第63話 迷いの森Ⅰ
「シェリーさん・・・・ウォルト殿に報告されたのですね?」
「はい・・・・」
「仕方ありません。私は迷いの森に向かいます。シェリーさんはどうしますか?」
「え?」
「ここで争っても仕方ないでしょう。きっとあなたの伝言を見たウォルト殿は迷いの森に瞬間移動で向かうでしょうから、私も早く迷いの森に行きます。私は瞬間移動が使えませんので、馬でいきます。ご一緒するならどうぞ」
「え?いいのですか?ハナ様は嫌がっていました」
「ハナ様は魔王を倒すところを見られたくないのです!あなたの事が大好きだからです。そんなハナ様にとって大事な方を私は傷つけませんが、ウォルト殿が迷いの森に入るのを私は止めます。その時にあなたがどんな行動を起こそうとも私には関係ありません。」
「行きます!」
「馬に乗れますか?」
「はい!」
それから2人は村の馬で迷いの森へと向かった。
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2人を囲んだ光がスーッとなくなると目の前に真っ暗な森があった。入口はどこかわからないし、凄く標高も高そう。1度入ったら普通に迷子になるレベル
「雷斗、制服は?お城の中?」
「そうだけど、制服いるのか?」
「うん、多分今日帰れる。帰るのにその格好はないよ?」
雷斗は騎士の格好をしている。マントもついていて元の世界に戻ったら恥ずかしくて道を歩けない。
「いいんじゃね?ハナだって、村娘みたいな服だろ?」
雷斗はそんな事気にしないみたいだった。
「私は制服持ってるよ。」
私は指先で四角を作って『収納魔法』
黒い空間から制服を取り出した。
「え!?嘘だろ?ハナはどこまで・・・・」
「お城の結界に私は通過できるんだよね?王女様に気づかれるけど雷斗の制服を召喚したら、着替えずにすぐに迷いの森に入るよ!いい?」
王女は『瞬間移動』が使える。私が結界を通過したらきっと私が勇者だとわかって、慌ててここまで王女が来るはず・・・・・・
「ハナは王女にバレたくなかったのか?」
「バレてもいいの、ただ魔王を倒しに来たことを知れば、王女もウォルも応援に来るでしょ?自分たちの世界なんだから。でも、人が多ければ多いほど、危険なの、一人も犠牲者を出したくないんだよね」
「ウォルやアルク様みたいに強ければいいんじゃないのか?」
「それなら私達を召喚せずに魔王を退治出来ている。できない理由があるんだよ」
「アルク様もウォルも倒せないんだな?」
「うん。だからさ〜私達だけで行こうよ。私は雷斗の強さを信じてる。だから雷斗も私の『言葉』を信じて」
「言葉?わかった。ハナを信じる。ハナ俺を信じてくれてありがとう。」
私は雷斗を見てうんと頷いた
「雷斗一瞬だからね!」
「あぁ。」
私は魔法陣を出した。『召喚魔法』お城の中の雷斗の制服をイメージした。
魔法陣の中央から制服が出てきた
「雷斗取って!行くよ。」
私は雷斗の手を握って急いで森の中に入った。
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アリス王女は側近のルイスと書斎で日々の業務に忙しくしていた。
「何?」
「王女様?」
アリス王女は急いで部屋を出た
「王女様どこに行かれるのですか?」
側近のルイスは慌てて王女を追った
アリス王女は勇者の部屋の扉を躊躇なく開けた
バンっ!!
ルイスも遅れる事なく王女の後ろについてきてその光景を目の当たりにした
「王女様!!結界は完璧なはずです!これは」
勇者の着てきた服が金色だけど虹色に反射した神々しい光の中に消えて行った
「外部からの結界干渉は不可能・・・・・ライトが腕を上げたのか?でも服がいるなら、今まさに魔王と対峙でしょう!!ルイス!!援護に向かいます!魔術騎士を迷いの森に連れて行きます!!」
「はっ、今すぐに手配します!」
ルイスは手を真上に上げ、信号を送る。
『至急戦闘準備!最終決戦に向かう』
アリス王女は透視で迷いの森を確認する
「いない・・・・・・?・・・・・っ!!間違いない!ウォルトが来たわ」
アリス王女がウォルトが迷いの森の前に現れた事を確認したが、そこにはすでにライトの姿はなかった。
すぐに、アロニーの村を確認するが
アルクとウォルトの使用人が馬でどこかに向かっている・・・・・
「迷いの森か?」
「王女様揃いました!」
ルイスの声に気づき、
「今すぐ、向かう心せよ」
アリス王女は魔法陣を出し、精鋭部隊20人程を連れて『瞬間移動』を発動させた
「ライトが結界を干渉したには、魔法の色が違う。誰の魔法?」
王女は頭に一瞬よぎった人をすぐに打ち消す。
「ありえない!」




