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「俺の命令は絶対だ!」
生徒会会長に任命された男子生徒は第一声で言い放った。
この言葉に全校生徒は唖然とした。
当然だ。この生徒…夕凪悠斗は選挙で言った事と全く違っていたからだ。
---事は生徒会役員選挙まで遡る…
会計、書記、副会長とそれぞれ演説が終わり会長選が始まった。
候補者は3人…悠斗もその1人だ。
悠斗は最後に演説が決まっており、2人の演説が終わった。
司会の生徒に呼ばれると、悠斗はゆっくり立ち上がり教壇に向かう。
背はすっきりと高く、筋肉質とはまでは言えないがブレザーを着こなす体格の良さ、おまけにヘーゼルナッツのような髪色をしたその生徒は、全生徒の注目を集めた。
「只今、ご紹介に与りました夕凪悠斗です。
私が会長に立候補した理由はより良い学校づくりを実現したい!ただその一心に他なりません。
私が会長になった暁には、生徒一人一人の声に耳を傾けてあらゆる問題も確実に改善しましょう。
この私が当校を変えてみせます!是非とも皆さん、清き一票をお願いします。」
演説が終わった悠斗は一礼し教壇を後にした。
一通りの演説が終わると、司会の生徒が投票などの説明を行い、聴き終わると生徒達は各々教室に戻って行った。
教室に戻った生徒達は思い思いに候補者を決め投票用紙に印をつけていく。
開票は放課後、選挙管理委員会のメンバーが行い結果を全校生徒が見やすい場所に張り出された。
結果は書記、会計、副会長は接戦を強いられたが、会長はダントツで悠斗に決まった。
翌日その結果が発表されると、悠斗はニヤリと笑みを浮かべるのだった…
就任式を迎えるまで、悠斗は前会長であり先輩生徒から色々と引き継ぎや、会長としてのあり方の教えを受けた。
悠斗はその間素直に教えを乞い、質問などがあれば訊いたりと、その姿勢は前会長からは好意的な印象だった。
他の生徒会役員からの評判も悪くはなかった。
だが、この時はまだ前生徒会メンバーも知る由もない…悠斗の計画を…
そして、先輩達が卒業し悠斗が生徒会会長となる時が来た……