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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
突入、魔王城編
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第百六十一話・独占欲



自室から抜け出し、魔王の部屋に向かった私だったが、ペルシアに見つかってしまった。

ホラー映画さながらの迫力で影から現れたペルシアは私の足にしがみついた。


「ちょっと…… !放して…… !」


私は足を振り払おうと抵抗した。


「ワカバ様……約束しましたよね……私と友達になってくれるって……それなのに……私が調理場にいる隙を狙って逃げようとするなんて……そんな変装までして……酷いじゃないですか……」


ペルシアは人が変わったかのように私を責め立てた。


「ご……ごめん……ペルシア……でも私には……やるべきことがあるの…… !」

「やるべきことって……私より大事なことなんですか…… ?」


ペルシアは私の背後に抱きつき、肩に顎を乗せた。


「ワカバ様……一人ぼっちだった私にとって……貴女は唯一友達になってくれた人でした……それなのに……私を裏切るんですか…… ?」

「そ……それは……」


ペルシアは私の体に密着し、決して離れようとしなかった。


「ようやく手に入れた幸せ……かけがえのない友達……誰にも渡しません……例えミーデ様……魔王様でも !」


私は足元に違和感を覚えた。下を見ると足が影に飲まれ、沼のように沈んでいった。


「ひっ…… !」

「ワカバ様、一つになりましょう……誰にも邪魔されず、永遠にこの闇の中で……」


私は抜けだそうともがくが下半身がどんどん影の中に引きずり込まれ、沈んでいった。


「誰にも奪わせない……ワカバ様は……私だけのものです……」


ペルシアは私の耳元で悪魔の囁きをした。

このままではリトの元に辿り着く前に影に囚われてしまう。


「誰か……助けて…… !」



私は必死に手を伸ばし、誰かに助けを求めた。

だが無情にも私の体は影に沈み、とうとう胸まで浸かっていった。


「誰も助けになんて来ませんよ……さあワカバ様……一緒に行きましょう……二人だけの理想郷に……」


ペルシアは狂ってる……私は彼女の異常性と執念に戦慄し、涙を浮かべていた。

いよいよ全身が飲み込まれようとしたその時……。


「いいえ、ワカバちゃんは私が助けます !」


沈み行く私の手を何者がが掴み、引っ張り上げた。

私は間一髪で影から脱出することが出来た。


「あ……貴女は……誰ですか…… !」

「私は無限(メビウム)結束(ユナイト)のメイドにしてワカバちゃんの友達……リリィです !」


私を助けてくれたのはリリィだった。

彼女は特注のフライパンを手に持ち、構えていた。


「リリィ……」

「大丈夫ですか、ワカバちゃん……ごめんなさい……探すのにだいぶ時間がかかってしまって……」


リリィはあちこち走り回ったせいか全身汗だくで服も埃にまみれていた。


「ううん、ありがとうリリィ……本当に助かったよ……」


私は心の底から安堵した。

魔界に連れ去られ、リトと引き離されてずっと不安だったけど、リリィと再会出来てホッとした。


「友達って何ですか……ワカバ様の友達は私一人で十分なんですよ ?友達は二人もいりません……私が消し去ります」


ペルシアは激しい憎悪をリリィに向けた。


「ワカバちゃん、あの怖そうな人は私が相手をします !」

「でも……大丈夫なんですか…… ?」


リリィ一人じゃ危険だ……相手は普通じゃない……。


「心配ご無用です、私だって修羅場を乗り越えてきてるんですから !

ワカバちゃんにはやることがあるんでしょ ?先に行って下さい !」


リリィは私に心配をかけまいと笑顔を見せた。


「私は吸血鬼(ヴァンパイア)の使い魔ですよ ?そんじょそこらの魔族とは違います !」


私はリリィを信じ、リトを探しに走り出した。


「ワカバ様 !」


後を追いかけようとするペルシアの進路をリリィは塞いだ。


「ワカバちゃんの後は追わせません !」

「邪魔ですよ、どきなさい !」


ペルシアは怒り、手から紫色のエネルギーの球体を放った。


カァンッ


リリィは即座に反応し、特注のフライパンで弾き返した。


「ふん、少しはやるようですね……でもワカバ様は私のものです……貴女にも……誰にも渡しません !」


ペルシアは紫色に光るオーラを全身に纏った。


「この魔力……彼女も上位魔族のようですね……」


リリィは警戒し、汗を滴しながらフライパンを構えた。


「あの人は危険です……絶対にワカバちゃんに近付けさせるわけにはいきません !」


メイドとメイドの戦いが始まろうとしていた。



私はあてもなく魔王の城の中を走り回っていた。

地図もないまま魔王の部屋に着くなんて奇跡に等しい。

またいつ兵士に襲われるか分からない。

今度見つかったらもう終わりだ。

私は勝算も無いまま走るしか無かった。


「主……主……」


突然、脳に聞き覚えのある声が響き渡った。


「その声は……リト…… ?」


To Be Continued

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