいぶボロボロの様子だ。

ただ事でないのは確かだった。


「どうしたんですか ?何かあったんですか ?」


年長者であるエクレアが優しく騎士の男に尋ねた。


「わ、私は……王都ガメロットからの使者です……!今すぐに救援を要請したい !」


男は息を切らしながら話を続けた。

相当長い距離を走ったのか、疲弊し、大量の汗をかいていた。


「王都ガメロットに!?……何があったんですか ?」


王都ガメロットはこの世界でも一、二を争う大都市だ。

巨大な外壁に囲まれ、何百人もの騎士達が見張り、警備も厳重だ。

人工も多く、経済も発展している。

そんな王都が襲撃されることなど滅多に無いことだった。


「はぁ……はぁ……突然謎の青い化け物が現れて……現在街は大混乱です……! たまたま居合わせた堅固(ソリッド)山猫(キャッツ)爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)が交戦しているお陰で被害は最小限に抑えられていますが……それでも後どれだけ持つか……! 」

爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)も…… !?」


間違いない、スライが王都を襲ったんだ。

ラゴン達でも歯が立たないなんて、相当パワーアップしているようだ……。


「丁度作戦も決まったことだし、早速向かうぜ !」

「おう !」


マルク、グレンはヤル気充分のようだった。


「主……今度こそあのスライムにリベンジして差し上げますよ」

「私もまだまだ暴れ足りぬからな、奴にはもっと玩具になってもらうぞ」


ランプの中のリトとフレアも闘志をメラメラと燃やしているのが分かった。


「エクレアさん、リリィさん、二人は留守番をお願いします」

「えー、またですか…… ?」


リリィは少し不満そうに言った。

確かにここ最近リリィは留守番ばかり任せてるな……。


「まあまあ、二人でパーティーの支度をしましょう」


そんなリリィをエクレアが慰めた。

エクレアさん気が早いな……。

スライムを討伐した後の祝杯のことを既に考えている……。


「まあ……エクレアさんが言うなら……」


リリィは渋々納得した。

まあ彼女に何かあったらヴェルザードに合わせる顔も無いし、これで良いのかも……。


私達はエルサ達と合流を待たず、大至急、王都ガメロットへ向かった。

メンバーは私、マルク、ミライ、コロナ、クロス、グレンだ。

果たして事前に考えた作戦が上手くいくのか……。

一抹の不安を抱えたまま、私達はスライに戦いを挑むことになった。


To Be Continued

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