第53話 本当の勇者
え?私が勇者?
「あくまでも可能性だよ」
「可能性・・・・・私が勇者だと思う理由は?」
アルク様の思っても見なかった考えに怒りが出て来た。
「無限にある魔素、見たことない魔法、誰も知らない使えない魔法属性、ハナさんだけができる魔物との会話」
「雷斗の光りは金色だった。歴代の勇者の色じゃないの?私の魔法は応用であって、収納魔法は文献にも載ってたってウォルが言ってた。」
「そう。文献にしか載っていない。今この世界で使えるのは、ハナさんだけだよ」
「攻撃魔法が1つも出来なければ、魔王は倒せないのでしょ?」
「『奥義にて討伐』と文献にあるんだよ力の強さじゃないのかもしれない。」
「私が『奥義』を得る保証はありません。それに雷斗が勇者じゃないっていう証拠も・・・・」
「そうだね。だからあくまでも可能性なんだ。君達が2人で来た。なのに勇者は男だと決めつけていた。ハナさんにも可能性はあったのに。」
私も本当は雷斗の特殊能力が気になっていた。
『ハナを守る力』それだけだった。
私を守るだけの力・・・・・雷斗が強くなれば問題ないって心のどこかで思ってた。この国を守る力じゃなかった。もし雷斗が本当に勇者ならば、私が危険な事に合わなければ、その力は発揮されないって事だと思った。
「それって雷斗に話しますか?」
「今は確証がないなら話さない。彼のやる気が失ってしまうと困るからね」
「私が勇者かどうかこっそり調べられますか?」
「祭司様にお願いすれば、確認できるかもしれないけど、王女様にも彼にもバレてしまうだろう」
「そうですよね、じゃあ私がもらった特殊能力のどれかが、『奥義』に繋がるかもしれないのですね。」
私は自分が勇者なんだと思うとストンと何もかもが納得で来た。
「ハナさんごめんね、この世界の為に君達を巻き込んでしまって。女の子に頼む事じゃないとわかっていながらもその上で・・・・」
アルク様は私に片膝を地面につけ私の手を取る
「勇者様、どうかこの国をこの世界をお救い下さい。」
私とアルク様の下に魔法陣が浮き出て来た。色は金色が反射して虹色に光っていた。
私の中に『極封印』が刻まれた。
光りが落ち着きアルク様を見た。
「ハナ様の目が金色に見えました。虹色がかった金色よりも眩しい色でしたが」
「そうですか、きっと自分自身が勇者だと認めたからだと思います。1つの魔法を手に入れました。」
アルク様は泣きそうな顔をする
「魔法・・・・・そうなのですね。申し訳ございませんでした。勇者様を間違え、冷遇した事をお許し下さい。」
「アルク様、雷斗には私から話します。この件は誰にも言わないでもらえますか?王女にも祭司にも、そしてウォルにも。」
「勇者様の仰せのままに」
「雷斗には今までどおりに『勇者様』とお呼び下さい。私の事は『ハナさん』と。雷斗に話すタイミングは、今じゃない気がしますので。」
「かしこまりました。」
「アルク様、敬語もダメです!」
私はぷぅっと頬を膨らました。
「申し訳ないです?いえ、ごめんね?」
私はアルク様が戸惑っている事がおかしくてクスクスと笑った。
そして、私の瞳からは涙が流れた。
『極封印』これが『奥義』だとすぐにわかったから。
この魔法の発動条件が私にしかできない
共通言語、ウイルス拒否、体感対応、・・・・
全てが発動条件なのだから。




