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3 教育係

 

  自己紹介も終わり、しばらく教育係としてつきっきりで教えてくれるエリさんに第3小隊が使用している建物について案内をしてもらっている。そして最後に案内された休憩室で言われた一言に絶句する。


「やっと2人きりになれたわねぇ。」


「………」



「なんてね。ふふ、そんな顔しないでよ。仕事中はしっかりしないとね。でも仕事が終わったら覚悟しといてね。私本気になっちゃったみたいだから。」


「ほ、本気とは…?」


「やーね、貴女の事が好きになっちゃったって事!」


「ええ!そんないきなり!!?」


「うふふ、一目惚れってやつかしらね?ねぇ、ルナは今恋してるの?」


「うーん、実は私恋とかよく分からなくて…」


「やだ、可愛い!ピュア美少女!私がいろいろ教えてあげたいわ!」


  エリさんの目の色が変わった気がする。目の色が変わるなんてのは例えでしかないはずなのに、本当に目の当たりにした様な気分だ。それくらい空気感が変わったのだ。


 エリさんは本当に私の事が好きみたい。好かれるのは嬉しいけど同性からだとどうしたらいいのか余計に分からない。だって恋愛すらした事ないのに。

  大分戸惑っている間にエリさんとの距離がどんどん近くなってきてついには抱きしめられてしまう。


「このふわふわした金髪も綺麗よね。さてここはどうかしら…?」



 ここは……?…どこのこと?



 …むにゅ



  むにゅ?あれ?私今エリさんに胸を揉まれている…?


「………………っきゃーー!!!」


  揉まれてる!すごく揉まれてる!!


「やーん。着痩せするタイプなのかしら。けっこうあるのねぇ。やわらかーい♡」


「エエエエリさんっ!!?仕事中はしっかりするんじゃないんですか!!??」


  ぱっとエリさんから離れ胸をガードする。自分を抱きしめる様に腕をまわす。恥ずかしい。顔から火が出そうなほど熱い。他人に初めて揉まれた…もうお嫁に行けない…


「あらやだわ。ついつい、ね。」


  ぱちん、とウインクするエリさん。うん、素敵。素敵なんだけど変態だこの人。

  そして私の悲鳴を聞いたソールさんが飛んで来てエリさんに再びげんこつをお見舞いしていた。私はそっと目を閉じた。




 ーーー






  教育係のエリさんはすごく美人だ。艶のある長い黒髪に色白。口元のほくろによって強調されたぷっくりとした唇、おまけにスタイル抜群。


 補足、好きなタイプは女性。



「さっそくだけど仕事しましょうか。」





  そう言ってエリさんに連れてこられた場所は王宮だった。


「王宮、ですか?」


「そうなの。まぁ詳しい事は今から説明があると思うから。」


  先へと進んでいく。けっこう奥まで来たけどどこまで行くのだろう。

  暫く歩いてようやく立派な扉の前で止まったエリさん。扉の前には騎士が2人。


「第3小隊、エリ・イベリス、こちらはルナ・フリージアです。」


「話は伺っています。ではどうぞ。」


  どうぞ、と言って扉の前から退く護衛騎士。ちょっと話について行けない。聞くに聞けずただ傍観してしまう。エリさんが扉をノックすると返事が聞こえた。


「どうぞ。」


  鈴のなるような可愛らしい声が聞こえてきた。王女殿下 失礼します、と言って部屋に入っていくエリさん。え、王女様!??驚くも、すぐに驚いた顔を正し、エリさんに続けば中に居る王女様と目が合った。


「第3小隊、エリとルナが参りました。」


「ご苦労様です。突然の事なのに快く引き受けてくださり嬉しいですわ。」


  そう言って王女様はニコりと笑った。そのお顔が本当に美しくて女の私も見惚れてしまう。さすが王女様。見た目は勿論、何から何まで完璧だ。


「ルナさんは初めましてですわね?セレーネ・ルドベキアですわ。よろしくお願いしますね。」


「ルナ・フリージアと申します。お目にかかれて光栄です。」


「あらやだ、そんなにかしこまらないでくださいな。貴女とはぜひお会いしたいと思っていたの。」


  王女様と会う事だけでもすごい事なのに話したいと思われていたとは一体何が起きてるのだろうか。誰か早く教えてほしい。驚きを隠せないでいるとそれを察してくれた王女様が答えてくれる。


「貴女の事はリオンさんから聞いたのよ。うふふ。」


「リオンから、ですか?何を聞いたのですか?」


「それは秘密よ。」


  うふふ、と口元を隠しながら笑う王女様。リオンってば何を王女様に言ったのだろうか。私と同じで今日が初めての仕事だと言うのに、もう王女様と仲良くなったのだろうか。恐ろしい男だ。自分が知らないところで、ましてやこんな王女様との会話に自分が出てくるなんて正直居心地が悪い。


  それにしてもとても気さくな王女様である。王様と同じ銀髪が太陽の光に反射して輝いた。そこに居るだけで眩しい。


「それではあちらの部屋で着替えてくださいな。ドレスは私がお2人に似合うものを用意してありますわ。」


  返事もする間もなく、訳も分からない内に先程から部屋の隅に待機していた侍女の方にぐいぐいと押され隣の部屋に連れ込まれてしまう。この侍女さん、けっこう力あるな。どんどん身ぐるみを剥がされていく。1枚、1枚と剥がされていく内に抵抗を諦めて、もうなるようになってしまえ、なんて思いながらドレスアップされていった。


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