消滅の時
「…巨大隕石の続報です」
それまでテレビ画面に映し出されていた、売り出し中の新人役者を起用した三流恋愛ドラマが突然切り替わり、代わって画面には神妙な面持ちのニュースキャスターが登場した。
キャスターは残念そうに、一言一句を噛み締め、事態の深刻さを伝えた。
「先日発表された、巨大隕石の地球衝突は免れないものとなりました。今現在、我々の科学では手のうちようがなく、地球の消滅を待つだけというのが現状であり…」
遡る事数日前、宇宙連邦調査会より全世界に衝撃の発表がされた。直径数百キロにも及ぶ巨大隕石が地球に衝突するというのだ。核ミサイルを放ち、隕石の破壊計画が持ち上がるも、隕石のその大きさから破壊はほぼ不可能に近かった。事実上、破滅の時を待つのみ。
突然突きつけられた運命に、人々はうちひしがれ絶望した。
神に祈る者、残り僅かな時を大切な人と過ごす者、どうせ亡くなるのならばと犯罪に走る者と反応は様々だった。
そしてやってきた地球最後の日。巨大な隕石の影が地球を覆い、隕石は雲を裂いて赤い火球となり地球を襲った。
だが、スポンジのような柔軟性の巨大隕石は、地球の表面にぶつかると、地球の硬度に負けて弾かれ、どこか宇宙の彼方へと飛んでいった。