表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
憤怒の災厄編
107/400

第百五話・vsブラゴ



私とエルサが修行をしている間、魔法のランプはオババの元に預けられた。

オババはどうしてもリトに話があるらしい。


「…………」


オババはお茶を啜りながらランプと向かい合っていた。


「お主がワカバの召喚獣イフリートか」


オババは口を開いた。


「は……はい……イフリートのリトと申します……我が主・ワカバの召喚獣をさせて頂いております……」


リトはいつにもなく緊張した様子だった。


「単刀直入に聞く……お主……闇の魔力に侵されておるな ?」

「!……」


リトは図星を突かれ、ハッとした。


イフリート魔人形態……全身が黒いオーラに包まれ、筋肉が膨れ上がり、髪が黒く染まり、理性を失い、敵味方問わず破壊衝動のまま暴れ尽くす闇の暴走形態だ。

これまで二回この姿に変身し、ドラゴニュートのラゴンや鎧魔獣を圧倒した。

今の所犠牲者は出ていないが、強すぎる力をコントロール出来ない為、いつ犠牲が出るか分からない。


「あれだけ強大な鎧魔獣をボロ雑巾のように扱う程の恐ろしい力……闇の力で無ければ有り得ん」


リトは何も言わず、ただ黙っていた。


「まあ、お主が魔王軍の手先だとか、良からぬことを企むような悪党だとは思わんよ……お主からは誠実さを感じるでな、主に忠義を尽くす立派な青年じゃよ」

「オババさん……」


オババはお茶を啜りながら言った。


「オババさんの言う通りです……私の体には闇の力が宿っています。後天的に得たものです……しかし最近目覚めたようで……いつ暴走するか、自分でも分からないんです」

「そうか……」


リトは胸の内をオババに明かした。


「うむ……お主、現在は半精神体と言っておったな ?」

「は、はい……召喚される度に少しずつですが力を取り戻しています」


リトはこれまでの戦いの中で少しずつだが、かつて失われた力を取り戻しつつあった。


「そして、ある程度力を取り戻したことによって、眠っていた闇の力も目覚めたということじゃな」

「はい……」


オババは察しが良かった。

長い年月を生きている為、知識と経験が豊富なのだ。


「私は怖いです……いつか主を傷つけてしまうかもしれないと思うと……」

「案ずるな……リト」


オババはニコッと微笑んだ。


「人は誰でも心に闇を持っている……それは人も魔族も竜族も変わらん……」

「オババ……」

「心の闇は消すことは出来ん……大切なのは、恐れるのではなく、心の闇と向き合うことじゃ……」

「向き合う……」


オババはランプをそっと持ち上げた。


「お主の召喚士(サモナー)も強くなる為、一生懸命修行に励んでおる、お主もお主のすべき修行があるはずじゃ」

「私の闇を制御出来るのですか ?」


オババは再びニコッと微笑んだ。


「ワシに任せなさい、良い考えがある」


そう言うとオババはランプを手に持ち、ある場所へ向かった。




「「はぁぁぁぁぁ !!!」」


エルサと私は汗まみれになりながらブラゴに向かって一生懸命木刀を振るった。


エルサは電光のように素早く動き、攻撃の手を緩めなかった。

だがブラゴは涼しい顔で全て裁ききった。

彼女はスピード型では無い。だがまるでエルサの動きが手にとるように分かるようだった。


「くっ…… !スピードには自信があったんだがな !」

「娘のことは何でも分かるのさ !」


私も何とかして攻撃を当てなくては…… !

でもブラゴには隙がない。二人がかりでも掠り傷一つつけられない。

まるで鉄壁の要塞だ。

思えば鎧魔獣との戦いの時もブラゴは無傷だった。


「どうしたどうしたい、二人とも息が上がってるよ !」


ブラゴは笑いながら挑発した。


「まだだ……ワカバ、行くぞ !」

「はい !」


今回のルールはブラゴを倒すことじゃない。ブラゴに一発攻撃を当てられたら勝ちなのだ。


「はぁぁぁぁぁ !」


私はかつてエルサから教えてもらった技の一つを使うことにした。


神月疾風(ムーンウインド) !」


私は風を纏い、疾風のように加速し、神速の突きを繰り出した。


「エルサから教わったのかい !」


ブラゴは大層驚いた様子だった。

だが所詮私の突きはエルサの劣化版でしかない。

どれだけ加速しようともブラゴの目には止まって見えた。


「はぁっ !」


ゴキィン


「きゃっ !」「うっ !」


ブラゴは大きく大剣を振り回し私とエルサをその怪力で薙ぎ払った。

恐るべき筋力と動体視力。

私とエルサはただ体力が削られていく一方

だった。


「二人とも筋はいいよ、でもまだまだだね」

「くっ……悔しいな……」


エルサは腕で汗を拭った。


「やっぱり義母さんは強い……正攻法じゃまず勝てないぞ……」

「あの、エルサさん……作戦があるんですけど……」

「何だと ?」


私はエルサにそっと耳打ちした。


「んっ……ワカバっ……息がかかってくすぐったいぞ……」


エルサは耳が敏感なのか、頬を赤く染め、悶えた。


「ご、ごめんなさい !」


私は慌てて謝った。不意討ち過ぎるよ……。

思わずドキドキしてしまった……。


「だ、だが……作戦は理解した……その提案、私は乗るぞ !」

「はい !」


私はエルサと拳を合わせた。


「ちょっと~何イチャイチャしてるんだい ?戦いはまだ終わってないよ ?」


ブラゴはニヤニヤしながら二人をからかった。


「べ、別にイチャイチャしてなんかない !」

「そ、そうですよ !た、ただの作戦会議です !」


私とエルサは手をバタバタさせながら慌てて弁明した。


「作戦会議ね~、何か秘策は思い付いたのかい ?」

「ああ……とっておきのがな」


エルサと私は再び剣を構えた。

ブラゴは首をゴキゴキ鳴らしながらゆっくり距離を詰めてきた。


ブラゴに勝つ為の秘策……それは……。


To Be Continued

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ