第20話 瞬間移動
「ウォルト様?・・・・・ハナ様?」
「シェリー?」
私は恐る恐る尋ねた。
「!!!!っハナ様ーーーー!?」
シェリーはブワッと涙を流した。
「シェリー?」
「ハナ様良かったです!!今からみんなでハナ様を捜索に行こうと準備していたのです!私はハナ様が寒くないように、毛布を準備している最中でした!」
「え?」
シェリーはウォルを見て
「ウォルト様は戻って来られませんし、伝言の使役も飛ばされてなかったので。」
ウォルは
しまった!っという顔をして
「すまない!!すぐに飛ばそう!」
と言って、紙に伝言を記入してウォルがその紙にフッと息をかけると紙は蝶の形になって空に飛んでいった!!
「素敵・・・・・・ウォルの魔法?」
「急用などは、こうやって使役を飛ばすんだよ。ここからだと、一刻で着くだろう。」
「へ?ここは公爵邸ではないのですか?」
シェリーはまたまた驚いている!涙は止まったようだった。
「私が召喚したって事だよね?」
ウォルに尋ねる。
「んー。召喚だね。物を召喚できる人はいるけど、人間を召喚できるのは祭司ぐらいだからね。祭司は異世界からでも召喚できるけど、帰す事は出来ない。もし元に戻せるなら、『物質移動』かな?その時は生きている物が移動できるのかな?聞いたことがない。」
「そういえば、ウォルは王都の北口に一瞬で来たけど、あれは何?」
「あれは、『瞬間移動』だよアリス王女が使えるんだ。王女と一緒であれば、いろんなところに瞬時に移動できる。ただし1度行った事がある場所に限るけどね。それに人だけを瞬間移動はさせられない。」
「ここは王都からも離れて距離があるのに、どうやって召喚したんだろう。」
「え?ここは王都でもないのですか?」
シェリーの驚きは、限界のようでもう顔は泣くでも驚くでもなく、普通に会話しだした。
シェリー・・・。驚きどころが多くて逆に、普通になったのね。
「シェリーごめんね。私のせいなのね。」
「あ!いえいえ!びっくりしてますけど、ハナ様に会えた喜びのほうが大きいので嬉しいです!」
シェリーは優しく私に微笑んでくれた。
「ありがとう。」
私はシェリーに抱きついた。
私は久しぶりの人肌の暖かさに涙が出て来た。
「ハナ様大丈夫ですか?」
私は泣いてるのを見られたくなくて
「・・・・・うん。」
シェリーの肩に顔をくっつけたまま返事そした。
「ごめん・・・・少しだけこのままでいて。」
シェリーは何も言わずに
私の背中をなぐさめるように、トントン叩いてくれた。
今日はいろいろあった。
雷斗に会えたのに、雷斗に苛立ちを感じてしまって。
アリス王女の言葉にも腹が立って、王都を飛び出してしまったし。
結局ウォルを巻き込んでいる。
1人で、いろいろ決めるのってきついんだね。
17年生きてきて、こんなにも自分の言葉や考えたかに責任がかかるなんて。
お母さんに会いたい。
シェリーに抱きついたまま、涙は止まらず。
そのままシェリーの腕の中で泣きながら眠ってしまっていた。
「シェリー、私は隣の部屋にいるから何かあったら呼んで。」
「はい。ところで、ここはどこですか?」
ウォルはフッと笑って、
「この建物はハナが作ったけど、建ってる場所はその扉を明日の朝開けて見るとわかるよ。ハナを寝かせてあげたいから、扉を開けるのは明日の朝にしてね。」
「そう言われると気になりますね。私は邸に戻らなくてよろしいですか?」
「大丈夫!さっき一緒に連絡したから。結界をかけてるけど、怪しいのを感知したら教えて!」
「はい!かしこまりました。」
ウォルは隣の部屋に入って行った。
私は2人の心配をよそに、シェリーの暖かさに久しぶりゆっくりと眠れた。




