第二話
放課後、旧校舎へと俺と花山は来ていた。
旧校舎は正門から見てちょうど現校舎の裏側にある。むしろ裏門から来た方が早い。
旧校舎は西棟と東棟というのがあったらしく、現在俺たちが来ているのは西棟の玄関だった。
去年に東棟を崩して建てたという新築の体育館からは大きな部活動の先輩達によって勧誘のパフォーマンスが行われていて、その音が漏れて旧校舎の方にも聞こえてきていた。
もともと帰宅部でそういった部活動に興味がない俺と花山はこっそりと抜け出してきたのだ。
超常現象研究同好会に割りあてられている部屋は西棟の1階の中でも最も端の教室で玄関からは遠い。
超常現象研究同好会の現状を暗に教えてくれている配置に俺たちは黙々と古臭い校舎の中を歩いて行く。
旧校舎の中は旧校舎と言うものの、ホラー映画に出てきそうな木造建築ではあり、ところどころ妙な臭いがしているのは、腐っている床があるからだと思われた。実際、さっきから花山が歩くたびに床がぎいぎいと音を出している。
「すげえな……いろんな意味で」
「ああ、ていうか管理できてんのかな、これ」
花山の言葉に同意して不安を呟きつつ、進んでいくとついに校舎の端に着いた。
一番端の部屋の扉には『超常現象研究同好会』という言葉が書かれた真新しい白い紙が、ある意味歴史を感じさせる木目には場違いな雰囲気を醸し出しながら貼られていた。
中からは僅かに話し声がしているので、人がいるのは確かだろう。
「ここだな」
「ああ。ここだ…」
楽しそうな声の花山と対照的に俺の声は沈んでいる。
改めて考えると怒られても仕方ないことをしでかしたことをした気がして、逃げ出したくなっているのだ。
中からは相変わらず声が聞こえてくるが、何を言っているのかはわからない。
「……くっ」
扉にノックをしようとして手が止まる。
ただノックをして中に入り謝るだけだというのに。
そんな俺を見ていたしびれを切らしたのか花山は俺を押しのけると、
「お邪魔しまーす」
「お、おい!?」
軽い調子で中に入っていった。
その途端、
「きゃああああああああああ!!!!」
中から絹を裂くような悲鳴が響いた。
「だ、大丈夫ですか!?」
俺は慌てて中に入ると、朝も見かけた女子生徒が見知らぬ女子生徒を抱きしめていた。
そして注目が俺に集まると、抱きしめていた方の女子生徒、つまり朝に俺が押し倒してしまった先輩が、
「きゃああああああああああばば……」
妙な声を上げて倒れてしまった。
現在続きを改訂中
少し間が開くかもしれません。
リハビリを兼ねて思いつくがままに書いていますので。
7/18 誤字の修正及び第三者視点に変更。