テーピング
ビルの裏、タバコをふかしていたら悪魔が現れた。
「お前の疑問になんでも答えてやろう。答える者も選ばせてやろう。答えも選ばせてやろう。貰うものは一人分の命だ」
二つだけ質問することにした。
「僕は君のことをけがしてしまったが、君は僕のことが嫌いか」
すると思い浮かべた人物が目の前に現れて答えた。
「誰ですか」
目の前の人物は人波に消えていった。僕は死んだ。
次に深呼吸をして質問を唱えた。
「あの腱鞘炎は何が原因だったんだ? 君はピアノもしていない。スポーツも。右利きなのに左手に」
すると彼女が現れた。
「腱鞘炎なんてしていないですよ」
そうして悪魔は死んだ。
タバコはぷかぷかと浮かんでいく。さあ、この煙が消える前に踏みつけるか。