第6話 オークレール公爵邸
「ようこそ!我がオークレール公爵邸へ」
案内された家は、城下を出て馬車で30分ぐらいの場所だった。
凄く広くて、門から建物が見えない。どれだけ歩くんだろう。
さすがに玄関までは馬車で連れて行ってもらった。
「ここは別宅なんだよね。城下町にタウンハウスがあるんだけど、そこは城の目と鼻の先にあるから、連れて行けないし、こっちの方が広いから、ゆっくりできるよ!警備もしっかりしているから。」
「ウォルってお金持ちなのね。」
「んー正式には父がね!私はまだまだ子供だよ。」
「さあ邸の者を紹介するから中に入って!」
私はウォルに背中を押され、邸の中に入って行った。
そこには玄関ホールがホテルのフロアみたいに広くて使用人の方々がビシっと一列に並んでいた!30人ぐらい?
すごい!!
圧倒される。
「おかえりなさいませウォルト様!!!!」
一斉にお辞儀をした!誰1人ズレていない。軍隊みたいだった。
それからウォルは使用人を次々と紹介してくれたけど全く名前が覚えられない。
緊張とさっきの王女様との会話が衝撃だった事、そしてウォルの家がびっくりするくらいお金持ちだった事に何に驚いていいかもわからない。
一通り紹介が終わって、ウォルの耳元で私は話しかけた。
「ごめんなさい。ウォル・・・・・今は頭に入らないの。せっかく紹介してくれたのにごめんね。」
耳元で話したせいで、
ウォルの顔はみるみる赤くなっていった。
「ウォル?」
赤くなった顔を隠すように、ウォルは私の頭をポンポンっと撫でて、
「いいよ!また明日ゆっくりね。」
と言ってくれた
側にいた黒服の年配の方がウォルを見てとても優しく笑っていた。
「食事までは、部屋でゆっくりしててね。」
そういうと1人の侍女を紹介してくれた
「この子はシェリーって言うんだ。これからハナの身の回りの事してもらうから、何でもシェリーを頼ってね。」
シェリーは私と同じぐらいの年齢に見えた。
「ハナと言います!よろしくおねがいします。」
私は慌てて頭を下げた。
「ハナ様もっと気楽な感じで大丈夫ですよ!」
シェリーはニコッと笑ってくれた。
「じゃあ食事の時にね。部屋にある服に着替えて来てね。」
ウォルは年配の黒服の方とホールの奥ヘと行った。
「では参りましょうか。」シェリーの話し方は穏やかでとても耳に心地いい。きっと凄く優しい人何だと思った。
ウォルが優しいから使用人の方々もみんな優しいのかも?
「シェリーさん。」
シェリーは足を止めて、こちらを向いて驚いた顔をした!
シェリーは慌てて
「ハナ様、どうか私の事は、シェリーとお呼びください!」
「え?でも私・・・・・。」
「ハナ様の世界がどのような場所か存じませんが、ウォルト様が初めてお連れしました、大切な女性の方です!ウォルト様と同じくらい私達はハナ様を敬っております。」
とシェリーは綺麗なお辞儀をした。
そうかここのお辞儀はこんな感じでするのか、スカートの裾が短い私は出来ないわね!制服だから仕方ないんだけど〜。
「この先です。」
とシェリーは部屋ヘと歩き出した。
話しているうちに、部屋の前についた、シェリーが部屋の扉を開けると。
「こちらがハナ様のお部屋です。」
本で見た事がある中世のお部屋のようで、ベッドも広くカーテンみたいなのがついている!!!
ソファにテーブルにこの部屋1つがワンルームみたいだった。
「うわぁ~!素敵!なんて綺麗なお部屋なの〜。」
私は感動で部屋中を見てキャッキャしていた!
「あ。でも私はおまけでこの世界で来たので、ポイってされるところをウォルに拾ってもらっただけなので、何だか申し訳ないのですけど〜。」
シェリーはにっこりと笑って
「ウォルト様が助けられたのですか?では、やはりこちらの邸の者全てがハナ様を大切にいたします!」
「何でそうなるのですか?優しくしてくれるのは嬉しいのですが、私は最低限度の生活ができるようになれば、行かなければならないところがありますので。」
「では、それまではこちらの邸でゆっくりと過ごされるとよろしいかと思います。全てはウォルト様が指示してくださいますので、ハナ様は自由にされてください。」
「んー。いいのかな?」
シェリーはクスクスっと笑って
「では今からウォルト様とのお食事がありますのでこちらからお好きなドレスをお選びください。急でしたので、種類が少なくて申し訳ないのですが」
と言ってシェリーが見せてくれたクローゼットには50着以上のドレスが並んでいた!
「えーーーーー!?これで少ないのですか?」
この世界というか、きっとウォルの家が普通じゃない気がするわ。
「ハナ様ははじめてですので私が選んでもよろしいですか?」
シェリーは凄く気がきくらしくて、困っている私に恥をかかせないように先回りして答えてくれた。
「・・・・・・シェ・・シェリー?・・・ありがとう。」
そういうと、シェリーは優しく私に微笑んで、
「はい。」と言って
「さぁ!ウォルト様を待たせないように準備いたしましょう!!」
どこか楽しげなシェリーにされるがままな私だった。




