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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
突入、魔王城編
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第百四十一話・魑魅魍魎



魔王は俺達「無限(メビウム)結束(ユナイト)」や「爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)」がワカバを取り返しに魔界へやって来たことを知った。

魔王城の中はピリピリし、騒然としていた。

城内の至る所に魔王軍の兵士が配置された。

警備はネズミ一匹逃がさない程に厳重だ。

因みに魔王城内の兵士のほぼ全てはヒルデビルドゥ配下の者達である。




悪魔三銃士(メフィラストリニティ)の三人はヒルデビルドゥに命じられ、城の玄関の大広間の警備を任された。


「はぁ……緊張しますね」


ライナーはやや弱気の様子だった。


「何を言ってますの !?これは出世の大チャンスなのですわよ !?」


レヴィはやかましいくらいにやる気に満ち溢れていた。


「レヴィさんすっごいやる気満々だゾ」

「当たり前ですわ !?この城を死守することが私達の使命ですのよ !?ここを全力で守りきり、侵入者達の首を捧げた暁には……幹部昇進…… !魔王軍幹部・悪魔三銃士(メフィラストリニティ)…… !あぁ……甘美な響きですわ…… !」


レヴィは頬をとろけさせていた。


「そんな上手く行くもんすかね……」


リアリストであるライナーは懐疑的だった。


「あなた達はロマンも夢もないのです !?大丈夫ですわ !絶対に成功する作戦がありますのよ !?」

「作戦って何ゾ ?」


レヴィは咳払いをし、息を整えた。


「まずはライナーが全身の包帯で敵を縛り付けますわ、そしてサイゴが棍棒でぶっ叩き、動けなくなった所を私の毒の鞭で毒を塗り込み、じわじわと命を削るのですわ」

「ひぇ~えげつない」

「レヴィさん怖いゾ」


二人は若干引いていた。


「オーッホッホ、出世さえ出来れば手段なんて関係ありませんわー !」


レヴィの高笑いは城中に響き渡った。

このように、三人は雑談をし、暇を紛らわした。




一方、城の外はヒルデビルドゥ配下の魔族、カミラ率いる不死族(アンデッド)隊、デビッドが召喚した魔獣達により、魑魅魍魎となり、溢れて返っていた。

魔王城周辺を埋め尽くさんばかりの魔王軍の軍勢の数は合わせて10万程。地獄絵図そのものだった。


「ふん、これだけの数……些か大袈裟だとも思うが……まあ少しは楽しめそうじゃな」


カミラは魔王城の屋根の上に立ち、魔王軍の軍勢がひしめく様を眺めていた。

彼女の率いる不死族(アンデッド)隊……。

かつて人間だった者の成れの果てだ。

死肉を食らう屍鬼(グール)、腐敗した体で感染、増殖を繰り返すゾンビ、肉を失い、骸だけの姿であるスケルトン、実体を持たぬ幽霊(ゴースト)など多彩である。


「お主達 !存分に遊んでやれ !」


魔界中に響くカミラの声を聞き、不死族(アンデッド)達は不気味な呻き声を上げながらワラワラと歩き出した。




「遂に来たぜ……魔王城 !」


俺達はルーシーの案内でようやく魔王の待ち構える城の付近まで辿り着いた。

だが城の周辺は魔王軍の兵士達や魔獣達によって固く守られていた。

どうやら俺らが来ることを既に予期していたようだ。

簡単には入らせてくれないようだ。


「おいおい、こっちは10数人しかいないんだぞ……戦争でも始める気かよ……」


俺は思わず笑いが込み上げてきた。


「臆する暇はない、全てはワカバを取り戻す為だ……一気に突破するぞ !」


エルサは先頭に立ち、素早く剣を抜き、天に掲げた。

彼女の力強い一声は周りの仲間達を鼓舞し、戦意を燃え上がらせた。


「お姉ちゃんカッコいい !」


ルーシーはエルサに感激してメロメロだった。


「だな……よし !お前ら !行くぞ !」

「「「おおおおおおおおおおお !!!」」」


俺の叫びと共に、皆は一斉に魔王軍の軍勢に飛び込んで行った。

数ではこちらの方が圧倒的に不利。だがそんなのは関係ない。

全員を倒す必要はない、城に着くまでの道さえ作れれば良い。


「退きなさい !はぁ !」


襲い来る魔族達。

メリッサは蛇の頭をした髪から光線を放った。


「ぐわぁぁぁぁぁ !」


メリッサの光線を浴びた者達は瞬く間に物言わぬ石と化してしまった。

彼女の種族はメデューサ、相手を石に変える力を持っている。


「邪魔だどけぇ !」


ドガァァン


ラゴンとザルド、ララはそれぞれ石化した魔族達を蹴散らし、粉々に破壊した。


「流石は姐さん !」

「俺らも負けてられねえな !」


ザルドは武器を振り上げ、襲ってきたオークの肩にガッツリ噛み付いた。


「ぐわぁぁぁぁぁ !」


そのままオークを軽々持ち上げ、ブンブンと豪快に振り回した。


「放せぇぇぇぇぇ !!!」


オークは肩から血を流し、目を回しながら悲痛な叫びを上げた。


「オラよ !」


ザルドはオークを放り投げ、他の魔族達にぶつけた。


バゴォン


魔族達の陣形はドミノ倒しのように崩れ去った。

リザードマンの強靭な顎は鉄骨すら砕く。


「ねえ、あたしお腹が空いてるのぉぉぉ !」


ララは涎を撒き散らしながらホブゴブリンの男に勢いよく飛び掛かると口を大きく開け、一気に丸呑みにした。

1人分の男を丸呑みにした為、ララの腹は

パンパンに膨れ上がった。


「うわぁぁぁ、助けてぇぇぇ !」


ホブゴブリンの男はララの体内で暴れた。

じわじわと胃液で溶かされ、苦痛と絶望と恐怖に泣き叫んでいた。

やがてホブゴブリンの声は聞こえなくなり、ララのはち切れんばかりだった腹も一気に萎んだ。

完全に消化してしまったようだ。


「あー美味しかったー、でもまだ食べ足りないなぁ」


ララはゲスな笑みを浮かべた。

他の魔族達は目の前で仲間が食われた光景を目の当たりにし、戦々恐々と震え上がっていた。


「さぁ、もっと暴れようぜぇぇぇ !!!」


恐るべし戦闘種族、竜族。

情け容赦無く敵をなぶり殺す様は味方すらドン引きする程だ。

以前にも増してパワーアップしてるその戦いぶりに俺は背筋を凍らせた。

こんな奴等と殺し合いをして、よく無事だったな……。


「おっといけねぇ……俺も負けていられないぜ…… !」


俺は自らの腕を切り、血を流しそれを固め、短い剣を生成した。

敵は10万……城での戦いも控えてる。

出来るだけ最小限の力で突破してやる。

俺達は、軍勢の中へと飛び込んで行った。


To Be Continued

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