ボイスラヴァー【男2女2】声劇用台本●14分
ボイスラヴァー
著:2014年2月7日13時~2014年2月7日14時半
作:七菜かずは
■キャスト
蕪 林檎♀ ネクラで中二病な女子高生。制服のスカートは、折ってない。真面目。一人称:ボク。私服は黒のみ。
尾石 桃姫♀ 蕪の幼馴染。ぷにぷに系女子高生。顔はめちゃくちゃ可愛い。お洒落。リーダー気質。百戦錬磨。
行平 武蔵♂ 尾石と蕪の学校のクラスメイト。眼鏡くん。真面目? 一途。声優志望。好きな人には物凄く優しい。
甲羅 小次郎♂ 尾石と蕪の学校のクラスメイト。明るくて無鉄砲。誰にでも優しい。
■役表
蕪 林檎♀:
尾石 桃姫♀:
行平 武蔵♂:
甲羅 小次郎♂:
■プロット(かずはメモ)
・とにかく普通の人間を使ってバレンタインの話を書きたい。
ギャグかホラーがいい。だめだった。
中二病でネクラの女の子が、好きな人にチョコを渡したい!
待ち合わせ。男性が二人、待っている。
【開幕】
とある寂しい田舎町の駅前。
蕪 りんご「尾石さん」
尾石 桃姫「はいはい? なんじゃらほい?」
蕪 りんご「帰ってもいいですか?」
尾石 桃姫「なんでえ!? ちょっとちょっとっ! 待ってよぉっ」
蕪 りんご「あの私好きな人が居て」
尾石 桃姫「うんうん!」
蕪 りんご「でも一人で渡すのは勇気が出なくて」
尾石 桃姫「うんうん!」
蕪 りんご「だからうちの高校で人気があるアキバ系スーパーヒロイン尾石 桃姫さんについてきて貰って」
尾石 桃姫「うんうんうんうん!」
蕪 りんご「ボクのブラックジョンソンをわざわざ駅前に呼び出して」
尾石 桃姫「うんうん」
蕪 りんご「エナジー込めた究極アイテムを渡そうと」
尾石 桃姫「解説するとね! 蕪 りんごちゃん。君は私の幼馴染! 謙遜することはナーイッ!」
蕪 りんご「ありがとうございます」
尾石 桃姫「確かにあたしは美少女で。菊川学園小・中・高でずうっと大人気。そこいらのイケメンを喰っては捨て喰っては捨てぇのお調子者っ!」
蕪 りんご「羨ましいです」
尾石 桃姫「任せて。りんごちゃん。あたしとあなたの仲じゃない!
その、汚れたインターネット社会で出会ったよくわからない系男子カッコ24歳カッコトジル! に! ♪バレンタインデイキッス♪ する為にい!」
蕪 りんご「そ、そこまでは、いい」
尾石 桃姫「えええっ!? 折角夜なべしてわざわざチョコ作って来たのに、キスの一つもしない気なのっ!?」
蕪 りんご「いいの。三次元でこんなこと思い切ったのってはじめてだし。いつもネット通話で構って貰ってお世話になってて、そのお礼がしたいだけなの、です」
尾石 桃姫「ブラックジョンソンって、ハンドルネーム!?」
蕪 りんご「そう」
尾石 桃姫「変な名前ね!」
蕪 りんご「そうかな」
尾石 桃姫「りんごちゃんは、なんてハンドルネームなの?」
蕪 りんご「りんご」
尾石 桃姫「そのままかいっ!」
蕪 りんご「尾石さん」
尾石 桃姫「なんで敬語? なんで苗字呼びなの?」
蕪 りんご「だって、学校で桃姫ちゃんの幼馴染なのって言うと、苛められるから」
尾石 桃姫「はあ!? そうなの!? なんてやつ!? 今度あたしがボコってあげる!」
蕪 りんご「行平くんと、甲羅くん」
尾石 桃姫「えっ? んっ?」
蕪 りんご「なに?」
尾石 桃姫「いいやつらに、見えるけど?」
蕪 りんご「男子はみんな、尾石さんには優しいよ」
尾石 桃姫「そうなのかなあ? ま、とにかくさ。敬語とかいいからっ! りんごちゃん。あたしたち、幼稚園から一緒なんだし!」
蕪 りんご「うん」
尾石 桃姫「ねえ、そのブラックジョークさんって」
蕪 りんご「ブラックジョンソン」
尾石 桃姫「おう。その人の本名は聞いたの?」
蕪 りんご「ううん。今日の12時に、駅前に来てください、しか言ってない」
尾石 桃姫「ええっ!? そ、それで来るのかな?」
蕪 りんご「信じてる。いつも凄く優しい。悪魔みたいな人だけど」
尾石 桃姫「意味がわからないんだけど」
蕪 りんご「外面はいいんだって」
尾石 桃姫「それ、自分で言うこと? あ、丁度12時ね。もう居るかな?」
蕪 りんご「緊張してきた」
尾石 桃姫「大丈夫だって! メールとかは? 来てる?」
蕪 りんご「メアドとかは、わかんない」
尾石 桃姫「えーっ!?」
蕪 りんご「あ、チャットがきてる」
尾石 桃姫「おっ。なんて?」
蕪 りんご「着いたよ、って」
尾石 桃姫「りんごちゃん!? 大丈夫!? 凄い汗だけど!!」
蕪 りんご「う、う、う、うん」
尾石 桃姫「しっかり! チョコ渡すんでしょ!」
蕪 りんご(深呼吸して)「桃姫ちゃんは、渡す人居ないの?」
尾石 桃姫「あたしは貰う専門っ!」
蕪 りんご「いいなあ」
尾石 桃姫「自分に自信があるんだもーん」
蕪 りんご「それも、才能だよね」
尾石 桃姫「さ。行っておいで?」
蕪 りんご「えっ」
尾石 桃姫「見守っててあげるから!」
蕪 りんご「でも、二人、居る。どっちだろ」
尾石 桃姫「えっ? あっ」
駅の前には、男性が二人居る。
尾石 桃姫「ほんとだ。どっちだろうね」
蕪 りんご「うーん」
尾石 桃姫「チャットで、服どんなのって聞いて!」
蕪 りんご「でも向こうオフラインになっちゃった」
尾石 桃姫「えー!? もう! なんでメアドと電話番号聞いておかないのよ!」
蕪 りんご「ごめん」
尾石 桃姫「って、!!? ちょっ!! りんごちゃん。あれ、うちのクラスの行平 武蔵と甲羅 小次郎よ!?」
蕪 りんご「えっ?」
尾石 桃姫「学校で会ったことあるでしょ!? ってか、苛められたんだよね?」
蕪 りんご「嘘、ブラックジョンソン」
尾石 桃姫「どっち!?」
蕪 りんご「わ、わかんない」
尾石 桃姫「なんでよ!? 毎晩声聞いてるんじゃないの!?」
蕪 りんご「聞いてるけど、通話じゃ、現実とは」
尾石 桃姫「ああ、もうっ!」
蕪 りんご「ブラックジョンソンの、魔力を、読む」
尾石 桃姫「そういうのいいから!」
蕪 りんご「でも、きっと、わかるはず」
尾石 桃姫「いやっわかんないでしょおっ!」
五分前。
行平 武蔵「甲羅?」
甲羅 小次郎「武蔵? おお、昨日ぶりっ!」
行平 武蔵「お前も待ち合わせ?」
甲羅 小次郎「うん! まあそんなとこ!」
行平 武蔵「へえ」
甲羅 小次郎「……顔見たことないんだよなぁ」(呟いて)
行平 武蔵「えっ? お前も!?」
甲羅 小次郎「えっ?」
行平 武蔵「変なの」
甲羅 小次郎「まぁ。変だよなぁ……。でも」
行平 武蔵「あれ? ……あれって尾石 桃ヒメじゃね?」
甲羅 小次郎「えっ? あっ、ほんとだ!」
行平 武蔵「もしかしてお前、桃ヒメと待ち合わせ?」
甲羅 小次郎「えっ!? い、いや~。あはははっ」
行平 武蔵「まじかよ」
甲羅 小次郎「お前は?」
行平 武蔵「まあ、俺も待ち合わせなんだけど」
甲羅 小次郎「なあ、桃ヒメの後ろに居るのって、カブラじゃね?」
行平 武蔵「うわ。ほんとだ」
甲羅 小次郎「私服真っ黒なんだな……」
行平 武蔵「見た目は可愛いのにな……」(呟く)
甲羅 小次郎「あ?」
行平 武蔵「何でもない」
甲羅 小次郎「~……こないだ悪いことしたな? 放課後」
行平 武蔵「あ~」
甲羅 小次郎「俺手伝おうとしたら余計なことしちゃって」
行平 武蔵「俺も」
甲羅&行平「はぁ……」
尾石 桃姫「もおおお! ちょっと二人に聞いてきてあげるっ!」
蕪 りんご「あっ桃姫ちゃん」
尾石 桃姫「ちょっと! 行平っ! 甲羅っ!」
行平&甲羅「あ」
尾石 桃姫「コンニチハ」
甲羅 小次郎「どうしたの?」
行平 武蔵「?」
尾石 桃姫「ねえ。ブラックジョンソンって知ってる!?」
甲羅&行平「ブラックジョンソン?」
尾石 桃姫「そう。知ってる?」
行平 武蔵「ぷっ。ブラックジョークじゃなくって?」
尾石 桃姫「そう!」
甲羅 小次郎「桃ちゃん、もしかして男と待ち合わせしてんの?」
尾石 桃姫「えっ?」
甲羅 小次郎「ひょっとして援交~?」
行平 武蔵「うわ、ショック」
尾石 桃姫「違うわよ! んもおっ! バーカッ!」
尾石、りんごの所に小走りで戻る。
尾石 桃姫「りんごちゃ~ん!」
蕪 りんご「どうだった?」
尾石 桃姫「ブラックジョンソンって、紳士!?」
蕪 りんご「え、うん。凄く」
尾石 桃姫「じゃあどっちでもない!」
蕪 りんご「え、あ、そう?」
男二人、やって来て。
甲羅 小次郎「ちょっとちょっと」
蕪 りんご「ひっ」
甲羅 小次郎「なんの相談?」
尾石 桃姫「関係ないわ! どっか行って!」
行平 武蔵「誰かと待ち合わせ? カブラ」
蕪 りんご「えっと」
甲羅 小次郎「俺達も、人を待ってて」
蕪 りんご「え? あ、ああ」
甲羅 小次郎「何、カブラ、チョコ渡す相手なんて居るんだ? ははっ!」
蕪 りんご「あ、え、う」
尾石 桃姫「ちょっと! ばかにしないでよ!! 初恋なんだからね!!」
行平 武蔵「ブラックジョークに?」
蕪 りんご「ブラックジョンソン!」
行平 武蔵「へんなの。会ったこともないのに」
蕪 りんご「行平くんには、関係、ない」
行平 武蔵(声を変えて。蕪の側に寄って)「そう? でも俺の為にそのバレンタインチョコ作ってくれたんだよね? りんごちゃん」
蕪 りんご「!!!! 魔王、様?」
行平 武蔵「あはは。やっぱりカブラか」
蕪 りんご「行平くん、が?」
行平 武蔵「はじめまして。ブラックジョンソンです」
蕪 りんご「!!!! っ!!」(逃げる)
行平&桃姫「ああっ!? りんごちゃん!?」
行平 武蔵「ちょっと! なん逃げる!? おーいっ! ちょっと待ってっ! あっ、じゃあな! 桃ヒメ、甲羅っ!!」
甲羅&尾石「は、はい」
蕪 りんご「いぁぁぁぁぁ~! ついてこないで~!」
行平 武蔵「待って! 前! ねこっ! 危ないっ!」
蕪 りんご「っ! はいっ」
行平 武蔵「よしよし。いいこです」
蕪 りんご「24歳じゃ、なっなかったっ」
行平 武蔵「でも信じたでしょ? 声オッサンだからね」
蕪 りんご「手、手っ、う、う」
行平 武蔵「約束したでしょ? 繋ぐって」
蕪 りんご「う、う、う、う」
行平 武蔵「行こ?」
蕪 りんご「これ! あげます」
行平 武蔵「おー。ありがと! んじゃま、公園でも行こっか」
蕪 りんご「ゆきひらくん!!」
行平 武蔵「はい」
蕪 りんご「すき、でし、た……」
行平 武蔵「でした?」
蕪 りんご「です!」
行平 武蔵「ぷっ。……はい」
行平 武蔵(彼女に耳打ちして。ウイスパー)「俺もです」
二人、ちゃんと手を繋ぎ。去っていく。
甲羅 小次郎「ろんりー姫?」
尾石 桃姫「おお、おお、そうですともよ」
甲羅 小次郎「時間あるなら、俺と一緒に来ます? あ、トラックきたきた。今度親が猫カフェやるんだけどさー。いっぱいね、今日猫が届くんだよ」
尾石 桃姫「ねこ!? ねこめっちゃすき!!」
甲羅 小次郎「あはははは。じゃー行きましょっか」
尾石 桃姫「ねこおおおお」
甲羅 小次郎「ハッピーバレンタイン、っすね!」
尾石 桃姫「なによ。あんたにあげるもんなんかないわよ?」
甲羅 小次郎「そう? それは残念ですね」
尾石 桃姫「ふふふ。りんごちゃん、がんばれ」
甲羅 小次郎「いい親友ですこと」
尾石 桃姫「甲羅。キスくらいなら、いいよ!」
甲羅 小次郎「まじかあ」
尾石 桃姫「ふははっ」
甲羅 小次郎「じゃあ。頑張ろうかな?」
尾石 桃姫「わっ!? 甲羅の手、あつっ!」
甲羅 小次郎「一応緊張してんだよ」
尾石 桃姫「はー!? ふふふっ」
甲羅 小次郎「あ、見て。空」
尾石 桃姫「あっ」
甲羅&桃姫「ねこみたい!」
尾石 桃姫「笑ってる~」
甲羅 小次郎「お手をどうぞ? お姫様」
尾石 桃姫「あははっ」
おわり