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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
突入、魔王城編
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第百四十八話・沸き上がる闘志



エルサ達は城を守る兵士達を蹴散らしながら進み続けた。

途中でリリィと別れ、別々に行動することにした。

リリィは超音波を使い、仲間の位置をサーチすることが出来る。小さい蝙蝠形態に変身し、警備を掻い潜ることも可能だ。

危険な役割だが、ワカバの探索はリリィに一任された。




エルサ達は魔王城第二層へ辿り着いた。

第二層の大部屋は闘技場より広く、不気味な石像がいくつも立ち並んでいた。


「何これ怖い~」

「今にも動き出しそうね」

「姐さん怖いこと言わないでくださいよ~ !」


女性陣は怯え、互いに体を震わせながら密着させていた。


「んなもんただの石像だろ ?ビビりすぎだって」

「そうだそうだ、それでも誇り高き竜族か ?」


マルクとザルドはからかい気味に言った。


「ようこそ……我が部屋へ……」


突如として一人の男がやって来た。

声が聞こえた途端、全員は身震いした。


「竜族にエルフ族……半魚人にハーピーか……豪勢だな」


無表情で死んだ魚のような目をした、筋骨隆々の大男。

この男から放たれるオーラは生半可なものではない。他を圧倒する凄まじく冷徹な魔力。

男が現れた瞬間から全員は金縛りにでもあったかのように動けなくなった。


「何者なんだ…… !?この男…… !」

「空気が一変しやがった…… !こいつただもんじゃねえぞ !」


歴戦の戦士であるエルサ、ラゴンですら動揺を隠せなかった。


「あの男は魔界四天王の一人……石の番人ゴルゴ……城に近付く者は誰であろうと容赦なく殺す危険な男だよ……」


ルーシーは身震いしながら答えた。


「お前はルーシーか……寝返ったということは、覚悟は出来ているんだな」


ゴルゴはルーシーを睨み付けた。


「ぼ……僕は裏切ったんじゃない !利用されてると気付いたからやめてやっただけだよ !」


ルーシーは萎縮しながらも反論した。

仮にも元魔王軍幹部の彼女がここまで怯えるとは、四天王と幹部との間には越えられぬ壁があるようだ。


「まあ良い……魔王様のご命令だ……侵入者は全員殺す」


ゴルゴはそう言うと全身に力を込め、魔力を解放した。

巻き起こる風圧により、全員吹き飛びそうになりながらも足を踏ん張り堪えた。


「お前達など……俺一人で全滅出来る」

「お前……面白いやつだな !」


誰もが萎縮したじろいでいる中、ただ一人だけ胸を踊らせている者がいた。

爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)の団長、ラゴンだ。

彼は大量の汗を流し、全身震えながらもどこか嬉しそうに顔をニヤけさせていた。

強い者と戦うことこそが彼の本懐。

かつてない程の強敵を前にして好奇心が恐怖心を上回ったのだ。


「何 ?」


ラゴンは前に出てゴルゴに近付いた。


「俺は強いやつと戦うのが大好きなんだ !ワクワクするぜ !」

「ラゴン……」


ラゴンは子供のように目を輝かせていた。彼に続いてメリッサ、ザルド、ララも前に出た。


「ラゴン、抜け駆けはダメだぜ、俺らにもやらせろよ」

「一人だけ美味しい思いするのは反則じゃない、ラゴン」

「姐さんの言う通りよ !」


三人ともラゴンの勇気に感化され、戦意を燃え上がらせた。

爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)の四人はゴルゴに挑むつもりだ。

誇り高きドラゴンの血を引く者達……。

この四人は付き合いも長い。

里にいた頃から幾多の死線を潜ってきたのだ。


「アンタ達は先に行ってな !こいつはあたしらが倒すからさ」


メリッサはエルサにそう言った。


「メリッサ…… !分かった……マルク、ミライ、ルーシー !ここは爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)に任せて、私達は先を急ぐぞ !」

「おう !」

「分かったよお姉ちゃん !」


エルサ達はラゴン達に任せ、第三層へと向かった。




「第三層にも俺と同等かそれ以上の実力を持った四天王が待ち構えている……寿命が僅かに伸びたに過ぎん……」


ゴルゴは目を瞑りながら呟いた。

彼には結果が見えているようだ。


「そうかな ?仮にもあいつらは俺達竜族をボッコボコにした連中だぜ ?簡単にくたばるはずがねえ、それより、早くやろうぜ !」


ラゴンは待ちきれなくてうずうずしていた。


「この戦闘マニアが、頭おかしすぎるぜ !俺達死ぬかも知れねえんだぞ ?」


ザルドはラゴンに軽く悪態をついた。


「生死をかけた戦いなら、今までもしてきただろ ?」

「確かにそうね……」

「日常茶飯事でしたね……」


爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)を結成する前、ラゴン達竜族は、魔王軍、魔獣、騎士団と、様々な敵と戦ってきた。

傷だらけになり、時に死の危険と隣り合わせになりながらも、己の技を、力を磨き上げてきたのだ。


ラゴンはゴルゴの目を真っ直ぐ見つめた。


「ほんとはタイマンでヤりたかったけど、俺達は絶対に勝たなきゃいけねえ、悪く思うなよ !石の番人様 !」

「余計な気遣いは無用だ、四人だろうと俺の敵ではない」


ゴルゴは余裕の態度を崩さなかった。


「行くぜお前らぁ !」

「私達の実力、思い知らせてあげるわ」

「たっぷり遊んでやるぜぇ !」

「後悔して泣き叫んでも知らないわよ !」


ラゴンは気合いを入れ、城中に響く程の音量で叫んだ。

残る三人もラゴンに続いて叫び声を上げた。


ドラゴンの血を引く四人の竜族……「爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)」が城を守る石の番人、ゴルゴに挑む。

果たして、勝敗の行方は…… !?


To Be Continued

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