旧宮家の男系男子を現皇族の養子にするなどして皇籍復帰させる皇室典範改正について 「愛子天皇」を差し置く意味とは?
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は衆議院議長の森英介議長は26年2月18日の記者会見で、安定的な皇位継承のための皇族数の確保策について「国家の基本に関わる極めて重要な事柄であり、先送りは許されない喫緊の課題だ」として皇室典範改正について意見を述べました。
これは旧宮家(主に1947年に臣籍降下により皇籍離脱した11宮家)の男系男子を現皇族の養子にするなどして皇籍復帰させる案のことだと思います。
これに関連することとして男系男子やマスコミの報道の仕方、宮家の復帰、軍国主義への懸念など包括的に個人的な意見を述べていこうと思います。
◇「人気」で天皇陛下を決めてはいけない
質問者:
そもそも各種世論調査では女性天皇(愛子天皇)を待望する声が8割から9割に達しているのですが、どうして女性天皇については触れることは無いのでしょうか……。
筆者:
これは僕の個人的な感覚ではありますが、「愛子天皇支持派」の方々というのは周辺知識の理解が深まることでまた別の見方ができるのではないのかな? と勝手ながら思っております。
まず、現状秋篠宮家の文仁皇嗣殿下、悠仁親王殿下という男系男子が二人おられ正規に皇統の系譜として現天皇陛下から認められています。
「人気」のみで皇位継承の順位が変わるようだと、
仮に悠仁親王殿下のお子(男系)と愛子内親王のお子(女系)だと後者が
「愛子さまのお子様なのだから、人気もあるし継いでもいいじゃないか」
ということで「女系天皇」も人気で誕生してしまう可能性が極めて高いことになるんです。
質問者:
そもそも男系の天皇と女系の天皇でどう違いがあるんですか?
筆者:
これは遺伝子の生物学の話で、男性のみがY染色体を引き継ぐことになっています。
そのために、世間一般的な認知としてY染色体の引継ぎが「王朝の系譜」として認められます。
非常に残念なことですが、現状女性でY染色体を引き継ぐことは叶いませんので、女系と言うことは「皇統の断絶」を意味するのです。例え「愛子天皇」の系譜だとしても「別の王朝」になってしまうのです。
また現状の日本が「神武天皇から一度も途切れることなく続いてきたとされる血統(万世一系)」を守ることこそが、日本の天皇の正統性だと考えていることからこの意味は非常に大きいのです。
※過去に女性天皇は8人(10代)存在しましたが、彼女たちは全員「男系の女子」であり、あくまで「中継ぎ」としての役割でした。その子供が即位した「女系天皇」の例は一度もなく、126代(神話も含め)一貫して父方を辿れば初代に行き着く「男系」で繋いできたという「実績」を重視しています。
※コメント欄で天照大神が女性のために女系なのではないか? と言うご指摘をいただきましたが、天照大神は「神道の最高神」であり、神武天皇(男性)を初代天皇即位と考えた場合の男系天皇が続いているという考え方です。
質問者:
仮にそうだとしても現天皇陛下のお子さんは愛子内親王なのですから、継ぐ権利はあっても良いのではないでしょうか?
筆者:
宮中祭祀などの伝統行事において、男系で繋いできたこと自体に神聖な意味があるとされる側面もあり、
祭祀としての要素があります。
日本は国連において天皇制が男女平等でないと言われていることが多いのですが、それならローマ教皇だって同じような存在で男性しか就任実績がないのに追及されていません。
これは日本の国連での立場がいかに低いかどうか? と言う問題だと思います。
僕は人気で皇位継承順位が決まるなら、それはもはや伝統や歴史ではなく「芸能界」と同じレベルまで引きずり出されたことになると考えており、非常に危険ではないかと考えています。
徳川政権が安定した時代だったのは最高権力者である征夷大将軍を決める制度が明確だったために政争が少なかったからです。
システマチックに決めることで大きな戦争を防いでいたと言えるでしょう。
今も論争と言うのはありますが、「南北朝時代」みたいな致命的な決裂になっていないのはこの皇位継承順位が制度で明確になっていることも要因の一つとしてあるのです(今の時代あのような分裂になったら御皇室を廃止しようと言う話になるでしょうし)。
◇旧宮家皇籍復帰は「画期的」
質問者:
筆者さんのお考えはよく分かりました。
しかし男系の皇族の方が2人しかおられない現状は”もしも”の事態が起きた時、非常に危険ですよね? 「旧宮家皇籍復帰」という案は効果があるんですか?
筆者:
まずこのいま議論されている1947年の11宮家がなぜ皇籍を離脱することになったのか? と言いますと、GHQの政策によって、皇室の予算の主要源となっていた皇室財産が国庫に帰属されたことで、皇室が財政的な大打撃を受けたんです(それ以降国会で予算を審議して収入を得るようになる)。
そのために、皇位継承の可能性の低い傍系の宮家を皇室にとどめておくには非常に厳しいと判断されたのです。
また、臣籍降下をする直前には下の順位でありながらも皇位継承順位はついていたので、財政上の問題が無ければ現在も皇室にいてもおかしくはない方々だったと言って良いでしょう。
質問者:
筆者:
ただ、旧宮家の方々は既に民間人になられておりその動向について政府は影で把握はしているものの一般的な認知度としては非常に低いものがあります。
また、必ずしも皇籍に戻りたくない方もいるでしょう。
そのために現状言われている案のステップとしての概略は
1 1947年に皇籍離脱した11宮家を臣籍降下時点での順位に基づき、旧宮家が今日まで続いていた場合を想定して順位を振り直す(現状未婚の男系男子は12人いるそう)。
2 男系男子に限り皇籍に戻るか意思を確認し、現状の皇位継承者の養子になる。
3 養子となった皇族は皇位継承資格を持たず、その時点で子がいた場合は皇族にならない。皇籍後にできた子が皇族となって皇位継承資格を持つ。
質問者:
なるほど……今の案では旧宮家から復帰された方は世間的認知度が低いので皇位継承資格を持たせないのですか……。
筆者:
ただ、公務はされると思います。成人でお年を召されていない皇族の方が少ないので非常に負担が偏っている状況には変わりないですからね。
質問者:
少子化で御公務が出来る方が減っている現状を打破できるだけでも大きそうですからね……。
※活動ができる皇室関係者の数が1994年時点で26人(平均年齢40歳)だったものが2024年時点で17人(平均年齢60歳)と高齢化と担い手減少は日本全体以上に深刻なものになっています。
そのために全体の公務総量を減らさざるを得ないほどになっています。
◇「愛子天皇待望論」への違和感
筆者:
話が変わりますが僕が「愛子内親王天皇論」に対して違和感が非常にあるんです。
なぜなら週刊誌を中心としたマスコミは現天皇陛下が即位することが決まる直前まで、
「公務を休みがちな雅子さま・愛子さま(悪)」vs「公務に励む理想的な秋篠宮家(善)」
と言う構図で報道し続けていたからです。
ところが、雅子皇后陛下になることが決まる少し前ぐらいから
「完璧で慎ましい愛子内親王(善)」vs「特権利用や金銭トラブルのイメージがついた秋篠宮家(悪)」
質問者:
確かにかつては雅子皇后の方が叩かれていた印象がありましたけど、今は気が付けば秋篠宮家の方が「トラブルメーカーだという印象」を受ける報道をされている感じがしますよね……。
筆者:
僕はこれを誠に勝手ながら「マスコミの悪意」だと思っています。
勿論、叩かれていた時代に全く非が無かったわけでは無いでしょう。
しかし、あまりにも「流れ」みたいなものを感じざるを得ないのです。
恐らくは女系天皇になるまでどこかしらか御皇室について悪い印象操作を続け、日本の基盤である「天皇制」を破壊しようと画策しているのだと僕は考えています。
正直なところ経済的に落ち目の日本にとって御皇室は今や世界に誇れる数少ないアイデンティティだと思っています。
これを守れなくては本当に日本に根付く歴史や文化の根底を破壊され、取り柄がほとんどないどうしようもない国になってしまうと思っています。
過去の僕のエッセイを見ても分かる通り僕は高市政権の政策にことごとく反対していますが、この「宮家皇籍復帰」に関しては賛成したいですね。
※悠仁親王殿下が生れた日にはめでたいことなのにマスコミの一部では「喪服」だったそうです。恐らくは彼らは「死産」を願っていたのでしょう。
質問者:
へぇ……。筆者さんが高市さんを支持するだなんて珍しいこともあるものですね……(異常気象になりゃしないかしら……)。
◇ただし、「軍国主義の旗印」に利用してはいけない
筆者:
これでも各論点について是々非々で考えていますからね。これでも(笑)。
ここからは、御皇室を守った「その後」についての懸念を述べたいと思います。
先ほどはメディアが御皇室を破壊していると申し上げましたが、ただ一つ正しい点があります。
それは「ご皇室を軍国主義のための祀り上げる」と言うリスクと言うのは付きまとうと思うからです。
今現在、東アジアの状況は日々厳しさを増しており国防や自衛隊について考える状況に否が応でもなりつつあります。
その中で「大元帥(軍の最高指揮官)」としての天皇像に事実上戻ってしまうことは避けなければいけません。
その先にあるのは「国粋主義」であり、究極的には「国のために国民よ全員玉砕しろ」という最悪の流れですからね(しかも命令した支配者層は玉砕せず暖かいところでご飯を食べている)。
質問者:
確かに今の政府の国民の見棄て方を考えるとそんなことになっても不思議ではありませんよね……。そう簡単には良いことをしてくれないからこそなおさら訝しんでしまいます……。
筆者:
生まれた国や故郷に対する愛着(愛国心)みたいなものは、ほとんど誰しもあると思います。
それに上手く付け入って搾取や踊らせてきたのが戦後の自民党だと思います。
天皇陛下を軍事力強化のプロパガンダに利用しようとする動きがあれば、それは象徴天皇制そのものを変質させる毒で別の形で国民を暗黒に叩き落すことになるでしょう。
ここら辺の議論をしっかり切り分けて行うべきなのかなと思いますね。
ということで、色々とダイジェスト的に振り返りましたが、いかがでしたでしょうか? 皇位継承問題や御皇室について色々なご意見があると思いますが、僕の意見を押し付けるつもりはありません。




