第二話 始まりの終り 前編
懲りずに二話目。少し長くなってしまったので前・後編で分けときました。
狩谷さんから開放され、やっとの思いで席に着くと、
「ま~た、狩谷と仲良く登校か?お前も懲りないな。」
そう呆れ顔で言って来たのは、同じクラスの佐津間 仁だ。スリムな長身で、整った顔の仁は、女子の評判も高い。年上の彼女もいるらしく俗に言うリア充とか言う奴だ。爆発すればいいのに・・・・。
なのに、呪いかと思うほどこいつとは、小中高が同じ学校・クラスと縁が深い。
「別に狩谷さんと一緒に登校してない!今朝は猪野さんと「「っあぁ??!!」」・・・・・なんでもないです。」
盗み聞きしていたらしいクラスメイトが、一斉に殺意に満ちた視線を飛ばしてきた。猪野さんと二人きりで登校した事がばれたらそれこそ本当に殺されかねない。
仁は哀れな物を見るような目で
「そうか・・・・お前はついに猪野さんと一緒に登校する妄想までするようになったんだな。可哀想に。崖の上にいる無免許すご腕の医者を教えてやるよ」
「いや。それはどう考えてもブ○ック・ジャッ○だろ!!作者に謝れ!!」
何故だろうか。僕のクラスには話しているだけで疲れてしまう奴が多すぎる。本当に呪いなんじゃないだろうかと疑ってしまう。今度、神社で除霊して貰わなくては・・・・
と考えているとホームルームが始まり先生が教室に入ってきた。先生の名前は未だに覚えられない。これも、呪いなのかもしれない・・・・・いや、覚える気が無いだけか。
「いきなりだが、今日から転校生がうちのクラスに来る事になった。」
そう言うとクラスがざわめき始めた。こんな時期に転校生なんてあるのだろうか?
「では、入ってくれ。」
教室の扉が開き一人の女の子が入ってきた。
「新しくこの学校に転校して来た、杉野 愛です。よろしくお願いします」
日本人離れした美少女がそこにいた。腰まで伸びた漆黒の髪の毛。スラリと伸びた足。雪のように真っ白の肌。吸い込まれそうな目。
あの、可愛い物に目が無い狩谷さんでさえも、口をДとしばらく固まっていたほどだ。
しばらくすると「綺麗・・・。」誰かがポツリと言った瞬間、
「キャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」
女子が同時に声にならないほどの叫びを上げた。
「可愛いすぎるうぅぅぅぅ!!!」「ねぇ?ねぇ?持ち帰っていい?お持ち帰り可能?」
「何処に住んでるの?」「愛してます。子供作りを前提に結婚してください」
女子は嵐を思わすような質問攻めだったが、杉野さんは笑顔だが、どこか顔が引きつっているように見える。・・・・もちろん最後の告白は狩谷さんだ。
男子はというと、未だにその美貌に目を奪われている。
「皆さん落ち着いてください!杉野さんが困っているじゃないですか!」
猪野さん流石!と言うべきであろうか。皆渋々と席についていく。
「有り難う猪野。それじゃぁ杉野の席を決めたいんだが・・・・本島。お前の隣りでいいだろう。」
いきなりのことで、すぐさま反応できなかったが、クラスの皆が僕のほうを向いたので、やっと気がついた。明らかに嫉妬&憎しみの視線だ。
このままではヤバイ。本能がそう言っている。
「ちょっ。待って下さい先生!!!僕じゃ杉野さんが困った時なんも出来ないと思います」
言ってて悲しいが、言うしかなかった・・・・・・酷いなこのクラス。
「私じゃ嫌でしょうか?」
杉野さんが潤んだ目で言ってきた。悩殺だ。
ハイ。降参です。クラス全員を敵に回そうが、僕は杉野さんの隣の席を死守すると心に誓った。
なんかストーリーずれてますね。
設定は守るつもりです。