たくさんのもの
この曲をよく聞いていたのは2年前の冬だった
あの頃はわたしは若くとても幼かったし、孤独で何もなかった。
と言ってもたかが2年前だし、わたし自身あの頃とそこまで変わったことはない。
それでも今のわたしにはわたしにだけある何かに気づいている。
風が吹いている。風は見えない。でも肌が感じてる
わたしのスカートを揺らし、わたしを冷気で包む
この曲を聞くと、思い出す。
とても冷たかったこと、とても切なかったこと、貴方に出逢えて嬉しかったこと。
輝いて、切なく輝いて、優しい光に包まれて
わたしは遠目で、貴方は真っ直ぐな瞳で。
互いを見つけた。
いつまでもいつまでも、わたしと貴方はその場に立ち尽くして、何もできないままだった。
それが一生続くのだと思っていた。
けれどそんな訳なくて
風景も曲もあの頃と何も変わらないけれど。
わたしは、貴方はきっと新しい何かを毎日見つけて生きて行くんだ。