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4 男子禁制お茶会①

 

  ドレスに着替えながらようやく仕事内容を教えてもらう事ができた。それは本日開かれるお茶会に護衛として参加する事。ただし他の参加者に護衛だとバレないように私達も同じようにドレスを着て参加者になりきる。


本来ならば護衛の仕事は第1小隊の担当なのだが、今回の参加者の中に強烈な男嫌いの方が居るそうで、男ばかりの第1小隊では務まらないという事で第3小隊に声がかかったという事。第1小隊にも女は居るには居るのだが、今は別の任務で出払ってるらしい。仕事初日にしてこれまた重要な内容である。


「ルナ様。終わりました。」


  やっと終わった、と一息つき鏡で確認する。すごい、これが私?


  私の瞳と同じ青い色のドレスは肩と胸元が開いているデザイン。開いている部分にはレースがほどこされていて昼間のお茶会という事もあって露出しすぎてない感じがとても良い。顔も侍女の方がドレスに合うように綺麗に化粧をしくれた。こうして着てみると普段ドレスなんて着ないから、悪くないかもなんてつい思ってしまった。守る立場なのに守られる格好をするのは何か変な感じ。


「やーん!ルナ可愛いー!似合うじゃない!」


  普段よりワントーン上がったエリさんの方を振り向けばそこにはとてつもない美人が居た。

  私とは対照的に真っ赤なドレスを着ていてエリさんの黒髪にとてもよく合っている。綺麗目なドレスで、エリさんの為に作られたドレスなんじゃないかと思ってしまうほどに似合っている。


「わわ、エリさんこそすごく綺麗!目の保養です!」


「ありがとう。でもルナの方が可愛いわよ。騎士服も似合うけどドレスはもっと似合うわね!このまま2人で抜け出しちゃおうかしら?」


「もーエリさんってば、相変わらずですね。」


  くすくす、っと笑ってしまう。なんかエリさんに対しての扱いに慣れてきたかも。


「お二人共すごく似合ってますわ。さすが第3小隊の美人トップ2ですわね。ルナさんは初めましてでしたけれどリオンさんの言う通りのドレスにして正解でしたわ。ルナさんの事よく分かっていらっしゃるみたい。ふふ。」


「え?もしかしてさっき言ってたリオンから聞いた事ってこのドレスの事ですか?」


「あら、これは内緒のお話でしたわ。」


  王女様は私は何も言っておりません〜と言って隣の部屋に戻ってしまった。

  リオンがこのドレスが良いって言ったって事?いやいや、まさかね。どうせ私の嫌味でも言ってたに違いない。


「じゃあルナ、お茶会と言う名の護衛任務、行きましょうか。」


「はい!初めてのお仕事、頑張ります!」




 ーーー




  一応護衛としてここに居るわけなのでドレスの下に短剣を仕込んでいる。護衛対象でもある王女様とは近すぎず、尚且つ離れないようにしている。男子禁制と言っても見えない範囲に居ないだけでちらほら気配を感じる。3、4人ってとこかな。案外近くに居る。


  それにしても男嫌いなお方は一体誰なんだろう。普段はどうしてるのだろうか。完全に男を避ける生活なんてできるのかな。


  お茶を口にしながら考えるのは先程エリさんから聞いた話。エリさんによると、最近お茶会の場で変わった事がよく起きるそうだ。初めは物がなくなった。それも使用済みのティーカップ。次は食べかけのお菓子。どちらもいつのまにかなくなっていたそうで、物が物なので特に気にしてはいなかったらしい。大事なものでもないしね。なくなったものはこれといって決まった人物のというわけでもない。ただ決まって王宮で開催されるお茶会でしか起きなかった。王宮ということもあって人がたくさん関わる場所なので気のせいで済ましていたが、そんな時1人の令嬢が行方不明になった。それもお茶会の最中に少し席を外した時にそのまま戻らなかった。その令嬢は今でも見つかっていないという。


 これは何かあるかもしれないということで騎士団が潜入して護衛する事になったが今回のお茶会の参加者の中に男嫌いの人が居るみたいで第3小隊に声がかかった。いなくなった令嬢は無事だろうか。



 ガシャーン



  ゆっくりとした時間が過ぎていき、このまま何事もなく終わるのかな、と思っていた矢先事件が起きた。

  キャーと言う叫び声が辺りに響く。それも1人じゃない。王女様は、と確認するとエリさんが丁度近くに居たようで一安心する。王女様はエリさんが側に居るので大丈夫そうなので悲鳴が上がった方に行こうとすると、私達全体を囲う様に黒づくめの人が居る事に気が付いた。


 それも1人や2人じゃない。全部で10人位居るのだろうか。城の警備をかいくぐって侵入して来たって事は相当なやり手なのだろうか。それとも手引きした人が居るのか…

 

  手を払う様に動かす。ぐぉっ、と呻き声を出しながら近くに居た2人の侵入者は弾かれた様に吹っ飛ぶ。無詠唱魔法。私の特性である水の力を使って侵入者を吹っ飛ばした。


  何人かの令嬢は拘束され魔法陣の上に集められている。その中には男爵家や伯爵家の令嬢もいる。助けなければ。令嬢達を転移魔法で連れ去る気らしい。転移魔法なんて高度な技を使う辺り手が込んでいる。既に転移魔法の発動が始まってしまっている為、停止はできない。ならばこちらから行くしかない。


  ギリギリのところで転移魔法の魔法陣上に行く事ができた。もう後戻りはできない。転移し始め体が消えかけた時に最後に目に入ったのはエリさんでもなく王女様でもなく、こちらに走って手を伸ばす、珍しく焦った顔のリオンだった。



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