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異世界転生してきた冒険者の夢をぶち壊せ!  作者: 平賀ひろた
1章 望んでいた世界とこの異世界生活は程遠い
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2話 3つの選択肢

ここは・・・どこだ・・・?



目を覚ますと自分は立っていた。まわりはほぼ暗闇で自分を中心に円を描くように白い床が広がっている。



―――目を覚ましたか



どこともなく年老いた老人のような声が聞こえる。



「あの、あなたは誰なんですか?それとここは一体どこなんですか」



どこにいるかわからない声の主に向けて問う。



―――私は、神だ。そしてそこは貴様の新たな始まりの地点だ。



本来であれば、何を言っているんだと思うのだろうが自然とその言葉を理解しすんなりと入っていく。

きっと現実ではありえないこの場所の雰囲気がそう思わせているのかもしれない。

思い返してみれば、最後に覚えている記憶は川で溺れていることだけであるから自分は死んだのだと悟った。



―――谷口俊哉よ、貴様は18歳と若い歳ながらゲームにはまり引きこもり

   多大な迷惑をかけた親不孝な少年だ。



ぐさぐさとひどい事を言われるが事実である上に、神様に言い返すことなど出来るはずもない。

もしかしてこのままでは自分は地獄行きでも言い渡されそうな勢いだった。



―――挙句の果てに少女を助けた後、余裕ぶってもう一度川に入って

   まぬけにも体のバランスを崩し溺れ死んだ。



やはり自分は死んだのか。

しかし、せっかく人助けをしたのにこの言われよう、なんだか損した気分だ。

地獄行きなら地獄行きでさっさと宣告してくれと投げやりな感情になっていく。



―――しかし最後に善を成し遂げた。

その善を称えて君に新たな未来を捧げよう。



「えっ」



急な話の流れの変わりように驚き出遅れる。

自分の目の前に野球ボールぐらいの大きさの光の玉が3つ浮かび上がった。



―――君には地球とは違う世界に行ってもらおう。

   しかし何も持たずじゃ、可哀想だ。だから君に3つの選択肢を与えよう




「3つの・・・選択肢?」




目の前の白い光の玉はまばゆく輝き続ける。



―――1つ目は魅了だ



1番左の光の玉が赤い淡い色に変わる。



―――これを選べば、人が自然と自分の周りに集まり親しまれる存在になるだろう。

   そして次は金だ。



今度は真ん中の光の玉が黄色い淡い色に変わる。



―――君が今から向かう世界で死ぬまで遊び続けても余るほど金を与えよう。

   そして最後は・・・



最後に残された光の玉がだんだんと青い光を放ちだす。



―――魔法剣レイディアントソード・・・君が向かう世界で絶大な力をもたらすだろう。

経験や知識が無くても魔法も簡単に使え、剣としても最高のものだ。

さあどれを選ぶ?



どれも魅力的だったが、年老いた声でレイディアントソードという言葉が出てくることに笑いが込み上げてくる。なんだよレイディアントソードって…中二病かよ



―――私は君の心の声も聞こえているから下手気なことを思うんじゃないぞ




「すみませんでしたー!!」




どこにいるかもわからないがとりあえず腰を直角に曲げ謝罪する。

せっかくこんな迷うほどの素晴らしいものを1つ選ばせて人生をリスタートできるチャンスを神様の機嫌を損ねて水の泡にするわけにはいかない。



しかし、どれも選び難い代物だ。

魅了を手にして異世界で人気者になるのも悪くない。金だってあれば一生遊んで過ごせる。

そして魔法剣レイディアントソード、きっと剣が選択肢にあるってことは冒険ファンタジー的なラノベ的な世界なのだろう。18歳といえど、もし本当に使えるのだとしたら、剣や魔法と言われると胸をくすぐるように興奮させる。



こんなチートな武器を持っていれば、人助けも容易く人気者になれて、報酬で金だってたくさん手に入って順風満帆に生きていけるのではないか。

何より魔法を使ってみたい。




「ぐへへ」




欲張りな妄想がよだれのように口から声が漏れてしまう。すぐ自分で気付き口に堅いチャックをして引き締める。




「決めました、俺は魔法剣レイディアントソードを選びます!」




―――そうか、ならば君に魔法剣レイディアントソードを捧げよう。



まばゆく青く光った球は自分の方へゆっくりと近付き光は弾け物体となる。

長く真っ直ぐと伸びて自分を鏡のように映す刃に(つば)に埋め込まれたダイヤの形をした青い宝石が埋め込まれている。いかにも中二病的なデザインではあったが普通に強そうだ。



―――新たな世界への扉は開かれた!

   谷口俊哉の新しい未来に栄光あれ!



回りの暗闇は次第にまばゆい光が漏れだすように光出す。あまりの明るさに目を細めた。そしてその光は自分を包み込むほど大きな光となって何も見えなくなっていた。


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