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20 掴めない手がかり①

 

  一体どういうことなのか。確かにあの時オグマさんは具合の悪いホーラさんを連れてお医者さんの所へ行くと言っていた。あれからしばらく経っているから私達がオグマさん達より先に着いてしまうなんて事はありえない。医者に行く事よりも優先すべき事ができたのだろうか。それとも予測出来ない何かがあったのか。


「ヴィーナ、ホーラさんの家へ戻ってみよう。」


「そうね…。急いで戻ってみましょう。」


  私達はお医者さんにお礼を言って引き返す。悠長に歩いている場合ではないので急いでホーラさんの家へと向かう。さほど距離はない所にホーラさんの家があるおかげであっという間にたどり着いた。着いて早々ベルを鳴らすが私達の期待を裏切るかのように中から人が出てくることはなかった。無礼を承知でドアノブを回すも鍵がかかっていてあかない。


「居ない…。やっぱりオグマさんとホーラさんは出掛けたって事だよね。なんでお医者さんの所へ行かなかったんだろう。」


「あーもう!どーなってるのよ!私こういうの嫌!」


「ちょ、ちょっとヴィーナ?落ち着いて。」


「ルナはどうして落ち着いてられるのよ〜。」


  もうやだ、と頭を両手でがしがしっと掻きながら不満を言うヴィーナ。広場で会った男の子の事といい、オグマさん達の事といい、わけわからない事ばっかりなのでしょうがない。かくいう私も、ヴィーナをなだめるお陰で冷静になれてる気がする。1人だったら慌てていただろう。そう考えるときヴィーナには悪いけど、ヴィーナがわめき散らしてくれて助かっている。


「でも本当にどうしよう。できればオグマさんと合流したかったけど、オグマさんの居場所が分からないんじゃ無理だよね。なんか心配だよね。」


「んー、そうねぇ。ここは本来の目的であるエイレネさんの捜索に戻りましょうか。オグマさん、ああ見えて強いから何かあってもそれに対処する力があるから彼の事は大丈夫だと信じましょ。私達は私達のやれる事をしましょう。」


  さっきまでわめき散らしてたとは思えないほどしっかりしたヴィーナの言葉に頷く。そうだ、私達のやれる事をやろう。ホーラさんが私達に託してきた事。ホーラさんの大事な娘さんを見つけ出す事。


  私達はもう一度、男の子を探しに広場へと向かった。





 ーーー





「あーもう!!居ないじゃないっ!!」


  広場に響くのは苛立ちの声。ここに来る事を決めた時はあんなにしっかりとした感じだったのに。でもまぁ、こっちの方が彼女らしいといえば彼女らしい。さっきまで張り詰めていた空気も和やかになる。


「私こういうの苦手っ!考えすぎて馬鹿になっちゃう!!」


「…まぁヴィーナって勉強出来なかったよね。」


「誰にでも不得意な事の一つや二つあるわよ!」


  ピースをしながら言い切るヴィーナ。そんな自信満々に言える事じゃないよね…私にだって出来ない事あるけどヴィーナみたいに言えない。逆にここまで言える事が正直でヴィーナのいい所だ。


  不得意な事で思い出したけど、昔あいつにも出来ない事があるって言われたなぁ。そんな事を考えていたらヴィーナからおそらく同じ人物であろう人の事を話し始められる。


「あ、でもあいつは出来ない事なんてなかったわよね。」


「あいつってリオンの事だよね?」


「せいかーい!さすが幼馴染ねぇ。愛の力かしら?」


「愛の力って…ただの幼馴染の力だよ。でもリオンにも出来なかった事、あるみたいだよ。」


「何それ初耳。詳しく!今度嫌味で言ってやろうかしら。」


「それがねぇ、なぜか教えてくれないの。強がりなのかな?」





 ー





  それは昔の事。まだお互いに魔法学校に行き始めた時。私にはどうしても出来ない魔法があった。魔法の練習は練習場でしか行ってはいけない為、練習場の中でも個室がある所で毎日毎日練習したのだけれど、結局出来なかった。さすがに落ち込んだ。


  そんな時、リオンが隣にやって来た。いつもみたく馬鹿にでもされるかなぁなんて構えていたら思いがけない一言をくれた。


  "誰にでも出来ない事はある。その魔法はルナが覚えなくていい魔法なんだよ"


  その瞬間、落ち込んでいた気持ちがどこか遠くへ飛んで行った。そうだ、くよくよしてる場合じゃない。出来ないならいつまでもそれに足を引っ張られていないで、出来る事を探して極めよう、と。我ながら単純だと後から思ったけど、その一言があったお陰で吹っ切る事が出来た。


  その時にふと、リオンでも出来ない事はあるのか不思議に思って聞いてみた。どうせそんなものないんだろうな、なんて思いながらも聞いてみると返ってきたのは予想と反した言葉だった。


 "俺にも昔から出来ない事、一つだけある"


  そう言ったリオンはなんだか私の知らないリオンのようだった。深い青い目で見つめられ、思わずその綺麗な瞳に吸い寄せられて魅せられてしまう。リオンも何も言わないので見つめ合う形になってしまう。

 その先に言葉を繋げる事はできなかった。




 ー




「へぇ〜。そんな事があったのね。」


「うん。懐かしいなぁ。リオンなりに慰めてくれたのがなんだか嬉しくて。出来ない事にぶつかると決まってその時の事を思い出すんだ。」


「いい思い出ねぇ。それでルナが出来なかった魔法って一体何なの?貴女が出来ないなんて珍しいわね。」


「ってか、こんな昔話してる場合じゃないよ!捜索!手がかり!探さないとだよ!」


「分かってるって!それだけ教えて!じゃないと気になってしょうがないじゃない!」


「誰にも言わない…?」


「もちろんよ。」




「………異性を魅了させる魔法……。ていうかこの魔法すすめてきたのヴィーナだよね?」



「…え?そうだったかしら?」


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