⑻高ランク冒険者の定義
今日は鼻持ちならない嫌な奴が出てきます。
正直自分はこういう奴は嫌いですね。
リヒトが初めて刀以外の技を使います。
そして相変わらず無双しちゃいます。
本編をお楽しみください。
「あ!リヒト、見えてきたよ?あれが商業都市キリリカだよ」
クロトが全方を指差して教えてくれる。
「へぇ〜流石商業都市。栄えてるな〜」
俺は遠くに見えるキリリカを見ながら言う。
城壁に囲まれているが、遠目からでもわかるほど人の出入りは多いようだ。
門の前に沢山の人が並んでいる。
「そりゃまあ〜この国一番の商業都市ですからな」
「へぇ〜そうなのか?ナムルさんはここに店を構えてるのか?」
「えぇ、そうですよ?ご入用な物がありましたら、是非我がナムル商会ヘお越しください」
「考えとくよ」
腐っても商人だな〜と感心しながらナムルさんを見る。
「リヒト、キリリカに着いたら、冒険者ギルドに案内するよ」
「ああ、サンキュークロト。助かるぜ」
「うん」
「ギルドで登録すんならついでに討伐した魔物の素材を売ろうぜ?」
「そうだね」
にっこり微笑んで応えるクロトと、着いた後について予定を立てる。
そうこうしている内にキリリカに着く。
列に並び順番が来るのを待っていると、一人の冒険者が列に割って入り、我が物顔で
衛兵へと絡み始めた。
「おい、俺様はS級冒険者のライラック様だぞ?今すぐ通しな」
「困ります。S級冒険者であろうと規則は守っていただかないと!」
若い衛兵が食い下がり、押し止めようとする。
中年の衛兵達もそれに助太刀するが、相手は高ランクの冒険者。
押され気味のようだ。
「はぁ…高ランクの冒険者ってあんな奴等ばかりなのか?クロト」
「い、いやあの人だけだよ?あんな態度を普段から取るのは」
「ふーん、高ランク冒険者って他の冒険者の模範になる奴に与えられる称号だと、俺は思ってたんだが…違うみたいだな?」
俺は相手に態と聞こえるように声を張り上げて言う。
すると、それを聞きつけたライラックが振り向き、俺を睨んできた。
「今言ったのはテメェか餓鬼?」
「だったら何だよ?俺は間違ったことは言ってねぇと思うが?」
「チッ誰かと思えば、そこにいるのは万年Dランクのクロトじゃねぇか?こいつお前の連れか?」
「護衛依頼の先で知り合った凄腕の旅の剣士ですよ?彼は…」
「はぁ?こいつが凄腕?こんなひょろガリな餓鬼がか?笑わせんな」
「お前こそ笑わせんな!俺の親友を馬鹿にすんな!斬るぞ?」
軽くライラックに殺気と威圧を飛ばす。
額から汗を吹き出しながら、必死で俺の殺気と威圧耐えるライラック。
俺はそんな奴を鼻で笑ってやった。
「ふん、冒険者でもない一介の剣士の威圧と殺気をギリギリでしか耐えられない奴が高ランクだと?基準が甘過ぎるんじゃないか?」
「何だと?クソ餓鬼!もう一度言ってみやがれ!」
剣を抜き、斬りかかってくるライラック。
「この程度の挑発にキレるとかたかが知れてるな。しっ!」
俺は素早く刀を抜き、抜刀術で奴の剣を柄の根本から斬り、刃を吹き飛ばす。
目にも止まらぬ早業でそれを成し、静かに鞘に刀を納める。
鞘に刀が収まりきった音で、我に返るライラック。
「な!俺の剣が…根本から折れただと?」
「阿呆か?折れたんじゃない斬ったんだ。よく根本を見ろ。お前の目は節穴か?」
呆れたように、指摘する。
「斬っただと?剣をか?」
「だからそう言ったろ?耳も遠いのか?」
再度溜息をつく俺。
面倒だが説明してやる事にした。
変にごねられてイチャモンつけられても困るからだ。
「俺の刀は、斬ることに特化した武器だ。この大陸で一般的に使われている片手用直剣とは違う。片手用直剣は斬るというより叩き潰しながら切る武器だ。刀は極限まで鍛え上げられて斬ること自体に特化した物。研ぎ澄まされ放たれた一撃は鋼をも斬り裂く」
「…」
自分の剣を見つめ呆然とするライラック。
「これに懲りたら、その横柄な態度を改め、冒険者達の模範になるんだな」
ライラックに背を向け、クロトの元へと戻る。
「リヒト!危ない!」
クロトに声を掛けられる。
背後から切られた剣を手放し、殴りかかってくるライラック。
だが、俺にはその動きは読めていた。
何処までも器の小さい男だ。
過ちも認められないのかよ?
俺は冷静に奴の攻撃を避け、懐に潜り込むと反撃する。
「美鏡古神武術・徒手空拳陰陽の術・一の型・掌底発勁!」
体内の気を操り、拳に集中させて掌底と共に相手に打ち込む技をカウンターとして放つ。
ライラックの腹に見事に入り、奴が後方に吹き飛び壁に激突して地面に落ちる。
冒険者でもない一介の剣士が、高ランク冒険者をあっさり倒したという事実に周りは騒然としていた。
如何でしたか?
お楽しみいただけましたか?
相変わらず無敵主人公ですね〜リヒトは。
まだまだ研修中なので、今日は投稿できないかもしれません。
投稿出来そうだったら投稿します。