第十五話・魔獣の脅威が騎士を襲う
私とエルサは森の中を探索した。森には強力な魔物が住み着いていた。その数や強さは林の時の比ではない。
しかも巨大でグロテスクな蟲ばかりである。精神が持つかどうか……。
リトは頻繁に実体化出来ないのでランプにいても使用できる「赤色放射」で襲い来る魔物を追い払った。
エルサは剣で華麗に舞い、魔物をばったばったと薙ぎ倒していた。その舞いはまるで踊り子のようだ。
私はエルサに庇われてばかりだった。
「すみません……。足を引っ張ってばかりで……」
私は申し訳なく思い、頭を下げた。
「気にするな、この程度どうってことはない、それよりも、君も怪我が無くて何よりだ」
エルサは息一つ切れていない様子だった。まさしく強者の風格。それに優しく気遣ってくれる。
人間出来てるなぁと思った。
「それにしても、エルサさんて本当に強いですね。あれだけの強そうな魔物を顔色一つ変えずに蹴散らすなんて」
「そうか?普段から鍛えてるだけだが……。まあお陰で筋肉がつきすぎて女の子っぽくないのだが……」
エルサは女子プロレスラーのように筋肉質な体をしていた。本人は若干気にしているようだったが……。
「貴方、エルフにしてはかなり肉弾戦に長けていますね。大抵のエルフは魔法が得意と思っていましたがね……」
唐突にリトがエルサに話しかけてきた。
「ただのエルフがここまで力をつけるのは普通ではありません、何かあるのでしょう ?」
「リト…… !」
「フッ、リトと言ったか ?人間にも強い者やか弱き者がいるように、エルフにも色々いる、それだけだ。それに私は騎士だ。民を守る為、悪を倒すため、強くなる必要がある」
何か上手いことはぐらかしたようにも見えた。
「さ、ワカバ、そろそろ行くぞ !」
エルサは前を向き、歩き出した。
「は、はい !」
私はその後をついていった。
「ぎゃああああああああ !!!」
突如男の悲鳴が聞こえてきた。
「何 !?」
「まさか……魔獣……!もしかすると、あいつらが…… !」
エルサは何かを察し、血相を変えて走り出した。
「エルサさん、待ってください !」
私も必死に後を追った。
駆け付けてみると、そこには巨大な魔獣が君臨していた。林でミーデが召喚したのとは比べ物にならないくらいの大きさをしており、魔獣は蜘蛛によく似た姿をしていた。
そして魔獣の横には頑丈そうな銀の糸に縛られ、血を流したボロボロの騎士三人組が転がっていた。武器がそれぞれ砕かれて散乱しているのが痛々しい。魔獣はこの三人を餌にするつもりだ。
「君達 !大丈夫か !」
エルサが三人に問いかける。
「き……筋肉……メスゴリラが……何でここにいる……」
リーダーが呻き声を上げた。
「こいつは……お前の敵う相手じゃ……ねえ……」
「早く……逃げろ…… !」
三人とも重傷を負っていた。
「クッ……あれだけ大口を叩いておいて、馬鹿な奴等だ……。ワカバ、私が三人を救出する。一瞬でもいい。君はあの魔獣の注意を引いてくれないか」
エルサはあの三人を助けるつもりだ。彼女は志都かに剣を抜いた。
「分かりました……」
私も覚悟を決め、首を縦に振った。
「頼むぞ…… !」
エルサは魔獣を睨み、剣を構え、走り出した。
魔獣は巨大な爪を振り上げ、エルサを貫こうとしていた。
エルサは鍛えぬかれた脚力と洞察力で華麗に交わし、三人の方へ向かっていった。だが魔獣の爪がエルサの行く手を阻む。思うように近付くことが出来ない。
「隙を作らなきゃ……」
私は拾った石を魔獣に向かって投げつけた。石は魔獣の体にコツンと当たった。
魔獣はギランと私を睨み付けた。
「ひっ…… !」
私はビクっと身震いした。
魔獣は足を折り曲げ、勢いをつけ、高くジャンプをした。そして、私の位置に向かって落下しようとした。
「主、走ってください !」
リトに言われるまでもなく、私は全力で逃げた。何とか直撃は避けられたものの、巨体が着地した衝撃は凄まじく、私は吹っ飛ばされてしまった。
「きゃあああ !」
私はギリギリの所で受け身を取り、ダメージを最小限に抑えることに成功した。
エルサはその隙に三人の元へ駆けつけることが出来た。エルサは剣で三人を縛っていた銀の糸を切り裂くと、持っていた応急薬を飲ませた。
「三人とも無事か」
エルサは手を差し伸べた
「てめぇ……何で助けた…俺達が嫌いじゃないのかよ……」
「そんなつまらない理由で助けない馬鹿が何処にいる。私は騎士だぞ」
エルサはニッと笑みを浮かべた。
「ちっ……気に入らねえな……」
リーダーは憎まれ口を叩きながらもエルサの手を取り、立ち上がった。
その時、魔獣は尻から毒針を放った。毒針の標準は油断しているリーダーを狙っていた。
「危ない !」
咄嗟にエルサはリーダーを庇った。毒針は彼女の右腕を貫いた。
「うっ…… !」
エルサは膝をつき、そのまま倒れてしまった。
私は倒れ行くエルサを見て、涙目になって叫んだ。
「エルサさぁぁぁぁぁぁん !!!」
To Be Continued




