第46話 嬉しい訪問者
村の入口に行くと、アルク様が結界を緩めてくれた。
入口から入って来たのは
シェリーだった。
「ハナ様ー!!」
「シェリー!?」
シェリーは嬉しそうに私の側まで来た。
仔犬みたいでかわいい。
「アルク様ご招待ありがとうございます」
「え?シェリーがこの村を守るの?」
「そうですよ!もちろんウォルト様から言伝もあります」
「ウォルト殿が君を寄越したって事は君はウォルト殿の弟子なんだね。属性は?」
「火属性ですが、レベルは高い方だと自負しています。そして戦闘に備えた訓練はオークレール公爵家で働く者全て訓練を受けています。私は邸の中では3番手ですが、剣術、体術共に身につけております。」
シェリー、本当に強かったんだね。
「そうか。ウォルト殿が任せれる人なのだから腕前は間違い無いだろう。この村に何かあればハナが悲しむ事を彼は十分にわかっているから」
「本当はウォルト様が行きたそうでしたが、それは叶わないですし、オークレール家の者がこの村に入る事で王女様の逆鱗に触れたらいけないので、女性である私ならハナ様とも親しいですし、油断されるだろうと主の判断です」
シェリーはいつものかわいい雰囲気ではなく、騎士のような戦士のような凄くたくましい人に見える。
「アルク様とハナ様が村を出たと知られたくないと伺っております。その間の村の警護と。その解釈で間違いありませんか?」
「あぁ、大丈夫だ。さすがウォルト殿だな。少しの情報でここまで理解するとは。」
「アルク様は何と手紙に書かれたのですか?」
「それは、『ハナは無事、明日魔物に会う。1人借りたい』だけだよ」
「え?凄いです。それでどうしてそこまで」
アルク様は優しく微笑んで
「ウォルト殿はハナさんを凄く理解しているんだよ。それに今のハナさんの状況も」
シェリーはいつもの可愛らしく笑う表情に戻っていた
「私にはその文面だけでは全く判断出来ませんが、魔物を『倒す』ではなく『会う』とういう事は異例なので王女に内密だろうとウォルト様がおっしゃっていましたよ。そしてウォルト様指名じゃない事で魔物に会うのは、ハナ様とアルク様、そうなれば村が危険になった時にまた大変になるから『1人借りたい』は警護と判断されたようです」
ウォルは私が魔物と会話出来るのを知ってるから理解出来たんだ。それでも凄い。
「シェリーはウォルから伝言の紙は預かってるの?」
「はい、何か緊急な事があればすぐに飛ばせるようにと。数枚預かっていますよ」
シェリーは私が何か言いたいのか、わかったようでニコッとした
「ウォルト様も多めにあずけてくれたので、1枚はお渡しできます。それとアルク様にも1枚渡すようにと言われております。」
私は少しだけ顔が熱くなった。
「もらっていい?」
「もちろんです!ハナ様!好きなときに飛ばされて大丈夫です。飛ばす時は少しだけ魔力を使って下さいね」
シェリーは私に伝言用の紙を私に渡してくれた。
「いや、すぐに飛ばさないから。もったいないし、それに明日が終わってから飛ばすと思う。言いたい事が増えたらいけないし」
私は赤くなった顔を隠すように伝言用の紙で顔を隠した。
「さあ、もう夜も遅いし、今日はシェリーさんはハナさんの家で休ませてもらうといい」
「ハナ様よろしいのですか?」
シェリーの顔から喜びが溢れている
「もちろんだよ!今日はシェリーとたくさん話したい」
「ハナさん、夜ふかしはほどほどに、明日の出発は早いですよ」
アルク様は私達に忠告したが、嬉しそうに話す私達を優しい表情で見ていた。
「それとウォルト様より預かり物があります。それを修理してもらいたいのです」
そういったシェリーは箱を取り出し蓋を開けた
あっ・・・・
それは、アルク様の。
王女様に渡したかった髪飾り!
わたしはアルク様をバッと見た。
アルク様は私と目があって、切なそうに笑った。




