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水の恐怖

排水路の恐怖

作者: 稲葉小僧

豪雨の雨音の中に、奇妙な音があるのに気づく俺。

少し小雨になったので、近くのコンビニへ買い物に行くと・・・


昔の日本では、こんな雨量は台風でもないと記録されるようなことはなかった……

今じゃ、ちょいと長雨が続くと、合計で数100mmの降雨量で、土石流や河川の氾濫など日常茶飯事。


晴れたら晴れたで、猛暑どころか「酷暑」という暑い日の名称まで考え出されてしまった。

このままでは、南極の分厚い氷の層まで溶けてしまうと、一部の左巻き系学者が騒ぎ、左巻き学生が、さも英雄であるかのごとくに過激な発言をして話題をさらっている。


まあ、俺にとっちゃ、右も左も関係ない。

今日も朝から豪雨のため、どこに出る気も失せた俺は、自宅ベッドの上で、遅い朝食を摂っている。

雨音に混じり、何か妙な音がするのに気がついた。


ぼこ、ぼここ、ぼこぼこぼこ


泡が弾けているような、酸素呼吸器つけた人間が喋ろうとしたらなんて音のような。


マンションの高層階だぞ?

こんな音、聞いたことないんだが……

まあ、そういう俺も、このマンションには数年前に引っ越してきたばかり。

こんな豪雨なんて今までなかったので、もしかしたら排水口の異常でこんな音が?

そんな事を考えながら、少しは小雨になったので、俺は傘を出して買い物に行く。

一階へエレベータが到着する。

俺はマンションを出て、近くのコンビニへ。


コンビニまで行く間にも、道路の端にある排水路から、例の音がする。


ぼこ、ぼここ、ぼこぼこ ぼこ、ぼここ、ぼこぼこ ぼこ、ぼここ、ぼこぼこ


見方を変えれば、何かリズミカルなような何かの言葉のような……


ぼこぼこぼこぼこ、ぼここここ、ぼこぼこ ぼこぼこぼこぼこ、ぼここここ、ぼこぼこ


ん?

リズムというか、音が変わった?

と俺が思った瞬間!


どご


という音と共に、雨水が排水路から溢れ、空高く上がったと思いきや、俺の上に降りかかってきた。

いや、降りかかってきたというより、覆いかぶさってきた。

傘を差していなかったら、俺は瞬時に水に飲まれていただろうと思えるほどに大量の水。

傘は数秒後に破れ、俺は本当に水に飲まれる。


俺の気が遠くなる前に、あの音、いや、声が聞こえた……


ひとりで いきたくない いっしょに あんたも おれたちと いっしょに……


気がついたら、俺は病院のベッドに。

俺が水に飲まれる寸前、対抗車線をこっちに向かっていた車が俺に気づいて救助してくれたらしい。

数日で退院できた俺だけど、それから豪雨じゃなくても雨の日には、


ぼこ、ぼここ、ぼこぼこ ぼこぼこぼこぼこ、ぼここここ、ぼこぼこ


この水音、いや、声が聞こえる。

いつか、俺もこの声の一員になるのだろうか……


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