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24 掴めない手がかり⑤

 



「ルナと連絡がつかない?」



 第3小隊執務室。溜まっていた書類仕事を片付けながら第3小隊の隊長であるシヴァは、第5小隊から報告を受け、眉間にしわを寄せる。

 第5小隊は人手が足りないということで第3小隊へと人員要請希望を受けたので、今朝、新人であるルナを送ったばかりだ。


 ルナは新人ではあるが、入隊してすぐに起こった令嬢誘拐事件では見事な活躍をしてくれた。その事件では最悪な事に魔物が出現したが、第1小隊の、ルナと同期の新人と一緒に倒した。まだ入隊して日は浅いが、仕事内容も申し分ない。よくできた新人だ。

 度胸もあるし、実力もある。そして見た目も可愛い(変態と思われたくない為周りには言わない)


 そのルナと連絡がつかない?

 なんてこった。ここ最近の仕事を見てきて連絡を怠る様な奴ではないのは分かっている。


「えー!ルナが行方不明!??いやぁー!」


 報告を盗み聞きしていたエリが叫ぶ。横でギャーギャー騒ぐものだから煩くてしょうがない。まったくうるさい奴だ。ルナの事となるとすぐさま嗅ぎつけてくるエリに大分引いた。

 こんな時、しっかり者のソールが居ればエリの頭にがつんと一発入れていた事だろう。代わりに俺がやろうか。


「うるさいぞエリ。んで、詳細は?」


 報告に来た平隊員であろう第5小隊の男から説明を受ける。第5小隊2人と計3人でただの町の見回りだったはず。なんてことない、ただの見回りだ。

 3人のうち、オグマという男性隊員は途中で別行動に移ったらしく、その男から詳細が聞けたそうだ。



 3人は見回り中、1人の女性が行方不明になった事を聞いた。詳しく話を聞く為、行方不明になった女性と一緒に住む母親に話を聞きにいった。その時にその母親が倒れてしまった為、オグマは母親を医者の元へ連れて行き、残りの2人は捜索にでた。

 そうしてオグマと2人はそれっきり連絡が取れなくなった。


「うむ。話は分かった。第5小隊はどう動いている?」


「捜索する為の人員を調整しているところであります。」


「分かった。ひとまず第5小隊に任せるが、何かあったら連絡をくれ。」


「はい!」






 ーーー






「「…え?」」


 思わずヴィーナと固まってしまう。ホーラさんは私達と会うのは初めてだと言った。確かに昨日初めて会ったわけだけど、昨日今日で忘れてしまうものだろうか。


「…えっと、昨日、お会いしましたよね…?」


 思わず自信なさげに聞いてしまう。


「昨日?初対面のはずですけれど。」


「…ホーラさん、ですよね?」


「いかにも、ホーラですけど。」


 ホーラさんである事には間違いない。ただ忘れていただけなのか、昨日の事を細かく話しても覚えていなかった。そして極めつけは行方不明のエイレネさんの事だった。



「エイレネが行方不明?何を言っているのかよく分からないわ…。」






 それ以上話を聞いても無駄だと判断し、ホーラさんにお礼を告げてその場を離れた。


「…一体全体、どういう事なの!!」


 訳が分からなくて、ホーラさんの家から少し離れた所で口を開く。訳の分からない事だらけで頭がもやもやする。私達は2人揃って夢でもみているのだろうか。夢にしてはリアルすぎる。


「なーんか嫌な感じよね。……ん?あれ?ルナ!!!」


「どうしたの!?」


 いきなりヴィーナは走り出す。訳が分からないまま後に続くとヴィーナは走りながら言った。


「男の子!男の子よ!!あの男の子が居たのよ!!」


「男の子って広場に居た子?やった、ヴィーナお手柄!!」


「あんな可愛い子、私にかかれば見つけるのなんてお手の物よ!!うふふふ…」


 この連続する不可解な事のせいで若干おかしくなったヴィーナ。目が怖い。妙に光ってる。黒い笑みを浮かべて走るヴィーナを横目に若干引きつつ、私も男の子を見つけた。


 男の子は大分先の方を歩きながら奥へ、奥へと歩いて行く。私達は人を避けながら追いかけて行き、あと少しの所で男の子が角へ曲がって行ったので私達も角を曲がった。




「ここは…。」


 そこは初めて男の子と会った広場だった。男の子は私達に背を向け立ち止まっている。異様な雰囲気を出す男の子に思わず身構えてしまえた。



「…ねぇ。」


 そう言って振り返った男の子は笑っていた。とても楽しそうに。


「エイレネさんには会えた?」


 男の子は本当に楽しそうに笑うものだから毒気が抜かれてしまう。


「この不思議な現象は貴方の仕業?」


 ただの男の子じゃない。今まで起きた現象はこの男の子が原因だ。この男の子は面白がっている、そう気付いた。


「うん!そうだよ!僕、すごいでしょ!」


 褒めて、褒めてと言う男の子。それが母親に褒めてもらいたい一心で頑張る子供に見えてしまった。


「貴方は褒めてもらいたくてこんな事をしたの?」


「うん!だってこんな頑張ったんだもん!ねぇお姉さん達、褒めてくれるよね?」






「………褒めるわけないでしょ!!!」




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