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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
突入、魔王城編
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第百五十八話・覚醒、ハイエルフ



史上最大のピンチを迎えたエルサだったが、土壇場で新たな姿に覚醒した。

エルフの上位種、ハイエルフである。

ハイエルフとなったエルサは黄金に輝く光を放ちながら剣を抜き、デビッドに刃を向けた。


「私は……貴様を倒す……」


エルサは静かに宣言した。


「どんな姿になろうが、魔界四天王にして偉大なる魔導師であるこの私を超えられるものか !」


デビッドは杖から火の球を放ち、牽制した。

だがエルサは瞬間移動でもしたかのようにこの場から一瞬にして姿を消した。


「何 !?」


デビッドの目にエルサが移動する姿は映らなかった。


「何処を見ているんだ……」

「なっ !?」


エルサはいつの間にかデビッドの背後に立っていた。


「この私が後ろを取られるとはな……小賢しい !」


デビッドは振り向き様に杖で凪ぎ払おうとした。だがエルサはそれを風のようにかわし、背後に回り込んでデビッドの背中を蹴り上げた。


「ぐほぉ !?」

「まだまだこれからだぞ ?」


背中を強く蹴られ、怯むデビッド。

エルサは容赦なく攻撃を加えた。


キィン キィン カキィン


ハイエルフと魔導師による激しい斬り合いが繰り広げられた。

剣と杖がぶつかる度、金属音が響き渡った。

エルサは更に加速し、デビッドを翻弄

した。目に映る暇すらなく音速で斬りつける。

デビッは全身が秒速で切り刻まれ、血飛沫が飛び散った。


「馬鹿な…… !何処にそんな力が…… !」


デビッドは次第に焦りが見え始めた。

エルサ、ルーシー、シュヴァルから有り余る程の魔力を奪い、デビッドは少なからず大幅なパワーアップを遂げている。

にも関わらず、エルサのスピードがデビッドを軽く凌駕していた。


「無駄だ……貴様は私には勝てん……」

「調子に乗るな小娘がぁぁぁぁ !!!」


激昂したデビッドは杖を天に掲げた。


黒雷(ブラックサンダー) !!」


デビッドの杖から黒い稲妻が放たれ、エルサを狙った。

だがエルサは体が勝手に動いてるかのように即座に反応し、高速で電撃を紙一重でかわした。

その動きは最早人間のものとは思えなかった。


「くっ…… !僅か短時間の間で、ここまで強くなるとは…… !!!」


エルサはいつの間にか、デビッドに接近し、間合いを詰めていた。


「はぁっ !竜巻激槍(トルネードスティンガー) !」


ドスッ


竜巻を纏った剣をデビッドの腹めがけて槍のように勢い良く突いた。


「ヌオワァァァァァァ !!!」


ドゴォォォッ


デビッドは吐血し、絶叫しながら吹っ飛ばされ、壁に激突した。

衝撃により、壁はめり込み、瓦礫が散乱し、煙が舞った。


「うっ…… !こんな……こんなはずでは…… !」


デビッドは重傷を負い、よろめきながら遂に膝をついた。

四つん這いになりながら拳で床を何度も殴り、屈辱に身を震わせていた。

エルサはそんな彼に向かってゆっくりと近付いていった。

デビッドは見上げると、目の前に凄まじい威圧感を放ちながら、エルサが立っており、鋭く睨み付けていた。

まるで巨人が立ちはだかっているかのように見え、錯覚したデビッドは狼狽し震え上がった。

数千年生きてきてかつてない程の恐怖心を味わった。


「たかがエルフの小娘ごときに……何千年も……魔王様に仕えてきた偉大なる魔導師であるこの私が…… !」


唇を血が出るほど噛み締め、かつてないほど感情を露にし、悔しさを隠せずにいた。


「哀れだな……デビッド……」


エルサは静かに呟くと、剣を大きく振り上げた。

その瞬間、デビッドの口元が僅かに歪んだ。


シュルルルル


「んっ……」


エルサの足元から無数の影が現れ、蔦のように全身に絡み付いた。

手足を縛られ、エルサは再び自由を失った。


「ハッハッハ !油断したな小娘ぇ !貴様ごときが私を倒そうなどと粋がるからだ !」


小物のように下卑た笑い声を上げるデビッド。

影はポンプのように脈を打ち、エルサの体内から魔力を吸い出した。


「んあぁぁぁぁぁ !!!」


魔力を吸い取られ、苦悶の表情を浮かべながら絶叫を上げるエルサ。


「残念だったな……折角ハイエルフに進化したのに結局魔力を奪われて終わるのだ !フハハハハ !!!」


勝利を確信し、勝ち誇るデビッド。

だが……。


バチバチィッ


「何だと !?」


エルサをがんじがらめに拘束していた影は破裂し、跡形もなく消え去った。

影と連動していたデビッドも衝撃で吹っ飛ばされ、壁に叩き付けられた。


「ぐふぅ…… !どういうことだ…… !何が起こったのだ…… ?」

「簡単な話だ……私の魔力を吸収し切れず限界を迎えてオーバーヒートしたのだ……」

「そんな馬鹿な…… !」


エルサの持つ魔力はデビッドの魔力許容量を遥かに超えていた。

相当の量を吸われたものの、彼女にとっては大した影響はない。

その事実はデビッドを絶望の底へと叩き落とした。


「わ……私が……負けるなど……」


純粋な剣術も、搦め手も通用しない……デビッドは極限まで追い込まれてしまった。

かつて滅ぼした村の生き残りの少女によって、デビッドは絶体絶命の窮地に立たされてしまった。


「今度こそ本当に終わりだ、デビッド……故郷の仇……今ここで討つ !」


エルサは腰を落とし、剣を大きく構えた。

遂に決着をつけるようだ。


「私の使命は……魔王様の復活…… !誰にも邪魔はさせん !この命に変えても !」


デビッドは最後の力を振り絞り、宙に浮き、エルサを真上から見下ろした。


「先程は何処ぞの首なし馬に邪魔され、不発に終わったが今回はそうは行かんぞ !貴様らをこの部屋ごと消し去ってくれるわ !」


デビッドは血管が浮き出るくらいに全身に力を込めた。

デビッドの頭上に巨大な魔方陣が現れた。


「消えてなくなるが良い…… !我が究極大魔法!暗黒新星(ダークノヴァ) !」


魔方陣から巨大な黒いエネルギーの塊が顔を出し、エルサ達を押し潰そうと隕石のように迫ってきた。

落下すれば衝撃で部屋ごと綺麗に消し飛ぶだろう。

デビッドによる最後の悪足掻きだった。


「フッ……面白いな」


だがエルサは目の前に巨大なエネルギーの塊が迫っていながら、汗一つながさず不敵に笑って見せた。


「その薄ら笑いがいつまで続くかな ?ハイエルフの騎士よ…… !これで最後だ…… !消えてなくなれぇぇぇぇぇぇ !!!」


黒いエネルギーの塊は今まさに地上を焼き

尽くさんとしていた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ !!!」


エルサは剣を構え、エネルギーの塊に向かって勢い良く一突きした。


竜巻直飛球(トルネードライナー) !」


剣から放たれた音速を超える風の槍は一直線に黒いエネルギーの塊を貫いた。

その瞬間、エネルギーの塊は石のように粉々に砕け、パラパラと破片が降り注いだ。


「わ…… !私の最大の技が…… !」


命を駆け、全身全霊を込めて放った切り札があっさり破られ、デビッドは開いた口が塞がらなかった……。

魔力をほぼ使い果たし、心は折れ、ただ呆然としていた。


「万策尽きたのか…… ?偉大なる魔導師よ……」

「ぐぅ…… !」


エルサは深呼吸をし、ゆっくりと剣を構え、助走をつけて床を蹴り、高く飛んだ。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ !」


ズバァッ


エルサは太陽のように眩い金色の風を全身に纏い、大きく腕を振り上げ、全力で剣を振り、デビッドに強烈な一太刀を浴びせた。


超過(エクシード)する一太刀(ワンソード) !!!」


「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ !!!」


デビッドは傷口から大量の血を流し、白目を向きながら落ちていった。


To Be Continued

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