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異世界転生してきた冒険者の夢をぶち壊せ!  作者: 平賀ひろた
1章 望んでいた世界とこの異世界生活は程遠い
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3話 アルシア国家

「うっう・・・」




うなされるように目が覚める。日陰なのかあたりが少し薄暗い。

鳥のさえずるような声がいくつも聞こえる。

ようやくぼやけていた視界が次第にはっきりしていく。ここは・・・森?



木に寄りかかるようにして眠りについていたらしい。

無意識にポケットに手を伸ばしスマホで時間を確認しようとする。しかしポケットの中をいくら漁ってもスマホどころか何も入ってはいない。




「あっ、そうだ俺川に溺れて・・・」




川に流されている最中、きっとどこかに流されてしまったのかと落胆する。

しかし流れついてこんなよくわからないところに辿り着いてしまったのか。

キョロキョロと見渡すとあるのは、木、木、木。

木しか見当たらない。完全に森の中だ。というか流されたはずなのに川が近くに無いとかおかしい。



長く眠りすぎていたせいか頭がズキズキ痛む。なんだか夢を見ていたようだが何も思い出せない。

その時、とっさに思い浮かんだのはもしかしたら自分が死んでしまったのではないかと。

恐怖に駆り立てられるように足を見る。大丈夫だ、ちゃんとある。

その時、足元に小さなムカデのようなしかし頭はクワガタのような得体のしれない気持ち悪く毒々しい虫がウネウネと地を這っている。



「うわっ」



虫は嫌いだが逃げ出すほど苦手というわけではなかった。しかし、こんな見たことも無い気持ち悪い虫を見て頭が痛かったのも忘れるぐらい必死に走って逃げていた。

無数に太く長く伸びる木々の間を全速力でギリギリで避けながら走り抜ける。

すると、目の前の木の間から光を感じた。あそこを抜ければきっとこの森から抜けられる。そう思って最後に全力を振り絞るようにして2つ並んだ木のゴールラインを割った。




森を抜け、自分が見えた景色は広大な野にポツンと一か所だけ栄えているような都市がある。間違いなくここは日本じゃないことをその時理解した。



行く当ても何もない自分には手掛かりを探すためにその栄えている都市に向かうことしか考えつかなかった。



あれから何時間ぐらい歩いただろうか。スマホも無ければ時計も無い。

とりあえずもう足がくたくたになるほど歩き続けた。しかし、1年近く引きこもっていたのが災いとなったか体力が並程度が並以下になっていたのも原因だろう。

やっとの思いで街の前まで辿り着き、街の前にある看板に目をやった。



アルシア国家



見たことのない文字であった。でも確かにそう読めた。

ゲームのやりすぎて幻覚でも見てしまっているのだろうか。ラノベは少しは読んだ事があるがそんな幻覚を見てしまうほど読んだ記憶もないしイカれていないだろと自分に問いかける。

現実ではないかと自分の頬をつねる。痛い。さっきまでの歩いた疲れもある。

今目の前にあるのは、受け入れたくはないがどうやら現実に間違いがない様だ。



とりあえず、じっとしていても何も始まらないので街の中に入っていく。建物や立ち止まって話す人たちの姿を見るからに結構な数の人が暮らしているのだと思う。

その歩いている人は上のシャツは色々な柄のものを着ているが、下のパンツは皆ほとんどが白く7部ぐらいのダボダボのパンツであった。自分の白のパーカーに青のジーパンといった姿で時折、不思議そうに自分の事を見られた。

建物はほぼレンガや石みたいなもので作られており西洋的イメージである。



異世界で欧州丸出しの街並みは中2病な日本人特有のコンプレックスが形となったような景色に自然と苦笑いをしてしまう。




「俺、引きこもってたけど、ここまでこじらせてなかったと思うんだけどなあ」




しばらく歩いていると商店街についたようだ。さっき歩いていた道よりも人混みが凄かった。よく見たことのあるような果物や野菜から、なんか食力の失せるような色合いをした食材らしきものをバスケット一杯に詰め込む女性がたくさん歩いていた。

疲れていて食べ物を見たせいか空腹を思い出したかのようにグーとお腹の虫が鳴る。



商店街を歩いていると見慣れない文字がいくつも見る事になるが何故か不思議と読むことが出来る。とりあえず通貨は円は使えないらしい。まあ財布など服以外何も持たず自分にはそれほど関係が無い。



しかし、このままでは困った。

人脈があるわけでもラノベみたく可愛い女の子とも出会えず金も無い。このままであれば先は見えている。

何か自分の手がかりはないのかと、生きる方法はないのかと歩き続けるが、1年家族以外と接することの無かった自分には話しかける勇気もコミュ力も持ち合わせていない。夜になって次第に人はいなくなり、結局何も出来ない自分はその日野宿する羽目となった。


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