第22話 アロニーの村Ⅰ
「シェリーは帰さなくていいのかな?」
ウォルに話しかけた。
「私もついて行きたいのです!おねがいしますハナ様!」
ウォルは・・・・・ウォルは私が作った木の上の小屋をずっと眺めている。
「小屋は解体しないの?」
「あぁ。このままでいいんだ。」
そういうと、ウォルは指で円を描くように小屋に結界をかけた。
「ウォルト様!私は帰らなければなりませんか?」
「一緒でいいんじゃない?ハナの移動魔法が次成功するかわからないし。」
それもそうだ。偶然的に連れて来てしまったのだけど、使おうと思って使った魔法じゃない。
もし失敗して、シェリーを知らないところに送ったら、大変だ。
「シェリー、ごめんね。」
「いいのです!気になさらないで下さい。私もそれなりに戦闘能力がありますので、怪しい者が来たら私にお任せ下さい。」
そうなんだ。シェリーって強いんだね。
「じゃあ、今から8時間!頑張って歩きましょうか!」
シェリーが
「は・・・8時間!?」
「あれ?もう後悔してる?」
ウォルはいつものウォルに戻っていた。
「いえ!!私もオークレール公爵邸に仕える者です!8時間位大丈夫です!」
シェリーの目の色が変わった。
え?ウォルの家って実は大変な場所だったの?
ウォルをバッと見た!目が合ったけどニコニコしているだけだった。意味深すぎて凄く気になります。
そして、私達は8時間以上本当に歩いたのだった。
朝から歩いて、途中何度も回復魔法をかけてもらって何とかアロニーの村が見えるところまで来た。
「途中何度か休憩したから時間かかっちゃったね。」
もう日が暮れていた。
「ハナと一緒なら何でも楽しかったよ。」
ウォルは私の頭をポンポンと撫でた。
「ウォルもシェリーも本当にありがとう。この先の村には私1人で行くね。」
だって、別れがつらいんだもん。
私が切なそうな顔をすると、
「ハナ、それは出来ない。村の中にいるアルク様は私の師匠なんだ。挨拶して行かなければならないんだ。」
「え?そうなの?そんな事アリス王女もウォルも言ってなかったけど?」
ウォルは少しだけ困った顔をして
「村の中で何を聞いても、言われても・・・私はハナしかいない。」
私は顔が真っ赤になった。
「ウォル、そういうの言われても困るんだけど。気持ちは嬉しい。ありがとうウォル。」
私は精一杯の笑顔で答えた。
でも、ウォルとシェリーの顔は全く笑っていなかった。
え?私の勘違い?告白されたんじゃないの?逆に恥ずかしい!
私は赤くなった顔を両手で覆う
それを見たウォルが
フッと優しい顔になって。
「この世界では叶わないけど、私の心はハナの物だよ。ハナ・・・・好きだよ。(ずっと前から)」
最後の方が聞き取れなかった。
でもやっぱり好きって!!!
「ウォル・・・・・・・・・」
「じゃあ行こうか!師匠を紹介するね。」
ウォルは紙に何かを書いたらまたそれは蝶に変わった。風魔法を使って村の方に飛ばした。
その蝶は一瞬、村の近くでバチっとはねのけられたように見えたけど、そのまま村に飛んでいった。
それから少しして村から人が出て来た。
「結界を解いてくれたんだ。」
銀髪の黒い瞳のウォルとあまり年が変わらないように見える男性が出て来た。
とっても綺麗な男性だった。
「え?ハナ見惚れてるの?あの方は私の師匠でアリス王女側近のルイス様の兄でもあるアルク様だよ」
「師匠って若いんだね。」
「あの方は特別で10歳で王宮魔術師になった方だよ。私と5歳しか変わらないんだ。」
男性は私達の近くまで来て
「ウォルト殿には、敵わなかった。ただの負け犬だ。」
アルクという男性は空に向けて手を広げた!次の瞬間!赤く光る魔法を空に向かって飛ばした!
高く高く上がった魔法は上空でパァーンと弾いた。それはとても綺麗で花火のようだった。
「綺麗な魔法。」
私がボソっと言うと、アルク様は
「アリス王女に着いた報告をしたんだよ!君が来るのを待っていたよ。ようこそアロニーの村へ」
アルク様は優しく微笑んだ。でもアルク様の瞳は凄く切なそうだった。
「さあ!そこの2人も中へどうぞ!物凄く遅かったね。ウォルト殿なら瞬間移動で来れたはずだけど?」
「え?・・・・・・・・・えーーーーーーー!?」
ウォルは
「それ言わなくていいじゃないですか?どうせわかっているんでしょ?」
「そうだね!」
アルク様とウォルは久しぶりに会って、懐かしさを味わっているようだった。
私はシェリーと一緒にウォル達の後ろについて、アロニーの村に入っていった。
2人の会話はわかるようで全くわからなかった。
ウォル・・・・・瞬間移動使えたんだ。




