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6 敵のアジト

 

   転移先は真っ暗な部屋だった。


  転移して早々に口封じと手枷をはめられる。そして奴らは部屋から出て行った。魔法対策の為だと思うけど、私は無詠唱魔法が使える為、この程度じゃ意味がないんだけど。もしかしてさっき魔法で吹っ飛ばした所見られてなかった?


  この国では基本的に学校に行かないと魔法が使えるようにならない。それは魔法の悪用を防ぐ為。ちゃんとした知識と教える力を持った人物から教わって魔法を覚える。魔法を使う為には魔法の核となるものが必要で、それを与える事ができるのは学校の教員だけ。その魔法を習得できるのも教員だけである。魔法の核を体内に流し込む事で使えるようになるのだ。


  魔法に関しての書物は一般的には出回っていないので独学で習得はできない。逆に言えば使う必要のないもの、守られる立場の者は魔法を使う必要がないので使えないのだ。


  だから油断しているのだろう。王宮で開かれるお茶会に参加している令嬢が魔法を使えるわけないだろうと。


  連れ去られたきた令嬢は2人。以前1人連れて行かれているので全部で3人。今この部屋にいるのは私を含め3人しかいないので、以前連れ去られた1人が居ない。そして一緒に転移して来た敵は8人だったが、他にも居るのだろうか。情報が足りない。


  手枷は簡単に外せそう。だが実力行使に出るのはまだ早い。タイミングを計らないと。


「今回も上手くいったな。」


「あぁ。王宮の騎士団も大した事ねぇよなぁ。」


「がはは、間違いねぇ。」


  男2人が部屋に戻ってきた。誘拐が上手く行った事に気分を良くした事でぺらぺらとおしゃべりになっている。


「それにしてもなんだってあいつは令嬢を集めてるんだ?」


「王宮の騎士団に恨みがあるみたいでよ、なんでも昔惚れた令嬢に会いに行った時に邪魔されたとか。その腹いせだってよ。」


「くだらねぇ理由だなぁおい。」


「違いねぇ。でも所詮俺達は雇われと身だからよ、金さえ貰えれば理由なんてどうでもいいって事よ。」


  騎士団に邪魔された、ねぇ。本当なんだか。


「それで連れてきた女達はどうするんだ?」


「そこまでは知らねえよ。4人も居るんだ。あーでも前回連れて来た女は今はあいつと一緒か。おもちゃにするなら分けてほしいもんよ。お前はどいつがタイプだ?」


「ん?そうだなぁ。お、あいついいじゃん。青いドレスのやつ。かーわいい。」


  青いドレスって私の事?えぇ…鼻の下伸ばしながらウインクされても…きもい…口封じがなければすぐに吹っ飛ばしてたかもしれない。


「1人くらいちょっかい出してもバレないんじゃねぇ?見れば見るほど良い女じゃんお前。俺と遊ぼうぜ。」


  厭らしい笑みを貼り付けて手を伸ばして来る。近づくにつれて笑みが深くなっていて不気味だ。はぁはぁと荒い息遣いが聞こえてくる距離まで来てしまった。


「優しくするからねぇ〜。」


  ぷちん。


「 (ネロ・プロスボレ (水よ突撃せよ) ) 」


  堪忍袋の緒が切れました。気付いたら指先を動かして魔法を使ってしまった。変態男は水の魔法を体にくらってしまい、伸びている。


  やっちゃった…結局吹っ飛ばしちゃったよ…


「…なっ、なんでお前!魔法が使えるのかっ!?くそっ!」


  もう1人の男が腰にあった剣を抜き、襲いかかってくる。その前に手枷を外し、避ける。騒がれる前にやらなきゃ。


「ネロ・クスィフォス(水の刃)」


  水の刃で切るとあっけなく倒れた。弱い奴で良かった。

  あとは起きた時暴れない様に口封じと手枷をつける。ちょっと暴れてしまったので誰か来てしまうんじゃないかと思ったがしばらくしても誰も来なさそうなので一安心する。


「今外しますね。」


  一緒に連れ去られた2人の口封じと手枷も外す。


「あの、ありがとうございます。…貴女は…?」


「今はこの様な格好をしていますが、私は騎士です。ここから無事に出る為にはあなた方の協力が不可欠になります。不安だと思いますが、私を信じてもらえますか?」


「は、はいっ。お願いします。」


「騎士の方がいて下さって安心致しました。よろしくお願い致しますわ。」


  ブロンドヘアのロングの女性の方は不安からか常に涙目で震えてる。もう一方の黒髪のミディアムヘアの女性は落ち着いている様子だ。


  でもよかった。不安はあるもののちゃんと会話はできる。こういう時パニックになってしまうと状況が悪化してしまう。


「まずはここが何処なのか、あとできればもう1人捕まっている方を探したいと思います。少しの間ここで待てますか?見つからなくてもすぐ戻って来ますので。」 


「い、いやっ!!待つのは怖いわ!着いて行きますっ!」


「……分かりました。あなたはどうしますか?」


「私も一緒に連れて行って下さい。」


「分かりました。それでしたら何があっても決して大声を出さない事、パニックにならない事を約束して下さい。敵に見つかってしまいます。」


  頷く2人。敵に見つかる、と聞いて強張った。


  そこで伸びている男達がぺらぺら喋ってくれたおかげでもう1人の令嬢はあいつ、と呼ばれるトップと居るようだ。一緒にいる2人を連れてそこへ向かうのは危険なので着いて行く、とは言ってたものの、途中隠れられそうな場所があれば一旦そこへ隠れていてもらいたい。


  隠し持っていた短剣を取り出しぎゅっと握りしめる。扉をそっと開け周囲を確認し誰もいない事を確認してから、部屋の外へと出た。

 

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