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僕らのルール

作者: candyrain

深夜2時


僕の携帯が鳴る


「もしもし・・・」


君は決まってこの時間に電話を掛けてくるんだ。

力ない声で


「・・・どうした?」


聞かなくても分かってるんだ 

君が何を言い出すのかも


「眠れないの・・・」


君と付き合いだして2年が経つね

日にちにして730日毎晩同じ台詞を聞いているよ


「どうして?」


またかよ・・・本当はそう言いたい

けれどそれを言わないのが僕らのルール


「寂しい・・・」


次に言う僕の台詞はこうだ


「わかった。今から行くよ」


そう言いながらも僕はベッドから出る事は無いんだ。


「いいの・・・。大丈夫・・。」


君も決まってこう言うんだね

声を震わせながら


「そっか・・・」


ここからの僕らの時間は長いんだ

おやすみって言えるのはまだまだ先だ


「ねぇ?」


「ん?」


「・・・・なんでもない」


「何?どうしたの?」


「・・・・・」


彼女が泣くんだ

小さな声で声を殺して・・・


「好きだよ・・・」


彼女の望む答えは分かっている。

だから先に答えてやるんだ


「本当にそう思ってる?」


「思ってるよ」


「うそよ!!」


シーンとした部屋に彼女のヒステリックな声が携帯から漏れる


「ずっと側にいて・・お願い」


今度は縋る様な声で僕に聞いてくるんだ。


「わかっているよ。側にいる。」


「・・・約束して?」


ねぇ・・・これ以上どうやって君に約束すればいいんだい?

2年間毎日同じ事を言っているよ。

君の事は好きだ

だから「好きだよ」って言っている

君と生きていこうと思う

だから「側にいる」って言っているんだ


君はいつも僕に愛を確認して来るけど

君はいつも僕を拒み続ける

その上約束だって?


「何を?」


今日僕は初めて君に質問するよ

一体君に何を約束すればいいんだい・・・?




「教えてくれよ!!」


今度は僕の声がシーンとした部屋に響く


彼女は何も言わない

ただ時折嗚咽にも似たしゃくり声が聞こえるだけ




もう疲れた・・・

もうやめよう・・・


君が欲しいのは僕じゃない


そして


僕が欲しいのも君じゃない



「・・もう別れよう」


僕は君を確かに愛していたよ。

ついさっきまでは・・・


「どうしてそんな事言うのっ!?」



どうして?



もうこれ以上僕は君を愛せない。


君への愛情表現が【義務】になってしまった以上


僕らが愛し合う意味はない


付き合い始めた頃

僕と君でルールを決めた


お互いを傷つける事はやめよう


このルールを馬鹿正直に守って来た結果


僕らは心がバラバラになった


どんなに手を繋いでも


どんなに君を抱いても


心が結ばれなかった


「君が愛しているのは僕じゃない、君自身だ」



その事に気づいたんだ・・・


そんなの虚しいだけだ


「そう・・・わかった」


僕らは一度も互いに向き合えなかった。


明日から僕の携帯が深夜2時に鳴る事はない。


その事実に触れたとき


僕は何かに解放された気持ちで深い眠りについた・・・。
































女性と言うものは常に相手を求める生き物の様な気がします。

それはいつしか自分を満たす為だけの物に変わり、相手を愛する意味が見出せなくなってしまう。

そんな複雑な女性の心情と男性の困惑する心情を私なりに表してみました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何を求めているかも理解しながら、応えているのに応えたことにならない。すごく経験のある矛盾。沸き起こる虚しさ。そんな点が実にうまく作られていた作品でした。あと、句読点だけは欠かさないで下さい。…
[一言] 人間の感情は複雑なものだなぁときずかされました。
[一言] この男性の気持ちかなり良く分かります。 愛情が義務に変わる・・・すごくいい表現ですね
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