第11話 初めての魔法
それから3時間ぶっ続けで、体内の魔素を消費しながら魔力の確認をした。
でも、どれも発動しない。
「はぁはぁ・・・・。ハナはきつくないの?」
「えっと、全く。何も発動してないから?」
ただ3時間立ちっぱなしで、足が痛いけど。
「それはない!ハナの魔力が放出しているのは、間違いないんだ。・・・・・もしかしたら、ハナは魔素量が人より多いのかも?でも私より多いとは、考えにくいんだけど。」
「ウォルってすごい人なの?」
横でずっと私達の訓練を見守っていた執事のジャンが
「ウォルト様はこの国1番の魔術師ですよ。ウォルト様以上は勇者様以外いないかと思われます。」
「そうなんだ。」
私はそれがどれほどすごい事なのか、よくわからなかった。
「ハナ、さっきハナから魔力を引き出した事や、私の魔力をハナに渡そうとした事は、誰にも言ったらだめだよ。」
「どうして?」
「この魔法が使えるのは、今は祭司でも出来ない。もし、私ができるのがバレたら、私は城に閉じ込められ、教団に行かなくてはならない。」
え?
「それは、ウォルの自由がなくなるってこと?」
「元々、私に自由なんてないんだけど、少ない自由さえなくなるのは嫌なんだ。」
「じゃあ!!!今、私にした魔法は大丈夫?アリス王女は、どこでも見てるんでしょ?」
私のせいで、ウォルが自由じゃなくなったらどうしよう。私の顔色は悪くなっていく。
「ハナ、大丈夫だよ!アリス王女は、透視の魔法が使えるんだけど、この邸は、私が何重にも結界を張っているから。」
「そんな事して、大丈夫なの?」
「もちろん大丈夫だよ!うちは、国の宰相を任されている。国の重要機密も扱っているから、結界は当たり前なんだよ。でも、邸の外には出たら、だめだよ。すぐにバレるからね。」
「うん。わかった。」
王女には、雷斗に会ったらだめだと言われているし、ここを出る時は、アロニーの村に行くとき。
雷斗を思い出してしまった。何だか切ない。
「ハナ?大丈夫?休憩しようか。」
「うん。ごめんね。」
私は元気なフリをして見せた。
ウォルはそんな私に気づいてる。
シェリーにお茶の準備をさせた。この世界のおやつの時間なのかな?
私達は庭園のところにある、公園の屋根があるような場所に行った。そこに、お菓子や紅茶を並べてもらった。
「うわー!美味しそう!」
私が嬉しそうに、お菓子を見てるとウォルも嬉しそうな顔になった。
私は紅茶を一口飲んだ。
「あ・・・・・。」
「ハナ、どうしたの?口に合わない?」
「ううん。こんなにたくさんお菓子があるのに、チョコレートってないんだなぁと思って。」
「?・・・チョコレート?」
世界も違うし、あるわけないよね!
「それは、ハナの世界の食べ物?」
「そうだよ。よく考えたら、食生活も違うかもだよね。」
昨日の夜は、豪華なフランス料理みたいなコース料理でとっても美味しかった。
朝も、昼も軽食だったけど、美味しく頂いた。
でも洋食なんだよね。和食はないのかも。
「ハナは何が食べたい?」
「気にしなくて大丈夫だよ!この世界の食べ物美味しいし!多分生きて行ける!」
ウォルは少し悲しそうな顔をした。
「ハナがここにいる間は幸せな気持ちでいて欲しいんだ。用意できる物は用意したいんだ。」
「ウォル・・・。ありがとう。」
「じゃあさ!チーズケーキってある?ここの世界に来る前に食べそこねたんだよね!」
「そうか、チーズを使ったケーキはあるけど作るのに時間はかかるから、明日のお茶の時には用意させとくよ。」
私は目を輝かせて、うんうん!と答えた。
やった!明日食べれる!
さすがに味とか違うんだろうな。でもいいや
「ハナ、それよりチョコレート?食べさせてあげれなくてごめんね。」
「いいの!いいの!」
「どんな味なのかな?気になるね。」
「ここに来るのがわかっていたら、ポケットいっぱいに、チョコレート入れて来たよ~。ポケットだけじゃダメだね。こんな大きな・・・・・」
私は両手の人差し指で、空間に四角をなぞる。
その時に微かに虹色の光りが出ていた。
20センチぐらいの正方形で黒い空間が出来た!!!
「キャッ!!!」
私はびっくりして、席を立った!!
「なにこれ!」
ウォルは、ボソっと
「空間魔法?」
と言った。
空間魔法?
「ウォル!!どうやって消すの?怖いよ。」
ウォルは慌てて私の手を握って、
「大丈夫。これは、文献でみた事がある。収納魔法だと思う。自分の好きな時に、物を出し入れできる魔法じゃないかな?」
ウォルは自分が持っていたハンカチを
私にくれた。
「これを空間に入れて見て、入れたら、消えるイメージをしてみて。」
言われたとおりに、ハンカチを入れて空間が消えるイメージをした!
消えた!!!!
空間消えたよ!!!
「あーーーーーーー!ウォルのハンカチも消えちゃった!!」
ウォルはクスクスと笑って、
「ハンカチぐらい大丈夫だよ。次はもう一度空間が出るイメージをしてやってみて。『収納魔法』って言いながらやってみたらやりやすいかも。」
ウォルは私の手を離した
私はさっきのように指で四角をなぞった
『収納魔法・・・』
出た!!!!!
「ウォル!出たよ!」
「空間の中に手を入れて見て、私のハンカチがあるよ。」
手を入れたら・・・・・・
「あった。」
私はハンカチを持ったままウォルに抱きついた!
「ウォル〜!良かった!魔法が使えた!使えたよー。」
私はポロポロ泣き出した。
そんな私とは違って、ウォルの顔は真っ赤になっていた。




