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私は巻き込まれただけなので、すぐに元の世界に帰して下さい。  作者: NALI


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第16話 共通言語


ウォルの邸には結界が張ってあるって言ってた。

私にこの結界を抜けれるのかな?



門には警備の人が立っているから、私は門からの出入りが出来ない。

なら、壁を登ればいい。



とりあえず小枝をたくさん拾って

『製造魔法』

と唱えて、ハシゴを作った。

邸の壁をハシゴで登る事が出来たが、問題は結界!


そっと見えない空間に手を伸ばした。

・・・・・・・・・

何も感じない。


結界は、外からは反応があるけど中から外に行くのは問題ないのかも。侵入者を警戒するためだよね?

違うかもだけど、とりあえず何も感じないなら中から出れそう。ウォルが『出ないで』って言うのは、出た事が感知出来ないからなんだ。


「ハナ様ー?ハナ様ー!」


シェリーの声が聞こえた。



私は慌ててハシゴを外壁にかけ直して、降りてみた。


もし感知されたら困るから、走って木の影に隠れた。

邸の中からの声や音が聞こえなくなった。


結界の外に出れたんだ!




やった!



シェリー探してるよね。ごめんね。

今はどうしても、雷斗に会って安心させたいから。




私は、北の出入り口に掛けてみた。


これで会えなかったら、これも運命なんだと思うしかない。




北の出入り口までどうやって行けばいいか近くの町で聞こう。


ウォルの邸は城下町からそこまで離れていないから、すぐ近くに町がある。そこで北の出入り口を聞いたら、運がよくここから歩いて1時間ぐらいの場所にあるらしい。

お金を持っていないから馬車に乗れない。遠かったら、どうしようかと思った。



でも今ウォルの邸で大騒ぎになって探しに来られたら大変だから急いで北に向かった。



ドレスは凄く目立つ!私は木陰で自分が着ている服に『裁縫魔法』と言って男の子が着る服をイメージしてみた!



白いシャツに茶色のズボンに変化した!




やったー!

生活魔法ってかなり使える!

衣食住なら、想像で変化出来るんだ。

ドレスは黄色いドレスだったのに、色が変わってるなんて!着色料の変化も出来るんだ。


今度石鹸でもしてみよう。

私はアロニーの村に行ったら絶対雑貨屋を開くつもりだ!





1時間かからずに北の出入り口近くに着いた。



ビンゴ!!!



騎士の数が多い。

きっとここから近い場所に魔物が出たんだ。



雷斗はもう王都の外に出たのかな?


王都の外にはさすがに出れない。私では魔物が倒せないのだから。




『苦しい・・・・・・』



え?





『嫌だ・・・・・・』



何?何の声?




『助けて・・・・・・』



王都の北門の外から聞こえる。


まさか雷斗じゃないよね?

声が違う。


誰?



でも門には騎士がいっぱいいるけど、全く騒いではいない。


「あのー。」

私は近くの騎士に話しかけた。


騎士の1人は驚いて

「君!ここは危ない!もっと中心街に行きなさい!魔物が近くにいるんだ!」


「魔物?誰か倒しに来てるのですか?」



「いや、もうじき勇者様達がここに到着するから私達は王都に魔物が入らないように、遠ざける攻撃をしているだけだよ。」



「え?誰かケガとかしてませんか?苦しんでいる声がしたんですけど。」



「君は、何を言っているんだ!我々は誰1人ケガなどしていないから安心して早く逃げなさい。」



え?どういう事?



『助けて・・・・・・』



え?

「今聞こえませんでしたか?」



「何も?」



遠くから、

「勇者様が来たぞー!」

遠くの騎士が皆に向かって声をあげた!


「「ウォーーーーー!!!」」

勇者が来て大興奮な様子だった


私と話していた騎士も、声のする方へと走って行った。



雷斗は今来たんだ。


さっきから聞こえる声の主が気になる!

雷斗の方に行きたいけど、ずっと助けてって言ってる。


私は雷斗の方じゃなく・・・・・声の方へと向かった。



私は北門から出た。騎士達は、勇者に気を取られ私1人が門から出ても誰も気づかない。



『悪い事してない。食べ物欲しいだけ・・・・・・・・・』



『森に帰りたい・・・・・・・・・』



『足痛い・・・・・・・・・』




私は声がする方に惹かれるように向かった。





禍々しい空気を感じた。



狼のような姿で目は赤く、足を負傷した動物がそこにいた。


「え?君の声だったの?」

私は動物の声がわかったの?



その言葉に

『僕の言葉わかる?』


狼のような姿の動物が話しかけてきた。


私は『共通言語って、人間だけじゃないんだ!!』


『足が痛い!森に帰りたい。』


確かに足をケガしている。禍々しい空気が漂っているけど、悪い魔物に見えなかった。


「どうして、森から降りて来たの?」



『わからない。お腹空いたらここからいい匂いがした。』


「あなたは何を食べるの?」


『肉』


その言葉にドキっとさせられた


「人間を食べに来たの?」


『人間なんか食べた事ない。』



害がないなら森に返してあげたい。


私は治療魔法が使えない。

アロエなら傷薬になるかな?

召喚魔法でアロエの植物を出そうとした瞬間!!!



魔物が急に

『僕を殺しにきた!!!』



その言葉と同時に


「ハナーーーーーーーー!!!!!」

声の方に振り向くと

雷斗が剣に金色の光りを纏わせて、こっちに向かって来た!


「待って!!!雷斗!!」


私の話しも聞かず、雷斗は私の先にいた魔物を一振りで殺した。



・・・・・・・・・



「嘘・・・・・・」


雷斗は私に振り返って、



「ハナ!大丈夫か?」

雷斗が私に手を差し伸べて、私に触れようとした。



パシッ!



私は雷斗の手を払った。



「ハナ?」




「雷斗!私待ってって言った!私の声が聞こえなかった?」


私は怒りなのか、助けようと思った魔物への同情心なのか、涙が出てきた。



「魔物がハナを襲おうとしてたじゃないか。」



「雷斗は魔物の言葉はわからないの?」



「ハナは何を言ってるんだ?わかるわけないだろ?」



「この世界に来るときに、雷斗は何の特殊能力をもらったの?」


雷斗は少し悩んで

「ハナを守る力。」



え?




それだけなの?




その時、瞬間移動魔法で

アリス王女とウォルが来た。




アリス王女は、私にツカツカと近づいて



パチン!!!


私の頬を叩いた。



「あなたは何をしているのかわかっていますか?」



「あなたが勝手に死のうが構いません。でもライトを考えなさい!」


ウォルが私の前にかばうように立った!

「王女様、ハナは悪くありません。私が処罰を受けます。」


ウォルはこの状況を見ていたのだろうか。

私をせめる事などせず、私を守ってくれている。




雷斗を私はじっと見つめていた。1ヶ月離れただけで、私にとって雷斗は知らない人になったみたいだった。











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