第41話 興味
道標は、どんどん森の中に進んでいく。
もう鉱山とは違う方角に進んでたらいいけど。でもまだ舗装された道を走っている。可能性は低い。
とにかく追いついて、出来れば、話がしたい。
『・・・・・無理みたい』
『・・・・もう帰ろうよ』
さっきの魔物の声がする。
そっと近づいて行くと、鉱山の入口らしき場所が見えた。
でもしっかりと門は閉ざされ、簡単には中に入れそうにない。
結界は張ってないようで、魔物が門を口先でカチャカチャ触っている。
かなり頑丈に出来ているみたい。
これなら魔物は入れそうにない。
良かった。
このまま森の奥に帰ってもらいたい。本当は少し話したかったけど。もし会話をして、魔物が怒りだしたら、私は攻撃魔法は使えないから鉱山のみんなに迷惑がかかってしまう。
今は追い返すのが先決だと判断した。
『なぁなぁ~魔王様にご飯もらおうよ。』
『そうしたいけど、魔王様いつも俺らに食べ物くれて魔王様いつも何も食べてないから、あんなにヒョロヒョロなんだぜ。』
『知ってるよ。僕達が人間に襲われない為に、人間に近づかないようにしてくれているもん。』
『だろ?だから自分の食べ物ぐらい自分で確保しなきゃだろう?』
魔物達の会話が聞こえたけど、内容が凄く興味深い。魔王って優しいの?
人間から魔物を守ってる?もしかして、魔物から人間を守ってるとか?
でも悪い人だから、歴代の勇者が倒したんでしょう?
もう私は魔王に興味しかない。
カサッ
私はついに、魔物の前に出てしまった。
『誰!?』
「ごめんね。あなた達と話したくて。」
『人間!?』
魔物達はビクッとして、私から離れて行く。
「ちょっと待って、少しだけ話しをさせて。」
『人間怖い。僕達を殺す。』
「私は殺さないよ。あなた達の魔王様について教えて欲しいの。」
『人間なんかに教えるわけがないだろ?』
『ねー何で僕達と話せるの?お前も僕達の仲間なの?』
「仲間か仲間じゃないかなら、多分仲間じゃない・・・・。でも敵になりたくない。」
『仲間じゃないのに、敵じゃないとか意味がわからない。』
ガチャ
魔物達と話してると、鉱山の扉が開く音がした。
「ここは危ないわ。もう人間があなた達を見つけてしまう。」
『やっぱり!人間は怖い。』
『ここから、逃げよう。』
「お腹空いてるんだよね?明日ここより森の奥に食べ物を用意しておくから、今度会ったら、また私とお話ししてくれない?」
『お前悪いやつじゃないのか?』
「わからない。でも約束は守る。今からここより先に人間が行かないように、火を付けるから、奥に森のもっと奥に逃げて。」
私は魔物達が見えないように、
『収納魔法』
さっき空間にしまってあった花火を出した。
10個の花火を1m位の間隔で置いて行った。
私はイメージする
『製造魔法』
少しでいいからこの花火が魔物を隠す壁になりますように、イメージは花火のナイアガラ。
私の体から虹色の光が放つ線香花火は形を変えた。
私は持っていた松明で花火の導火線に火をつける。
「ハナちゃん!?」
後ろからデリックさんの声がした。
私は魔物に向かって
「早く!行って。明日必ず。」
魔物達は何も答えず、森の奥へと行った。
言葉と同時に花火に火がついた。
花火の壁が10メートルに渡って出来た。
デリックさん達には煙と火花で魔物は見えていなかった。
「ハナちゃん!何をしてるんだい?ここに1人で来たのかな?危ないよ?」
わたしはデリックさんの方へ振り向いて
「村に魔物が接触して、その魔物がこっちに来てたから、花火で追い返しました。」
嘘は言っていない。
「魔物?外が騒がしいと思って出て来たけど、ハナちゃんは大丈夫か?村は?村の人達は?」
デリックさんは少し焦った感じで、話しかけてきた。
「村は大丈夫です!魔物はすぐに森の奥に行ったので、
私も大丈夫です。」
「アルク様が帰って来ないと村に入れないので、鉱山に入って待っててもいいですか?」
「それはもちろんいいよ!」
私がデリックさんと鉱山に入ろうとしたら、
目の前に金色の魔法陣が浮かび上がり
アルク様と・・・・・雷斗が目の前に現れた!
「雷斗?」
私はびっくりした。魔王を倒す日まで二度と会わないと思っていたから。
「ハナ!!どうして無茶をするんだ!」
あっ!ちょうど良かった。
雷斗が怒っているのを気にせず。
「雷斗、水魔法でそこの花火消しといて。」
私は買い物でも頼むかのような軽い感じで勇者をあごで使った。
雷斗も嫌がる事なく
『水魔法水霧』
と金色の光を放ちながら、魔法で花火を消してくれた。
ん?もしかしたら、今の雷斗の魔法って私使えるかも。だって水の出方がジョウロにそっくりだったから。生活魔法の範囲内かも。今度、アルク様に見てもらおう。
その2人のやり取りをアルク様とデリックさんは見て、驚いている。
「勇者様を簡単に使う何てハナちゃんは凄い人なのかい?」
デリックさん何を言ってるの?私は勇者に巻き込まれたただの邪魔者ですけど?




