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テーマ詩集:果樹園

林檎を捥ぐように

作者: 歌川 詩季

 梨もぎにいきたい。和梨。

 なだらかな 道がつづけば

 きりたつ崖に 立てる爪を()くすだろう

 まるい指 やさしい手だって

 ほおずりする そのつら はたいてやるさ


 林檎(りんご)()ぐように 首を()ぎにくる

 鉤爪とは このままでは やりあえないから


 なまくらめ

 赤錆の海に 沈めた月を(さら)

 なまくらめ

 黒鉄(くろがね)の爪を 打ち鳴らし刃こぼれさせる



 ぬくもりと いとしさだけで

 生きていける あの群れが嫌いなんだ

 とがる指 (こご)えた手だって

 憐れむ目を ならべた回廊(コリドー)を渡れ


 林檎(りんご)()るように 骨を(けず)りとる

 それもひとつの強さだと いまじゃわかるから


 なまくらめ

 青錆の森で (しず)めた胸を(えぐ)

 なまくらめ

 白銀(しろがね)の爪を すりあわせ刃軋(はぎし)りさせる

>青錆の森


 青森、に見える。林檎だけに!

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― 新着の感想 ―
[一言] 穏やかな場所は居心地が良くて、いつまでもそこにいたいけれど、敢えて変化を求めて、未開の世界に旅立っていくような、意志の強さが感じられる作品ですね。 「赤錆の海に沈めた月を浚う」の一節が特に好…
[一言] 感想読む限り、 なまくらは語り手自身なんでしょうけど ゆるい世界、みんなで認め合う世界に対して 悪態をつくように「なまくらめ」と言っているようにも見えて そんな甘えた考えを持つ奴らとやり合…
[一言]  孤高、ですね。  そう在れる心こそ、何にも屈さない鋭く強いもの。  見惚れる輝きは、爪ではなくてそこにあるのかなと感じました。
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