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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
突入、魔王城編
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第百四十九話・石の番人



第二層にて立ちはだかる魔界四天王の一人……石の番人ゴルゴ。

迎え撃つのは四人の竜族……爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)だ。

四人がかりで四天王の一人と戦おうというのだ。


「まずは俺から行くぜぇぇぇ 」

「おいラゴン !」


先制攻撃を仕掛けたのはラゴンだ。

ラゴンは走り出し、ゴルゴに向かって拳を振り上げ、勢い良く顔面を殴った。

ラゴンに作戦なんてものは無い。

余計なことは考えず、全力でぶつかる……それだけだ。


ドゴォッ


「何 !?」


避けるでも防ぐでも無く、ゴルゴは微動だにせず、ラゴンの拳を真正面から受け止めた。

顔面を直撃したにも関わらず、ゴルゴの顔には傷一つつかず、眉一つ揺れなかった。


「こんなものか……竜族の力は……」


ゴルゴはラゴンの腕を掴み、豪快に放り投げた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ !!!」


ラゴンは投げ飛ばされ壁に叩きつけられ、勢い良く壁にめり込んだ。


「ラゴン !」

「さぁ……次はお前達の番だぞ……」


たった一撃でラゴンがやられたことに三人は戦慄した。

ゴルゴは手招きをし、他の三人を煽った。


「上等だこの野郎ぉぉぉぉぉ !!!」


ザルドはリザードマンに変身し、口を大きく開けるとその強靭な顎でゴルゴの腕をに噛みつき、鋭い剣のような牙を皮膚に食い込ませた。


「がっ…… !?」


だがザルドは違和感を感じ、すぐにゴルゴの腕から口を離した。

ゴルゴの皮膚が石のように異様に硬かったのだ。下手をすればこっちの歯が折れていた。


「てめえ、なんて硬さだ…… !」

「どうした、もう終わりか ?」


ゴルゴはこの場から一歩も動いていない。

動くまでもないようだ。


「ザルド、どいて !」


尻尾をバネにララは天井に頭がつく程跳躍し、空中で前転すると長い尻尾を振り下ろし、ゴルゴに叩きつけた。

ピシィッと鈍い音が響く。


「眠くなるな……」

「 !?」


だがララ渾身の一撃もゴルゴには通用しなかった。

鉄骨よりも重い尻尾が直撃しても、何も感じていない様子だった。

ゴルゴの鎧のように頑丈に守られた肉体は物理攻撃の全てを弾く。


「無駄だ……生半可な攻撃では、俺はダメージすら負わない」

「そう……じゃあこれならどうかしら」


メリッサはニヤリと笑うと、長い髪を無数の蛇へと変貌させた。


「石になりなさい !はぁぁぁぁぁぁ !」


無数の蛇から青白い光線が放たれ、ゴルゴに浴びせた。

ゴルゴの体が徐々に灰色に染まって行く。

やがてゴルゴは石像になり、動かなくなった。


「どう ?物理攻撃がダメなら、私の力で石になりなさい ?永遠にねえ」


ゴルゴを石化させ、勝ち誇るメリッサ。

だがすぐに恐怖へと変わった。


「え……嘘でしょ…… ?」


石像となり、動かなくなったはずのゴルゴは、何事も無かったかのように歩き出し、首をゴキゴキと鳴らした。

メリッサの顔は青ざめ、恐怖でひきつった。


「馬鹿な……メリッサの光線を浴びて、自由に動けるはずがない…… !」

「姐さん…… !これはどういうことですか !?」

「私にも分からないわよ !」


三人は前代未聞で理解不能の現象に取り乱していた。


「教えてやろう……何故俺が石になった状態で動けるのか……答えは単純(シンプル)だ……俺は石になったのではない……元々石なのだ……」


ゴルゴは話しをしながら、自身の体を変化させ始めた。

禍々しく巨大な翼と尻尾を、額には長く鋭い一本角を生やし、人と変わらぬ顔から竜のような顔へと変化し、全身も肌色から鉄のような艶めく銀色へと染め上がり、人の姿から悪魔のような異形の怪物へと変貌を遂げた。


「俺の正体は……ガーゴイル…… !」

「ガーゴイル……だと !?」


創られた彫像の雨樋が自我を手に入れ、怪物となって動き出した存在……。それがガーゴイルだ。

ガーゴイルは魔王軍の中でも強大な力を持ち、恐れられていた。

その強大な力を奮い、城に近付く侵入者達を何千年もの間葬り続けていた。


「俺はドワーフの偉大な彫刻家によって創られた雨樋が魔王様によって魂を与えられ、一個の命としてこの地に芽吹いた……。何千年もの前の話だ……俺の体は元々石で出来ているら老いることも死ぬこともない……たった数十年しか生きられん青二才に、俺を倒せるはずがない」


ゴルゴは目をカッと開くと目力だけでメリッサ達を震え上がらせた。

何千年も生き続ける生きた石像……規格外の敵を前に三人は怖じ気づき、心が折れかけた。


「面白れぇ……面白れぇぞ !」


そんな空気の中、一人の男の笑い声が響いた。


「ラゴン…… !」


早々に投げ飛ばされ、壁にめり込んでいたラゴンだが、ようやく目が覚めたようだ。


「悪い悪い、つい眠っちまってた」

「全く、こんな時に……でもアンタがあの程度でくたばるとは思わなかったけどね」

「少しは心配しろよ」


ラゴン達の軽いやり取りをゴルゴは無言のまま見つめていた。


「お前……あれだけの力の差を見せつけられて、まだ戦う気があるというのか」

「ああ、言っとくが俺はまだ本気出してねえよ、でもまさかガーゴイルと戦う日が来るとはなぁ~!ウズウズしてくるぜ !」


ラゴンは目の前の異形の怪物の姿を目にして寧ろ戦意を燃え上がらせていた。


「変わったやつだ……」


そんな興奮気味のラゴンの姿を見て、ゴルゴは僅に微笑んだ。


「ゴルゴ !出し惜しみは無しだ、全力でやろうぜ !」


ラゴンは段階をすっ飛ばし、完全な竜人形態に変身した。

翼を生やし、竜の顔になり、全身鱗に覆われた、彼の本気の証だ。


「面白い……久し振りに胸が高鳴ってきたぞ」


互いに本来の姿になる両者……。

石の番人、ガーゴイルとラゴン率いる爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)の戦いは第二ラウンドへと移行しようとしていた……。


To Be Continued

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