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私は巻き込まれただけなので、すぐに元の世界に帰して下さい。  作者: NALI


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第23話 アロニーの村Ⅱ



村は思ったより広かった。でも村人をあまり見かけない。


「何人ぐらいいるのかな?」

私はアルク様の後ろでボソっと呟いた。



アルク様は振り返って

「魔王が誕生する前は、鉱山も近く、500人ぐらいはいたかもしれない。ほとんど町だね。でも・・・・・・」


アルク様は言いづらそうに



「この村は魔王が住む森から近いとはいえ、馬車で2日以上はかかるんだが、ほとんどの人が恐怖のあまり村から出て行ったんだ。一匹の魔物が人を襲ってしまったから。この村ではないのだが。」



「そうなのですね・・・・。」



「今ここに残っているのは、30人ほどかな。」



30人でこの村は広すぎるんだ、だからあまり人に会わないのね。



「さあ、ここが私の家だよ!中へどうぞ。」


案内された家は村の中では1番大きそうな家だった。


「うわぁ〜!素敵!」


中はアジアンテイストの作りで、家の中にも観葉植物のような物もあったり、民芸品のような布カーテン!竹を塗装して棚を作ってあったりと、この世界に来て洋風ばかりな物を見ていたから、とても新鮮に感じた。



「ここの隣の家が空き家だからそこをハナさんは使うといいよ。今日は何の準備もできないだろうから、ここに泊まって明日家に案内するよ。」



「え?アルク様と2人きりですか!?」

ウォルが驚いたように聞く。


「ん?仕方ないだろう?」

アルク様は何も気にしない様子だった。


「え?ウォルだめなの?」

私も気にしない。だってアルク様はとても紳士に見えるし、それに・・・・・


「ダメだ!隣の家を私がすぐに準備するから、ハナがこの家に泊まるのはダメだ。アルク様はこれでも青年男性だ!何かあったらどうする!?」


何かって・・・・・私はウォルの言いたい事がわかって、顔が赤くなった。


「ウォル!変な事言わないで!そんな事絶対にありえないから!!」


だって、私にはなぜかわかった。アルク様は私を女性として見ていない。下心が全くないんだけど。

アルク様にはきっと、想い人がいる。




「ウォルト殿は心配症なんだろうけど、君もわかっているはずだ!もう君の中の魔素が限界な事を。」


「え?ウォル本当なの?」

バッとウォルを見た!とても元気そうに見えるけど。よく見るとウォルの顔色は悪く、気力だけでこの場に立っているように見えた!


「ウォル!!!」

私はウォルに駆け寄った。


後ろからアルク様が

「ここに来るまで歩いて来たんだろう?その間ずっと結界と回復魔法を使っていたんじゃないのかな?」


え?アルク様はウォルが回復魔法が使える事を知っている?


「結界は移動するたびにかけ直していただろうからたくさんの魔素を使ったんだろう。」


ウォル!


あの魔法・・・・私から魔素を吸い取る魔法を。

私はウォルの耳元で

『私の魔素を吸い取って!!・・・もしかしてアルク様は知らない?』

アルク様はうんと頷いた。


どうしよう!


「どうしたら魔素は回復しますか?」

私はアルク様に尋ねた!!


「休息してたら少しずつ回復できるけど、それだと丸一日魔法は使えない。ここに滞在していいんだが、あの方が許さないだろう。」



あの方・・・・・アリス王女ね。



「それに・・・・・もう村の前に到着してしまったようだよ。お茶を飲む時間もくれないなんて。王女様はウォル殿を愛しているんだね。」


愛している?



ウォルは怪訝そうな顔をして、

「言わないで下さい!アルク様わかっているでしょう。私の望みを。」


「あぁ。でも私の望みも君はわかっているんじゃないのか?」



「私はアルク様に戻って来て頂きたいのです!この国の1番の魔術師はアルク様ですから。」


アルク様は悲しそうな顔をして、

「私が何も知らないと思っているの?君がこの国1番の魔術師で祭司を上回る程の・・・・」


「やめてください!」

ウォルもつらそうな顔で話す。



どうしてこの2人は憎んでも恨んでもなさそうなのに、つらそうに悲しそうに話すんだろう。




「そして・・・・・何より王女様が君を選んだんだ。」




「私達の婚約は流れました!魔王誕生のおかげで。」



『おかげ』・・・・何だか切ない言葉。



「ウォルの婚約者は王女なのね・・・・・・。」



夢のような優しい言葉も私に囁く愛の言葉も、私の物じゃないんだ。




「ウォルは前に言ってた。『婚約者が決まったらよっぽどがない限り、その相手と必ず結婚するよ!そして一生大切にする。』って。」



「ハナ!私はまだ誰とも婚約していないんだよ。」

ウォルは悲しそうにつらそうに私を見た。



ウォル・・・。




「うん。分かった。ウォルの言う事信じる。この世界に来てウォルだけが信じれる存在だから。」




「ハナ・・・・」



ウォルはホッとした顔になった。



「ウォル!私は絶対に元の世界に帰るよ?しかも今からは別々に生活するんだよ?もう2度と会えないかもだよ?なのに何故そこまでアリス王女との婚約をしてない事にこだわるの?」



「ハナにその事実だけを知っててもらうだけで、私は幸せなんだ。」



え?意味がわからない。

ウォルが私を好きだとしても私達は結ばれる事なんてない。住む世界が違うのだから。私が元の世界に帰ったらウォルは婚約するんじゃないのかな?そこまで必死に私に言わなくていいのに。


「ウォルの言葉を信じるから。ウォルは安心して王都に戻って。」




「シェリー!君はここに残ってくれるか?」

ウォルは必死にシェリーに願う!


「もちろんですウォルト様!」

シェリーも即答だった。



「え?シェリー大丈夫なの?」


恋人とか家族とかいろいろ。



「ハナ様!安心して下さい!私それなりに戦闘能力ありますので!」



それ!さっきも聞いたー!そういう意味じゃないんだけど!!!















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