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キラキラお茶会 1

 大きな切り株のテーブル、葉っぱの皿や蔓で編んだかごには色とりどりの果物と宝石のような砂糖菓子。ハーブを混ぜた紅茶は香り高く、エクサの頬を上気させた。

 「いらっしゃい、エクサ!」

 ぱたぱたと駆け寄ってきたのは、エルフの国の女王ピコだ。可愛らしいピンクのドレス、緑がかった銀髪に小さなティアラを乗せ、エルフ族特有の尖った耳を嬉しそうに動かしている。

 「お招きいただきありがとうございます、女王様」

 エクサは教えられた通りに、スカートの端をつまんでお辞儀する。女王はぐっと背伸びしてその頭を撫でてやり、そしていそいそと席へ案内した。

 「かた苦しい挨拶なんてなしよ。ね、ね、今日のお菓子は、最近都にできたばかりのお店から取り寄せたの」

 エルフ族の中で最も老齢なはずの彼女がエクサよりも幼い容姿なのは、エルグと同じくエクサを護るために神通力を使いすぎたせいらしい。エルグとは逆の作用で若返ったのをいいことに、幼いふりをして友達のようにエクサに接した。

 「ね、こっちもおいしいのよ。食べて、食べて」

 「やだ、食べるのもったいないくらいかわいい!」

 「お茶のおかわりは?」

 大きな瞳を輝かせ、夢中になって楽しむエクサを、少年たちは冷静に見守る。

 フェムトは上品に紅茶を味わい、メガは菓子を食い散らかしてエクサに睨まれた。

 「女王様のお茶会、本当に大好き! かわいくて、おしゃれで、おいしくて!」

 「あら、人間の国の女の子たちを真似しただけよ。いいな、エクサは。あと二ヶ月で、毎日こんなお茶会ができるようになるんだもん」

 しかし、エクサの顔が曇る。

 「あと、二ヶ月で……」

 「どうしたの?」

 うつむき、ため息が一つこぼれた。せっかくの楽しい茶会が台無しだ。

 「あと二ヶ月で、女王様や、みんなとお別れなんだな……って」

 「エクサ……」

 ピコはエクサを抱きしめ、優しい声でささやく。

 「大丈夫。エクサには、いつでもここに来れるように、通行証をあげる」

 「遊びにきていいの?」

 「もちろん。あ、いい子にしてたらね」

 エルフの国には、悪い心を持っている者は入れない。エクサはうなずく。

 「ん、まだ元気ないわね」

 ピコは考え、侍女を呼びつける。こそこそと耳打ちすると、侍女はにっこり笑って退室した。

 「んふふ、エクサに、プレゼントを用意したの」

 ほどなく侍女が戻ってくると、ピコは少年たちを残し、エクサだけを連れて別の部屋に移動した。


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