8話
変わらない毎日が続いていく。
彼は毎日、私のお墓にお花を供えてくれる。
相変わらず彼に私は見えなくて、触れることもできなくて、あれから何も変化は起こらなかった。
ただ彼が時々、何か吹っ切れたみたいに微笑むことが多くなって、私はその笑みを幽霊さんと眺めてた。
それだけのことだけど、すごく嬉しくて。私の気持ちを伝えて本当に良かったなって思うんだ。
彼が私のことにどうケリを付けたのかはわからない。伝えられたといっても私の気持ちを、しかも抽象的なものでしかなかったから。
彼と話せたわけでもなかったし、彼がどう感じたかなんてわからない。
けど、きっと彼にとっても良かったことなんだって信じてる。
・・・結局、私たちの関係は何も変わらなかった。
前に、思ったことがあるんだ。
死んでいる私。
生きている彼。
別の世界にいる2人は、どこまでも交わることがない。
ただずっと、この関係が続いていくだけ。
だからこそ、私は永遠に彼を偲ぶことができるから。
きっと、それでいいんだ。
でも・・・
「・・・あぁ、もうっ!」
「えっ・・・!」
私が叫び声を上げて急に立ち上がるから、幽霊さんは目を丸くして驚いてる。
私はワガママで、彼のことで心がいっぱいになって、どうしても我慢できなくなったら。
あの時みたいに彼に抱きついて、彼の心を抱きしめて
伝えるんだ。
この気持ちを。
以上で、「詩的で宗教的な調べ」は終わりになります。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。