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私は巻き込まれただけなので、すぐに元の世界に帰して下さい。  作者: NALI


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第51話 会話



魔物たちと約束していた場所の近くに来た


「アルク様、私達に結界をしてありますか?」


「あぁ、大丈夫だよ。魔物が現れたら半径100メートルの結界を張ろう」


「ありがとうございます。」


『収納魔法』

私は指で四角をなぞり収納魔法を発動した

その空間から果物やおにぎり等10人分ぐらいはあるぐらいの食料を

シートを敷いた上に置いた



「ハナ!凄いな。ハナの魔法は俺が見たことないものばかりだ。」


「全魔法なら雷斗にもできるんじゃない?」


私は簡単に雷斗に言った。

「そうだよな!よしやってみるかな」


「勇者様お待ち下さい!今は練習している時間ではありません。それは村に帰ってからやりましょう。勇者様の魔法は目立ちますので、魔物たちが警戒するかもしれません。」


「あ。アルク様ごめんなさい。緊張感がなかったですよね。」

私はシュンとした

「アルク様、俺もスミマセン。今はハナを守るのが優先でした。」


アルク様は優しく微笑んで


「わかって頂けたら、いいのですよ。魔物も昨日の魔物だとは限りません。昨日の魔物はどのような魔物でしたか?」


「昨日のは、2匹の犬みたいな狼みたいな感じでした。」


「そうですか、ではしばらく木陰で様子を見ましょう。」


それから私達は木の陰に隠れて魔物が来るのを待った。


「いつ来るかわからないんだろう?」


「そうね、でも昨日の様子だと凄くお腹空いてたから、早く来ると思う。」


私達が待っている間に、朝日が眩しくなってきた。それでも森の奥は薄暗くよく見えない。


「アルク様ここから魔王が住む森まで、馬車で2日ぐらいっておっしゃってましたよね?馬だけだと1日ぐらいで着きますか?」



「森の下までならね。森に入る事は無理だろう。森には木々が多く獣道も出来ていない。歩くだけで苦戦するし、多分結界が張られているはず。魔王が済む森は迷い森と言ってね、森は入る者を選ぶんだよ。魔王がどの森に誕生するかは誕生してからしかわからない。誕生した森が迷い森になるんだ。」


「では事前に開拓する事ができないのですね。」



「あぁ。自然を全て無くすわけには行かない。誕生するまで、何もできないのは仕方のない事だと思う。」




カサッ




「今・・・・・」


雷斗が私の口に人差し指を当てた


雷斗の目が鋭くいつもの茶色の瞳ではなく、金色に光っているように見える。



もしかして、何か魔法使ってるの?



アルク様が小声で

「来たよ。2匹のダークウルフだけど、ハナさん間違いない?」


私は目を凝らして森の奥を見た。



魔物の声が聞こえる


『ねー!言ってたとおりだ。食べ物の匂いがするよ』


『でもオレ達を殺す罠かもしれない。』



間違いない昨日の魔物だ。


私はアルク様の袖を引っ張って耳元で

「間違いないです。私は魔物の近くに行きます。見られないために全体に結界をおねがいします」


アルク様は円を描くように赤い風みたいなのが凪ぐと結界が魔物と私達を囲んだようだった。


「雷斗、私がいいと言うまで絶対に近づかないで。いい?」


「わかった。」




カサ・・・カサ



『誰!?』


『何だお前か』



わたしは魔物に優しく微笑んだ

『ね?言ったでしょう。約束は守ると。どうぞここでお腹いっぱい食べて行ってね。』



最初は警戒してた魔物も私がフルーツを食べて見せて毒はないとアピールすると、慌てて食べ物の近くまで寄って来た。

私は魔物達と10メートルぐらいの距離を取って、その場に座った。



魔物達が食べ終わるまでは、私は何も話さなかった。



『なあ、お前!何で食べ物くれるんだ?』


食べ終わって気が済んだのか向こうから話しかけて来た。


『昨日も言ったけど、あなた達の魔王様の事が知りたいの。』


『バカなのか?言うわけが無いだろう』



私は気にせずに

『魔王様ってあなた達を大切にしているのね』


『そうだよ!』少し小さい方の魔物の方が話しかけて来た。


『あなた達に名前はあるの?』


『名前って何だ?』


『お互いを呼び合う時に必要でしょう?魔王様はあなた達を何て呼ぶの?』


『ん?呼ばない・・・・・』


『魔王様はいつもつらそうなんだ・・・・・最小限しか話さない。』


『魔王様は病気なの?』


『お前に関係ないだろう!』

大きい方の魔物が怒り出した。



『病気じゃないよ。まだ誕生して数年しか経っていないまだまだ、成長しないんだよ。僕達にご飯をくれてばかりなんだ。』


『それ以上言うな!コイツが悪い奴だったら魔王様が危ないだろう!』



『そうね、私はあなた達にとって悪い人になるかもしれない・・・・・・・・・』

だって私は魔王を倒す側の人間なのだから、


『でもあなた達と話せて楽しいよ』


『楽しい?楽しいって何?』


『嬉しいって事、心がウキウキワクワクする感じかな?』


『・・・・・・・・・』



『魔王様がどんなお姿をしているかわからないけど、ここに残った食べ物を持って行ってあげていいよ』


『え?いいの?』


『もちろん!あなた達の為に持って来たの。だから残りはあなた達の好きにしたらいいの』


『毒が入ってないか目の前で食べて見せるといいし、もしかしたら魔王様はそういうの認識できる方かもしれないね』


『魔王様・・・・・お前に似ている。形が・・・・でも雄。お前雌だろ?』



『魔王様は人間と同じ姿?』



『でも人間じゃない。だから人間に気をつけろって近づくなって言う。』




『食べ物喜ぶかわからない。人間からもらったって言ったら怒るかな』

小さな魔物はシュンとなる



『その時はその時よ!食べてくれなかったら、あなた達が食べたらいいじゃない。』



『・・・・・・・・・』




『頻繁にここに来れないけど3日後また、ここに食べ物を持って来るわ。』




『わかった。でもまた彼奴等連れて来るのか?』


魔物は赤い瞳を鋭くして雷斗達がいる方角を見た。



『気づいてた?』


『あんなに殺気立ってたら気づかない方がおかしい。でもお前は・・・・・殺気がない。魔王様に似ている。』



『形!?』


『形だけじゃない・・・・・・・・・』




『これ以上はダメだ。帰る!』


『待って!』



私は残りの食べ物を敷いていた布に包んで、魔物に渡した。大きい方が口に加えてさっさと森の奥へと去って行った。


『気が向いたら3日後に来るね朝が3回来た日に』



『数をかぞえれるのね。魔物もすごいのね。』



『全部じゃない。話しが通じない魔物もいるから』




そう言って小さい方の魔物も森の奥へと歩き出した

そして一瞬振り返って

『ありがとう』



ありがとうって聞こえた。













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