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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
ゴブリンの群れ編
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第百八十七話・小鬼の帝王



魔物達は獲物を逃すまいと体液を撒き散らしながら襲い掛かった。


「さあ、返り討ちにしますわよ !」


レヴィは刺々しい鞭を地面に叩き付けた。


「ミイラ男の恐ろしさを見せてやりますよ !」


ライナーは包帯を伸縮自在に操り、その辺に転がっていた岩を絡め取り魔物にぶつけた。

魔物達は岩を投げ付けられ、ダメージを負いながら怯んだ。


「ふん !ほあっ !」


その隙を狙い、サイゴは棍棒を豪快に振り回し、群がる魔物達を凪ぎ払った。


「アハハハハハ !!!」


レヴィは狂気に満ちた笑い声を上げながら棘鞭(ニードルウイップ)を振り回し、容赦なく魔物達に浴びせた。


黒羽(クロウ)分身(アバター) !」


クロスは数人に分身すると一斉に羽を広げ、羽根を槍のように四方八方に飛ばした。

羽根は弾丸のように降り注ぎ、魔物達を蜂の巣にした。


大地(アース)(リライト) !」


チュドドドド


コロナは杖を掲げ、オレンジ色に発光させた。

地面を這うようにオレンジ色の衝撃波が魔物達を飲み込んだ。


「よし !だいぶ数が減ったな !」


グレンは辺りを見回すと神器を握り、腰を低く落とし、力強く構えた。


「それはもしかして……神器ですの ?」

「あんな子供に使いこなせるんですか !?」


グレンの持つ神器を見て、レヴィ達は驚愕していた。


「行くぜ !雷撃連斬(ライトニングブレード) !」


ズバババババ


グレンは電撃を帯びた神器を振るい、目にも止まらぬ動きで残りの魔物達を切り刻み、一掃した。




「「「はぁ……はぁ……」」」


グレン達はなんとか協力し、魔物達から窮地を脱した。


「アンタ達のお陰で助かったよ、ありがとう……えっと……」

悪魔三銃士(メフィラストリニテ)ですわ !」


レヴィは強調しながら発言した。


「全く、こんな子供が魔物やゴブリンの巣食う洞窟に入るなんて、無謀すぎますよ」

「お前ら何の用でこの洞窟に入ったんだゾ ?」


サイゴは純粋な疑問をグレン達にぶつけた。


「俺達は最近暴れてるゴブリン達を一網打尽にする為にここまでやって来たんだ」

「ゴブリン達の巣窟に辿り着けば原因も解明出来るのではないかと思ってな」


グレンとクロスは丁寧に答えた。


「ちょっと宜しくて !?」


レヴィはライナーとサイゴの耳を引っ張り、グレン達から距離を取った。


「ちょ、なんすかレヴィさん !」

「これは利用出来るチャンスですわよ !」

「り、利用…… ?」


ライナーとサイゴはまだ察することが出来ずポカンとしていた。

レヴィはヒソヒソ声で二人に話した。


「あの子供達の目的は恐らくゴブリンロードの討伐ですわ……あいつらを上手いこと利用してゴブリンロードを弱らせ、私達が捕獲するのですわよ」

「成る程……」


ライナーとサイゴはレヴィの悪巧みに納得した様子だった。

いつも後先考えない無鉄砲な彼女だが、今回は頭が冴えたようだ。


「私達の新生魔王軍(ネオサタン)もゴブリン達に手を焼いていたのですわ……そこでゴブリン達を一掃するため、私達が派遣されたのですわ」


三人でのヒソヒソ話を終え、レヴィはグレン達との会話の続きを始めた。


「お互い目的も同じみたいですし、ここは利害の一致ってことで協定関係を継続させましょう」


ライナーはにこやかに言った。


「どうするグレン」

「まあ数が多いに越したことはないし……良いぜ、ただしゴブリン退治が終わるまでな !」

「モチロンだゾ」


グレンとレヴィは同盟の証として握手を交わした。


「さ、ゴブリンの巣を目指しますわよ !」




こうしてグレン一行はゴブリンの巣を目指し、洞窟内を探索した。

不安定な地形、突然襲い来る魔物、奇襲を仕掛けるゴブリン達などに悪戦苦闘しながらも、彼等は遂にゴブリンの巣窟に辿り着いた。


「ここですわ !」


巣窟は陸地を包み込むように水辺が広がっており、無数の魔物や魔族の骸らしきものが積み上がっており、辺り一面を覆い尽くしていた。


「キシャアア」


無数のゴブリン達が涎を撒き散らしながら侵入者を排除しようと殺意を露にし、ワラワラと沸いて出てきた。

中にはゴブリンの上位互換、ホブゴブリンも混じっていた。

だがいくらゴブリンを倒しても意味が無い。

彼等を異常に凶暴化させる原因があるはずだ。

グレン達はいきなりゴブリンと戦おうとせず、慎重にゴブリンから目をそらさずそれぞれ武器を構え、その場から動かずにいた。


ドスン……ドスン


突然地響きのような足音が聞こえてきた。

そして骸の山を突き破るように巨人が現れた。


グガァァァァァ


緑色の肌をした3メートル程の巨人は雄叫びを上げ、力強く胸を叩いた。

邪悪な赤いオーラを纏い、瞳の失われた白目で鋭くグレン達を睨み付けた。

ゴブリン達は巨人の叫びに呼応するかのように奇声を上げた。

間違いない、この巨人こそ、ゴブリン達を支配する王、ゴブリンロードだ。


「あれがゴブリンロードですか…… ?」

「今までの奴等とは何か違うゾ !」


ライナーとサイゴはゴブリンロードの放つ圧倒的な魔力を肌で感じ、萎縮した。


「こいつの魔力が、ゴブリン達を凶暴にさせていたのか……」

「どうするの ?グレン……」


コロナは怯えた目でグレンに尋ねた。


「知れたこと……俺達は魔王とだってやりあったんだ……ゴブリンロードくらい……ぶっ倒してやる !」


強大な敵を前に、グレンは臆することなく啖呵を切った。

流石は戦闘種族と言った所か。


無数のゴブリンを率いる小鬼の帝王、ゴブリンロードとの決戦が始まろうとしていた。


To Be Continued

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