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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
不死鳥の涙編
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第二百二十二話・リトvs不死鳥



遂に数千年の時を経てリトと不死鳥(フェニックス)は再び相対した。

不死鳥(フェニックス)はかつて自分を封印した宿敵を前にして怒りを沸々と沸き上がらせた。


「復活した所悪いですがまた封印して差し上げますよ」

「ほざけイフリート !数千年前の恨み……今こそ晴らしてくれるわ !」


怒りに満ちた声で叫ぶ不死鳥(フェニックス)


「時間が無いので、一気に終わらせますよ !」


リトは大地を蹴ると高く飛び上がり、物凄いスピードで不死鳥(フェニックス)に急接近し、後頭部に膝蹴りを叩き込み、先制攻撃を仕掛けた。


「ぐうっ…… !」


後頭部に激痛が走り、怯む不死鳥(フェニックス)


「はぁぁぁぁぁぁ !」


リトは体格差を逆手に取り、不死鳥(フェニックス)の巨体を飛び回り、風が吹き抜けるような速さで拳打を放った。


「ぬおっ !」


不死鳥(フェニックス)の身体中に衝撃痕が残った。

苦悶の声を上げながら苛立ちを募らせていく。


「すげえ……俺達が近付くことすら容易じゃ無かったってのに……」


ヴェルザード達はリトと不死鳥(フェニックス)の戦いを観戦しながら呆気に取られていた。

魔力が全快では無いとは言え、三人がかりでも敵わなかった強敵をリトは一人で圧倒していた。

流石は古代の魔人。


「調子に乗るな !」


だがそう長くは続かなかった。

不死鳥(フェニックス)は翼を羽ばたかせ、強風を巻き起こし、リトを強引に引き剥がした。

怯んで動きが止まった隙を狙い、不死鳥(フェニックス)は槍のように鋭い嘴でリトをつついた。


ザシュッ


「ぐはっ !あぐっ !」


槍で貫かれたかのような痛みがリトを襲った。

噴出した赤い血が嘴に付着する。


「こんなものじゃないぞ !」


不死鳥(フェニックス)は翼を大きく広げ、赤い光を纏い、風を切り裂くように勢いをつけてリトに体当たりをした。


「ぐわぁぁぁぁ !」


巨体にぶつけられ、小さなリトは彼方まで吹っ飛ばされた。


「ハッハッハ !まだまだこんなものでは済まさんぞ !」


不死鳥(フェニックス)は翼を広げら加速しながら滑空し、何度もリトに巨大な翼をぶつけ、リトに反撃の隙を与えず一方的に叩きのめした。


「そんな…… !リト…… !」


元々お互い炎属性である為大したダメージにはならない。

その上リトは皆から分けてもらった魔力で辛うじて実体化(リアライズ)出来ている状態だ。

魔人形態や蒼炎形態に変身する力は残っていない。

流れが変わり、不死鳥(フェニックス)が優勢となった。


「貴様はあらゆる炎を吸収してしまうからな……だが我が武器は炎だけではない !この鋭い嘴と鋼すら引き裂く翼で貴様の体を粉々にしてやる !」


なおも攻撃の手を緩めない不死鳥(フェニックス)

リトの体が透けて消え始めた。

このままでは何も出来ぬまま消滅してしまう。

なす術なくリトは追い詰められていった。




私達は空を見上げながらリトが一方的にやられているのを傍観するしか無かった。


「どうしたら……そうだ…… !」


私はふとランプを手に取り、じっと見つめながら名案を思い付いた。

ランプの中にはリトだけでは無く、魔獣コダイもいる。

コダイを召喚して加勢して貰う……そうすれば不死鳥(フェニックス)を倒せるかもしれない。


「無茶だよ……コダイを召喚すると、沢山魔力を消費する…… !」


コロナは心配そうに私に訴えかけた。


「分かってる……でもこのままじゃリトがやられちゃうから…… !」


リトとコダイを同時に召喚するのは負担が大きい。

でもリトは体を張って巨大な不死鳥(フェニックス)と戦っている。

弱音を吐いている場合じゃない。

だから私は最後まで耐えることにした。


「魔獣コダイ !お願い !力を貸して !」


私は力の限り叫びながらランプを突き出した。

ランプの注ぎ口がオレンジの光を放ち、中から巨大な魔獣が大地を震撼させ、土砂を巻き起こしながら姿を現した。


グオオオオオオオオオオ


コダイは天を仰ぎながら大気が震える程の咆哮を上げた。

不死鳥(フェニックス)もコダイの出現に反応し、攻撃を止めた。


「古代の魔獣…… ?魔界の生物が何故ここに ?」

「余所見厳禁ですよ !」


ドゴオッ


コダイに気を取られている隙を突き、リトは不死鳥(フェニックス)の顔面を蹴り飛ばして抜け出すとコダイの元に向かった。


「ぐう…… !あの小娘が呼び出したのか…… !」


不死鳥(フェニックス)は私の姿を見下ろした。

リトとコダイの実体化(リアライズ)を維持するのに大量の魔力を消耗し、私は息を荒げながら肩で呼吸をしていた。

いつ倒れるかは分からない。


「丁度良いところに来てくれました……コダイさん……私はもうすぐ消えそうなんですよ……少しで良いですから、炎を分けてくれませんか ?」


コダイはリトの言葉を聞くと口を開き、リトに向かって炎を吐きかけた。


「おおおお !力が戻ってきますね !」


リトは大量の炎を浴びるとその身に全て吸収した。

消えかけていた体が元に戻り、リトに力が戻った。


「ありがとうございますコダイさん、お陰でかなり回復しました、はぁ !」


リトは拳を握ると青いオーラを放ち、髪を青く染めた蒼炎形態となった。


「何だ……その姿は……」


不死鳥(フェニックス)は蒼炎形態のリトを見たことが無く、目を丸くして驚いていた。


「さあコダイさん、反撃開始ですよ」


リトはコダイの頭に着地した。

コダイは不死鳥(フェニックス)を睨み付け、咆哮を上げて威嚇した。


「上等だ……誰が来ようと、この不死鳥(フェニックス)の敵ではない !イフリートも古代の魔獣も……私が焼き尽くしてやろう !」


リトとコダイvs不死鳥(フェニックス)……。

古代を生きた者達が集った。

時代を越えて最後の決戦が始まろうとしていた。


To Be Continued

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