昭和のギャグマンガみたいな!?幼き兄妹鬼ごっこの想い出
2つ年上の兄とは、小さい頃は本当に仲が悪かった。
毎日毎日、毎日ケンカして必ず、泣かされた。
遊びの時も勉強も、なんやかんや兄の真似をする私と、それを馬鹿にしたり貶したり、あれやこれやと意地悪して来る兄。
この兄には、口でも力でも、どうしても敵わなかった。いっつも私が泣き出すまで意地悪してくるから、悔しくて悔しくて堪らない。
最終的には「おにいちゃんがいじめる!」と母や父に泣きつく。
「なんでいじめるんだ!」と父に諫められて、しぶしぶ兄は引き下がる。けどその舌の根も乾かぬうちに、しばらくするとまたケンカが始まる…。
「またお兄ちゃんがいじめるー(泣)!」そんな毎日だった。
幼稚園の年中さんかそこらだった私。だとすると兄は小1。その年頃の子供にとって2年の差は凄く大きい。成長度合いも「大人と子供?」ってほど目に見えて違うし、父母の注目を巡ってのライバル感情ってやつも、実は兄妹ならではで互いに譲らぬほどゴリッゴリに強い。そういう「ぼくがいちばんじゃなきゃやだー!」「ちがう、あたしがいちばんなの!」なんて自己主張がぶつかりあうのも、成長過程でみなが通る道。所謂、ギャングエイジ真っ只中の兄妹げんかであった。
兄の立場・彼の言い分も、今ならちょっと理解できるとこはある。わけもわからずやたらと自分のまねっこをするわ、ダメと言ってもくっついてくるわ…。彼にとってはほんと足手まといの邪魔しんぼな妹…、だったことだろう。
でも私は、兄や年上の子達と遊ぶのが大好きだった。同い年や年下と遊ぶよりずっと刺激的で、ちょっとだけ大人びた遊びの世界があって、楽しかった。
だから、どんなに邪険にされようと、金魚の糞みたいにくっついていってはその中に混ぜて貰った。
最終的に泣かされて家に帰るにしても、懲りることはなかった。
ある日、いつものように兄の友達に混じって、いつもどおり元気に遊んでいた。
鬼ごっこをしていたと思う。じゃんけんで最初、鬼を決める。さわり鬼、かなんかだったろう。
逃げ回る仲間にタッチできたら、鬼交代。とてもシンプルな遊び。
じゃんけんで勝って、まずは逃げる。でも小さい私は走るのも遅いし、すぐに鬼が回ってきた。
鬼になったからには一生懸命鬼じゃない子を追いかけまわすんだけど、相手は年上のやんちゃ盛りな男の子たち。妹だからって手加減なんて絶対しないし、そりゃあ叶うわけがないよな。
結果ずーっと自分が、追いかけるばかりの鬼。 ちっとも交代できやしない!
そのうち疲れちゃって、どんどん走るのも遅くなる。益々、交代できない。
そんな必死の私を見ても、「やーい、つかまえてみろー!」って囃し立て私をあざ笑いながら、彼らは無慈悲に逃げ続ける。
おちびさんが可哀想だからそろそろ代わってあげようか?なんてアニメとかで居そうな正義の味方的優しい兄ちゃんは、まあいなかった。
昭和の子供、異年齢ギャングの遊びでは当たり前な、シビアさだった。
けど、私にしたら余りにもフェアじゃない鬼ごっこだ。
泣きべそ掻きながら仲間を追いかけ続けていた私は、とうとうキレた。
そのときは、おままごとするために用意してたのか 玄関前に置いてあった60センチ角位の折れ足テーブルが、たまたま目に入った。
「そんなに意地悪するなら、ぶつけてやるー!!」ヽ(`Д´)ノ!!!
怒りと悲しさと悔しさにぶっちぎれてしまった私は、追いかける足をターンさせテーブルへ駆け寄った。
そしてそのテーブルの天板をぐわしっ!とつかむと頭の上に持ち上げ、エンエン泣きながら兄たちに向かい脱兎のごとく駆け出した!!
突然豹変した味噌っかすな妹にビックリ、半ば呆れた様子でわっと逃げる兄たち。
泣きべそかきかき、怒りの凄い形相で、裏返しのテーブルを掲げたまま追いかけまわす私。
当人は必死の思いだったが、傍から見たらかなりシュールで笑える絵面だったことだろう。
とはいえ、そんな風に仕返ししようとしたって、余計に追い付くわけがなく。
しばらくして疲れも諦めもありパタッと泣き止んだ私は、テーブルと共に鬼ごっこ自体もポイっと投げだして、悔し泣きの腫れぼったい仏頂面のまま、夕刻の家へと戻ったのだった。
今考えると。身体の小さな幼稚園児が、折り畳みとはいえ自分の身体半分以上ありそうなテーブルなんぞをよくまあ、頭の上なんかに持ち上げたもんだな、って思う。
「火事場のなんとやら」だったのだろうなぁ。
人って皆どっかに「イザ!」ってときの「馬鹿力」を自覚無く潜在的に持ってると聞く。身体の大小とか年齢にかかわらず。「人体の不思議」ってやつだなあ(笑)。
この時の記憶は不思議と、俯瞰の映像で覚えている。
怒ってテーブルを掲げ、ギャン泣きしながら走り回る私を、兄目線で見ているような感覚だ。
ちびまる子ちゃんかクレヨンしんちゃん?はたまたサザエさんか。
昭和のギャグマンガみたいな、当人は真剣そのものだったんだけどつい笑っちゃう、幼い日の記憶だ。




