表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
憤怒の災厄編
120/400

第百十八話・地を砕く男



広大な採石場に三人の男が立つ……。

吸血鬼(ヴァンパイア)である俺、半魚人(マーマン)のマルク、そして憤怒(サタン)災厄(カラミティ)の一人、フライ……。


フライは首を鳴らしながら二人を吟味していた。


「二人がかりで俺に挑んでくるとはなぁ、意外とお前らって手段を選ばないタチなんだな」


フライは半笑いで二人を煽った。


「それだけお前の強さと底知れなさを認めてるってことだ」

「俺らだって不本意なんだぜ」


俺とマルクは答えた。


「まあ俺達は正義の味方じゃねえ、勝つためならなんだってするぜ」


俺は血の剣を握りしめ、構えを取った。


「ハッハッハッハ !そういうの嫌いじゃないぞ !さあかかってくるがいい」


フライは高笑いをすると魔力を解放した。風圧で地面が抉れる。


「くっ……風圧だけでこの威力とは…… !」

「ビビってんのかヴェル !」

「誰がだよ、行くぞ !」


俺とマルクはフライに飛び掛かった。


「「うおおおおおおおおおお !!!」」


ひたすら繰り出される怒濤の攻め。

マルクのヒレと血の剣が電光石火の如くフライの体を切り裂く。


「ヌンッ !」

「がっ !?」「うぐっ !?」


だがフライはものともせず、逆に両腕で俺とマルクの顔面を鷲掴みにし、軽々と持ち上げた。


「おいおいどうした ?こんなもんじゃないだろ ?お前達の本気は」


俺とマルクはジタバタと足をばたつかせ、脱出しようともがいた。

恐るべき怪力だ……。


「ち……調子に乗るな !」


俺は闇霧(ダークスモッグ)で体を気体へと変化させ、フライの手からすり抜けた。


「ほう、面白い技を使うな」


俺はフライの背後に回り込み、マルクを掴んでる腕にチョップを繰り出した。


「ぬっ…… !」

「オラアッ !」


力が弱まった隙をつき、マルクはフライに蹴りを入れ、脱出に成功した。

マルクと俺は一旦フライから距離を離れた。


「はぁ……はぁ……助かったぜヴェル……やっぱこいつ強いな」

「魔王軍幹部なだけあって、頑丈で隙がない」


フライは不敵な笑みを浮かべていた。


「俺はまだまだ武器すら使ってないぞ ?早く本気を出してくれよ」

「ちきしょお余裕ぶっこきやがって !」


マルクは苛立っている様子だった。


「出させてやるよ、お前の本気を」


俺は片腕に力を込め、毛に覆われた狼の腕へと変質させた。


「行くぜぇぇぇぇぇ !!!」


ズババババッ


俺は腕を振り回し、鋭く尖った爪でフライの体を切り刻んだ。


「俺もやるぜ !魚人三連斬(トライスラッシュ) !!!」


マルクも俺の後に続き、目にも止まらぬ早業でその鋭いヒレの連撃を叩き込む。


「どれだけ速くとも、俺には通用しない……はぁっ !」


ブワッ


フライは目力のみで風圧を起こし、俺とマルクを吹っ飛ばした。


「「うわぁぁぁぁぁぁぁ !!!」」


俺とマルクは虫けらのように岩場に叩きつけられた。


「お前達に良いものを見せてやる !」


フライは地面にそっと手を当てた。

すると凄まじい轟音が鳴り、大地が揺れた。


「な、何だ…… ?」

「くおおおあおおおおお !!!」


フライは触れていた地面から巨大なハンマーを取り出した。


「なっ !?」

「驚いているようだな、こいつは俺専用の武器・巨人(ギカント)小槌(ミョルニル)だ……大地すら砕く強大なパワーを秘めているぞ」


フライはハンマーを構えた。


「さあ、かかって来いよ」


フライは指を振り、俺達を挑発する。


「上等じゃねえか !」

「どんな派手な武器か知らねえが、俺達は負けるわけには行かねえんだよ !」


俺は蝙蝠の翼を生やし、空へ飛んだ。


魚人水刃(フィッシュリッパー) !」


マルクはヒレを擦らせ、水の衝撃波を放った。

だがフライはハンマーを振り、あっさり弾いた。


「やっぱ通用しねえか……だったら !魚人水砲(フィッシャーハイドロ) !」


マルクは口を大きく開け、水のブレスを勢い良く噴射した。

ブレスは一直線にフライに向かっていった。


土塊(グランド)衝撃(インパクト) !」


フライはハンマーを振り下ろし、大地に叩き付けた。振動で大地が揺れる。

衝撃でオレンジ色の光が地面を割りながら這い、マルクの放った水のブレスとぶつかった。

やがて水のブレスを吸収したかのように飲み込むとそのまま進行し、マルクに直撃した。


「うおわぁぁぁぁぁぁぁ !!!」


撃ち合いに負け、マルクは衝撃波に巻き込まれ、地面に叩き付けられた。


「ふん !やはりこんなものか……ん ?」


フライは気配を察し、空を見上げた。


「オラァァァァァァ !」


俺は空から奇襲を仕掛けた。空高く上昇し、勢いをつけて急下降し、飛び蹴りを喰らわせようとした。


ガキィン


だがフライは少しも怯まず、ハンマーで受け止めた。


「そ……そんな……」

「ヌオオオオ !!!」


フライはハンマーを振り回し、俺を殴り、地面へと叩き付けた。


「ぐはぁっ !!!」


俺が倒れた衝撃で地面は凹み、歪な形へと歪んだ。


俺とマルクはたった一撃でボロ雑巾のようになり、地面に転がった。


「こいつ……化け物か……」

「攻撃も……防御も……何もかもが桁違いだ……」


二人がかりでも足元にも及ばない……。

自分達の無力さを噛み締めた。


「冥土の土産に教えてやろう、俺の種族とはなんなのか……何故俺は強いのか……何故魔王軍についているのか……」


フライは服についた埃を払いながらハンマーを軽く肩に当てた。


「俺は人間でも魔族でもない……俺はある天才科学者によって人工的に創られた人造人間だ !」


フライの口から、とんでもない真実が明かされようとしていた…… !


To Be Continued

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ