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絵描きさんのぶらり旅  作者: 弓瑠斗
異世界下見編
7/16

異世界堪能開始


「…………?」

ハルキは見てもよく分からず、首を傾げた。

適正属性は雷だけというのは分かるのだが、それ以外は見ただけでは判断しがたかった。


「分からない固有魔法や称号はそれを触れば詳しい情報が表示されます」

すると、それを見ていたソフィアはすかさずアドバイスをくれた。本当に優秀なメイドだと感心しながらも、気になる場所を触っていった。


『絵画の具現』

自身が描いた絵を現実に顕すことができる。性能は自分が注いだ魔力量によって変化する。


『異世界からの来訪者』

異世界人だということを表す。全能力に補正がつく。


『最速の絵師』

誰よりも速く絵を描くことができる絵師を表す。描く速さやその他の速さに大幅補正がつく。


『虚無の心』

何も感じない無の心を表す。誘惑などの一部能力に耐性あり。



「どうだ?もしよければ見せてもらってもいいだろうか?」

カードを見て固まっていたハルキにガンスはそう声をかけてきた。

我に帰って周りを見ると、ガンスやソフィア、そしていつの間にかハルキの隣に座っていたミエルも気になっているようだったので、半ば呆然としながらもガンスにカードを渡した。


「これは……すごいな。なんだこの固有魔法は」

「魔力が80000となると、賢者が5人いても足りないほどの量でございますね」

「すごいわね……」

ガンスはハルキより長く生きているだけあってハルキの異常さがよく分かるため、唖然としながら驚いていた。

ソフィアはすでにステータスを固有魔法で見ていたので、対して驚いている様子はなかった。

ミエルは珍しく目を子供のように輝かせていた。


「やはり、異世界人は我々とは違うのだろうか……しかし……どうするか」

「どうする……とは?」


やっと落ち着いた3人の前に座って尋ねた。

「いやな、こんな物凄い異世界人なのだからここに住んでもらおうと思ったのだが……お前は誰かに縛られるのは好きではなさそうなのでな」

「……よくお分かりで」

基本的にハルキはマイペースで放浪癖がある人間である。自分が描きたいものがある場所に自分がいると言えるだろう。


これでも地球ではほとんどの国の世界遺産を見て描いてまわった経験もあるのだ。

そんなハルキが同じ場所に留まるのはまず無理だろう。


「では、これからどうするのだ?」

「そうですね……少しこの村を見てから世界を見て回りたいですね」

「そうか。では、しばらくはここに住むといい。もちろんこの村を出るときは引き止めはせんぞ」

「それは……よろしいので?」

「おう。というか、俺が領主だからって敬語を無理してまで使わなくてもいいんだぞ?」

と言われてしまった。

「……じゃあ、そうする」

視線に押し負けたハルキは目をそらしながら答えた。


「では、しばらくよろしく頼むぞ」

「よろしくお願いいたします」

「よろしくね、ハルキ」

「こちらこそ、よろしく頼む」


そうしてハルキはダランベール家に滞在することになった。



◆◇◆◇



ハルキがダランベール家に来た次の日、ハルキはダランベール家の敷地内にある広大な庭園に来ていた。

様々な色の花たちは、細かいところにまで手が加えられていて、見ていて心が落ち着く場所である。


もちろんこの場所を見たかったというのもあるが、ハルキはここで魔法の練習をしようと思ったのだ。

だが、現在ハルキは首を傾げている。


(さて、まずは魔力をどうやって流すかだな)

そもそもハルキの住んでいた地球には魔法など架空のモノで、存在すらしていなかったのだ。いきなり魔力を流せと言われてもできるはずがない。


とりあえず、この世界に来たときに持っていた物を出してみることにした。

ショルダーバックの中にある、携帯電話、スケッチブック、筆や絵の具一式、鉛筆、ペンなどを片っ端から取り出していく。

こう見るとよくこれだけ持ってこれたと言うべきだろう。


とりあえずスケッチブックと鉛筆を手に取ってみたが、当然特に何か変わったわけでもないので、ハルキはふたたび首を傾げた。

(魔力っていうのは、血液みたいなものだとソフィアさんは言っていたな。ということは、血液を巡回させるのをイメージすればいいということか…?)

とりあえずと思い鉛筆を持って血液をイメージしてみることにした。


最初のうちは全く反応を示さなかったが、細かいイメージを変えながら繰り返していると、僅かではあるが、鉛筆が淡い黄色に光り始めた。

「なるほど……こういうことか」

それからしばらく、魔力を切ったり流したりしてみると、最初のように小さな光ではなく、まばゆい光になっていった。

どうやら魔力を流すのは、1度行えれば永続的に使うことができる技術のようだ。


流す魔力を調節できるようになるまで練習した後、ハルキは光っている鉛筆で絵を描き始める。


遠くで見ている限りだといつもとは変わらないが、目を凝らすと少しだけ描いた部分が光を放っている。今はとても少ない魔力を流しているのだが、それでも描いていくたびに自分の身体から何かが抜けていくような疲労感が起こっている。


これは、魔力を使うことにより起こる症状なのはハルキにも理解できたが、とりあえず最後まで絵を描いてみることにした。


絵が描き終わる頃、ハルキは魔力が抜けていくのは分かったが、そこまで疲れてしまうほどまでにはならなかった。

ここは魔力が多い自分の身体に感謝するべきだろう。

下手に少ないとすぐに倒れてしまうのは簡単に分かることだからだ。それほど、魔力を流すというのは大変なことなのだろう。

(しかし、この魔法はだいぶ燃費が悪いんじゃないか?……いや、まだ試してはいないが具現化という魔法の効果と比べるとむしろ安いものだろうな)


考えながらも描いた絵を見てみる。

魔力を流して描いたバラの絵は、僅かに輝いて、幻想的な雰囲気を醸し出していた。

「……で、どうすればいいんだ?」

描いてみたのはいいんだが、このあとどうすれば良いのかが分からない。

「とりあえず……」

このまま何もしないのでは意味がないので、とりあえずイメージを考えることにした。


(絵画の具現、か。説明によると、魔力を使って新しいものを創り出す、といったところか?だったら絵画が現実に出てくるようなイメージをすれば……)

ふと思い立ったイメージを試してみることにした。


バラの絵に手を添えて手に魔力を込めてイメージを流し込む。

すると、バラの絵がさらに輝きだして、まぶしい光を放った。

ハルキの手元には描いた絵をそのまま出したような赤色のバラがあった。


「なるほど、絵を魔力を糧として現実に創り出す魔法か。鉛筆で描いたのに色が赤いのは無意識に俺が感じていたバラのイメージを具現化した、ということだろうな。ということは説明以上だとすると、この魔法は俺のイメージの強さによっても性能が違うものが創り出せるんじゃないか?」

そう思い立ち、それからしばらく固有魔法の実験をする。



調べていくと、分かったことがあった。


1つ目は、ハルキのイメージした性能がそのまま付くということだろう。

剣に火をだすイメージをしたら、振るたびに炎が噴き出してきたり、懐中電灯に物を小さくするようなイメージをしたら、光を当てたものが小さくなったりしたことから、かなり強力な魔法だ。

だが、与える性能によって魔力消費量が大きくなるようだが、そこはハルキの強大な魔力で物を言わせている。が、それでもハルキでも多少辛い魔力消費量である。


2つ目は、ものを創り出すのではなく自然に干渉して変化させることも可能だということだ。

例えば、地割れしている地面を描いた絵を具現化すると、地面した地面が具現化した。(込めた魔力量によって規模が変わる)

また、自然に干渉する場合は具現化したい場所に絵を向ける必要がある。



「これは……かなり凄い魔法なんじゃないか?」

ここまで調べて出た言葉はそれだった。

ものを創れるだけならまだしも、自然に干渉して変化させる魔法はそんなにないのではないのだろうか。

できるとしてもせいぜい土魔法で土を盛り上がらせたり槍を作り出す程度だろう。


「まあ、固有魔法はとりあえず置いておくとして、次は属性魔法なんだが……」

固有魔法は説明があったのでなんとか分かったが、属性魔法は説明なんて無いし、そもそも発動方法を知らないので、そのまましばらく悩んでいると、後ろから足音が聞こえてきた。


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