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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
突入、魔王城編
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第百五十話・岩をも砕く、竜の爪



竜人(ドラゴニュート)の力を完全に解放したラゴンとガーゴイルの真の姿を露にしたゴルゴ……。

両者は互いに一歩も動かず、じっと睨み合っていた。

メリッサ達三人も固唾を飲んで見守っている。


「それが竜人(ドラゴニュート)の真の力か……先程とは比べ物にならない程の魔力を感じるぞ……」

「当たり前だ、さっきは油断しちまったが、今度はそうは行かねえぜ」


ラゴンは指をゴキゴキと鳴らした。

竜人形態となったラゴンは竜族最強。

国一つ壊滅させる程の戦闘能力を秘めている。

力が有り余り過ぎる為、滅多にこの姿になることは無い。

採石場でリト魔人形態と戦った時はそれほどまでの脅威には見えなかったが、あくまで相手が悪かったに過ぎない。


「でもラゴン、相手は全身が石で出来ているガーゴイルよ、私の石化光線も意味をなさなかった……」

「お前の全力(フルパワー)を持ってしても奴に傷一つつくかどうか……」

「ばーか、だから燃えるんじゃねえか……」


ラゴンは瞳の奥に炎を燃え上がらせた。

相手が化け物であればある程ラゴンの闘争心は燃え、止まることを知らない。


「お前ら、援護を頼むぜ」

「ええ」


メリッサはラゴンを信頼し、頷いた。

ラゴンはスーっと息を吸い込んだ。


ボオオオオオオオオオオ


ラゴンはゴルゴに向けて灼熱の炎を吹き掛けた。

ゴルゴは炎に飲み込まれ、全身が火柱となって激しく燃え上がった。

だが炎が消え、煙が晴れるとゴルゴの無傷な姿が露になった。

石のように頑丈な鋼の肉体は竜人(ドラゴニュート)の炎すら通さない。


「無駄だ……その程度の炎……俺には効かん……」

「今のはほんのご挨拶だよ !」


ドゴォッ


ラゴンは拳を握り、大きく振りかざし、ゴルゴの頬にパンチを喰らわせた。

先程と違い、石よりも硬いゴルゴの頬がめり込んだ。

岩をも砕く竜の鱗に覆われ、拳の威力が上がっていた。


「効いてる !」


ラゴンは痛みを覚えながらも笑って見せた。


「さっきよりは強いかも知れんがダメージのうちには入らんな……」

「確かにな……拳が砕けるかと思ったぜ…… !だがこの痛みこそが、戦いを盛り上がらせる !」

「面白いことを言うな…… !」


ゴルゴはお返しとばかりにラゴンの頬に拳をめり込ませた。

石で出来た拳の威力は凄まじく、常人なら顔面が砕け散るだろう。

だが竜の鱗に守られている為、ラゴンは血を吐き頬がめり込む程度で済んだ。

それでも激痛は防げない。


「良いパンチだぜ…… !だがこんなもんじゃないだろ、この前のイフリートの方がもっと痛かったぜ !」

「その減らず口……まだまだ余裕のようだな……」


ドガ ドガ バギ バギ


岩が砕けるような鈍い音が部屋中に響き渡る。

ラゴンとゴルゴの一進一退の殴り合いが展開された。

凄まじい勢いで繰り出される拳と拳の応酬。

頬が殴られる度、血と汗が舞った。


「流石ラゴン…… !あのガーゴイルと互角にやりやってやがる…… !」

「何言ってんのよ、相当無茶してるわよ、素手で何度も岩を殴ってるようなものなのよ ?ラゴンは楽しんでるようだけど体はとっくに悲鳴を上げてるわ ?」


ララはラゴンが劣勢であることを見抜いた。

根性と高揚感で痛みを感じていないようだが確実にダメージは蓄積されていた。

何千年もの間城を守り続けた石の番人と若輩の竜族では相手が悪すぎる。


「私達も加勢するわよ」


メリッサは二人に指示し、ゴルゴに向かって行った。


「ラゴン !一旦離れて !」


メリッサの叫び声を聞き、ラゴンはゴルゴから距離を取った。


「はぁっ !」


メリッサはゴルゴに向けて石化光線を放った。


「馬鹿め、俺にその技は通用しない」


ゴルゴは片手を掲げ、光線を受け止めた。

彼の片腕は鈍い灰色に染まっていく。


「元々石で出来ている貴方に石化光線を浴びせるなんて愚の骨頂なのは分かってるわ……でもね、何重にも浴びせたら流石の貴方でもどうなるのかしらねぇ !」


メリッサは執拗にゴルゴに光線を浴びせ続けた。

ゴルゴの全身が灰色に染まり、石像のように固まり


「こ、これは……」


ゴルゴは異変に気付いた。

自身の体がまるで粘土で固められたかのように石が体を覆っていくのを感じた。

体が重く感じ、僅に腕を動かすだけで息が上がった。


「……図ったな…… !」


遂にゴルゴの動きが止まった。

流石のゴルゴも執拗に石化光線を浴びせられ、体を外側から何重にも石で覆われればたまったものではない。

メリッサによる動きを封じる作戦は成功したようだ。


「今よ !」


四人はこれを好機と捉え、一斉に畳み掛けた。


竜人獄炎(ドラコブレイズ) !」

蜥蜴水砲(リザードハイドロ) !」


ラゴンは炎を、ザルドは水を放ち、赤と青の二つの属性が混じり合った破壊光線をゴルゴに浴びせた。

ゴルゴの岩よりも重い体は地面を離れ、地面を抉りながら壁際まで吹っ飛ばされた。

衝撃で壁は破壊され、砕かれた破片が散乱した。


「はぁぁぁぁぁ !蛇姫振動撃(ラミアクエイク) !」


追撃とばかりにララはその巨大な尻尾をバネに跳躍し、空中で一回転すると勢い良く尻尾を地面に叩きつけた。


ゴゴゴゴゴゴゴ


発生した衝撃波が地中を這い、壁にめり込んだゴルゴを襲った。


ドガァァァァァン


ゴルゴは大爆発を起こし、煙が発生した。

四人は身構えながらも目を離さずにじっと見つめた。


「やった……のか…… ?」


やがて煙が晴れると、石化した部分が剥がれ、傷だらけのゴルゴが姿を見せた。


「はあ……はぁ……この俺にここまでダメージを与えるとは……」


手負いとは言え、まだまだ戦闘不能とは言えない状態に見えた。


「俺が見てきた侵入者達の中では骨のある連中だ……久し振りに楽しめそうだ」


あれだけボロボロになりながらも、ゴルゴは寧ろ嬉しそうだった。


「そうこなくっちゃなぁ !」


何度もゴルゴを殴り続け、腕の感覚も無くなっているラゴンだが、闘争本能は止まるどころか更に燃え広がっていた。


「うおおおおおおおおおおおお !!」


ラゴンは雄叫びを上げ、翼を広げ、ゴルゴに向かって加速しながら飛んでいき、拳を大きく振りかざした。


「俺は魔界四天王のゴルゴ…… !俺は負けん !若造がぁぁぁぁぁぁぁ !!!」


無口なゴルゴもラゴンに触発されたのか、珍しく叫び、大きく腕を振り上げた。


バゴォォォォォン


地面が割れるような鈍い音が響く。


ラゴンの拳とゴルゴの拳が互いの腹を抉るようにめり込ませた。

どちらも気絶するのに充分すぎるくらいに重い一撃だった。


「お……おお…… !」

「が……はあっ…… !」


ラゴンとゴルゴは息苦しそうに吐血した。両者は同じタイミングで仰向けに倒れた。

力を使い果たしたのか、二人の肉体は人間態に戻っていった。


「ラゴン !」


三人は急いで倒れているラゴンに駆け付けた。


To Be Continued

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