第54話 覚悟
それから私はアルク様と歩いて村に帰った。
帰る途中、何度も敬語になるアルク様を注意しながら。
「ただいまー。」
シェリーが村の入口で待っていてくれた。
「おかえりなさいませ。ハナ様」
「村は大丈夫だった?」
「はい。何事もございません。先ほどまでは、村中が大騒ぎでした。突然、勇者様が参られましたので。修行という事だったので、みんな勇者様の家の整備に向かっていますよ。」
「そう。じゃあ今のうちに、私は先に家に帰るね。シェリーは今日は1日村にいてもらえるの?」
「はい、そのつもりです。」
「じゃあ、見てもらいたい魔法があるの。少し練習したいから雷斗の様子を見に行ってもらえるかな?少したら家に来てくれる?」
アルク様が
「その魔法は何かな?私も見てもいいのかな?」
「はい。大丈夫です。では、アルク様の家に行きます。シェリーもアルク様の家に来てくれる?」
「はい、かしこまりました。ハナ様、少し雰囲気が変わられましたね。何かお困りでしょうか?」
「そうかな?ちょっと疲れたのかも。そうだ、ウォルが心配したらいけないから、状況をシェリーが送っててね。」
「はい。『ハナ様達は無事に村に戻って来ました』と連絡しておきます。」
私はシェリーに微笑んで、一旦家に帰った。
とにかく一人になりたかった。
もちろん魔法の練習は嘘じゃない。
でも、勇者だと自覚して今、私がやらなければならない事を整理したかった。
あまり時間をかけるとみんなが心配する
だから少しだけ、少しだけ一人になりたい。
家についてすぐに
部屋のベットに倒れるように横になった。
ウォル・・・・どうしよう。
魔王の倒し方がわかったよ。でも私にできるかな?罪のない魔物も退治できるのかな?
魔王のところまで、雷斗と2人で行かないといけない。
歴代の勇者様がどうやって倒したか、文献に載っていない理由がわかった。誰も現場に行かなかったから、行けなかったから、勇者が行かせなかったから。
勇者様は500年後の新たなる勇者の為に
『奥義』とだけ残したのね。
まー。確かに奥義に間違いないけど。
「よし!勇者をやらないという選択肢はないわ!お母さんとお父さんにきっとまた会える!友人達にも。だから先延ばしだけはできない。」
私は意志が固まった。
やるしかない。逃げ出したい気持ちが大きいけど、やらなければ2人とも帰れない。
攻撃や防御はきっと雷斗がしてくれる。
私は自分の足元に魔法陣を出した。
『物質移動』
私を隣の部屋に移動させた。
『瞬間移動』
そして今度は自分を元の部屋に移動させた。
やっぱり!魔法陣の形が違う。
人も移動させれるんだ。私は魔法を自分で試した。2つとも似ているけど、全く違う別物。
召喚は呼び出せるだけ、移動はどこにでも行けるけど、自分が一緒じゃないと移動不可。
私は生きている者をどこにでも送る事ができる。
・・・に送るなら、失敗はできない。練習ができない。
祭司様が私達を異世界から呼び寄せた魔法陣がどんなだったか、覚えていないから誰かに聞かなくては。
ウォル・・・・・
ウォルに頼もう。
本当は、もっとウォルが喜ぶような事を伝言の紙に書きたかったな・・・・・
私はウォルに祭司様の召喚の魔法陣を知っているかどうかを伝言の紙に書いた。
魔力を使うって言ってたよね。
私はウォルの用紙に魔力を込めた
紙は蝶の形にかわり・・・・・虹色がかっていた。
あれ?色ついてたっけ?




