ぬいぐるみの持ち主~男性主人公~(各小説それぞれ別々にお読みいただけます)
この中で幼馴染と浮気しているのは誰だ? 性格の悪い幼馴染の悪事は暴かれましたが、なぜか色々解決した後で俺が美少女同級生に好かれてしまっています
俺の姉は私立探偵で、浮気調査が得意で有名だ。
そして姉から散々その技術を聞かされた俺も、浮気調査がいつの間にか得意になっている可能性がある……?
「ってことで、幼馴染の浮気調査お願い! あんたの幼馴染でもあるでしょ?」
「まあそうだけど…」
今俺にお願いしてきている早紀と、浮気してる疑惑がある里帆と、俺は確かに保育園で幼馴染だった。
けど、俺は小学校低学年くらいで引っ越したので、幼馴染感はそこまでない。
またこの街に帰ってきて同じ高校になったら、里帆が派手になっていてびっくりしたって感じだ。
さて、そんな里帆はクラスでイケメンと言われている男と付き合っていたはずだけど…。
「浮気疑惑が里帆にあるのか…」
「うん。そうなんだよ。私、この前里帆が彼氏じゃない男五人とカラオケに入るのを見たんだけど…」
「なるほど」
「私はぼっちでヒトカラして、その後お店を出たら、誰かと抱き合ってたのよ里帆が」
「だけどその五人のうち誰かはわからないんだ」
「うん。だってカラオケ店に入る時は明るかったけど、帰りは暗かったんだもん。里帆は見慣れてるから里帆だってわかったけどね」
「その五人は誰なの?」
「隣のクラスの陽キャグループの五人だよ」
「ああ、あの五人か…」
「じゃあ、誰と浮気してるかの調査よろしく!」
「ええ…ていうかなんで、そんな誰と浮気してるのか知りたいの?」
「興味があるんだよ。だって里帆は幼馴染だしね」
「そっか…」
なんとなく納得したので俺は調査してみることにした。
そして調査したらすぐに、この人な気がすると俺は予想を立てられた。
「なんでそんな予想できるの?」
とりあえず早紀に報告したら驚かれた。
俺は予想した経緯を説明した。
「みんなの鞄を見たんだ。みんな大体机の横にかけてるだろ」
「人の鞄をじろじろ見るって不審者だね」
「うるさいなあ。だって調査しろって早紀が言っただろ」
「ま、まあそうだけど。でも鞄見て、何がわかったの?」
「里帆と同じシリーズのぬいぐるみをつけている人がいたんだ」
「なるほど。カップルでお揃いってことね」
「厳密にいうとお揃いではなくて、知らない人が見たら全然違うぬいぐるみに見えるんだ。けど、俺がネットで調べたら、マイナーなキャラだけど、しっかりカップルって設定だったよ。里帆のぬいぐるみのキャラとその人のぬいぐるみのキャラが」
「へえ。で、その人って誰?」
「泰介だよ」
「えっ、一番なさそうだなって個人的に思ってた…」
「なんでだよ」
「だって里帆はサッカー見るのが好きでしょ。泰介は野球部じゃん」
「あんまり関係ないんじゃないか…?」
「まあそうかな。じゃあ、こっから泰介を尾行とかしてくれるの?」
「いや…そういうのは姉ちゃんに…」
「うわ。プロに任せなさい、お金は取りますってことね」
「そりゃそうだろ。俺の優しさで早紀の興味あることを調べてあげてたんだから」
「はあ…まあいいかここまでで。まあじきに浮気はバレるでしょう」
「なんなんだよ」
「なんで私の諦めがいいか知りたい?」
早紀が俺を見つめてきた。
「知りたいね」
俺はそう返す。
「まあ、もうちょい待ってから教えてあげるよ。それか自分で考えて」
「あ、そうすか…」
そしてその後、泰介と里帆の浮気がバレて、学年中で話題になった。
もちろん俺は姉ちゃんに何か頼んだりもしてなくて、二人が明るい道端でも抱き合っていてバレたらしい。
そんな不注意な感じなら、わざわざ俺が鞄から予想を立てたりもしなくてよかったなあ。
と思っていたら、教室で早紀に話しかけられた。
「勘は当たってたね」
「一応根拠のある予想したじゃん」
「ぬいぐるみからね」
「ああ、そうだけど…」
「むー」
「なぜ納得していないんだ」
「なんでかって言うとね、気づいてくれないから。ちゃんと調査の時は鞄についてるぬいぐるみまで見るくせに」
「えっ、鞄についてるぬいぐるみ…えっ、ちょっと待った。嘘だろ⁈」
俺はびっくりした。
自分の鞄に見知らぬ、ぬいぐるみがついていたから。
「え、これ…誰の? もしや、早紀の…? いつからつけた…?」
「五日前くらいよ。それなのに気づかないなんてね。なんとかしてあなたが自分で気づくように作戦を立てたのに…。自分の鞄を見なさすぎよ」
「ま、まさか俺がこのぬいぐるみに気づかないから、浮気調査の依頼をしたのか? 早紀は里帆と泰介のぬいぐるみのことまで全部知ってて」
「どうだろうね〜」
「だってさ、暗い中で、里帆は見慣れてるからわかったけど相手の男は誰だかわかんなかったとか怪しいじゃん。そんな状況あるのかよ」
「教えない。とにかく、そのぬいぐるみはあなたにあげる。ちなみに…」
早紀が自分の鞄を見せた。
「お、おそろいだと…」
「あの浮気カップルとは違ってね、全く同じ。同じシリーズとかじゃなくてね」
「あ、はい。で、でもこれってどういうこと…?」
「は、はあ? わからないの? めちゃくちゃ誘導してるよ!」
「いや、もし第三者がこうなってたら、あ、この二人は正真正銘の堂々と周りにも言える、ラブラブなカップルなんだなって思うけど」
「じゃあ、それでいいじゃん!」
「え? 俺らって、幼馴染…」
「だけじゃ私は嫌だもん」
「ま、マジか…」
「私たち、正真正銘の堂々と周りに言えるラブラブなカップルになろうよ」
「な、なるのか…」
「私、実はEカップになったよ。背は小柄なままだけど」
「え、お、おお。……それなら…」
「はあ? それならってどういうことよ。変態!」
「す、すみません…」
「で、私と付き合ってくれるの?」
「もちろん」
「あ、そう。じゃあ今ハグしよ!」
「お、おい。ここ教室……」
「今は朝早いから誰もいない。だからオッケー」
で、早紀が抱き着いた途端に、二人女子が登校してきて、俺たちはクラス中から色々欲が強いカップル認定されてしまった。
一方で俺は、ほんとにEカップはあるなと思ったのだった。
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