本当は怖い『三匹の子豚』 ~豚骨の争い~
あるところに子豚の三兄弟が住んでいました。
それぞれ、長男はワラの家を建て、次男は木の家を建て、三男はレンガの家を建てて住んでいましたが
資産家のおじいちゃんに可愛がられていた三男は遺言で莫大な遺産を相続し、
頑丈な鉄の家を建て兄弟全員で暮らすことにしました。
家を囲む壁も高い鉄の壁(高圧電流が流れている)で囲まれ、まさに鉄壁です。
三男はまだ更に残っている莫大な遺産(現金・株券・権利書等)を
自室の金庫に厳重に保管していました。
長男と次男は三男のことを
「この豚野郎…!」
とか思っていたかどうかは定かでありませんが、
三男は念には念を入れてBALSOCとセキコムの二つのセキュリティ会社に警備を依頼し、
完璧な警備のもと暮らしていました。これで狼なんか怖くありません。
そんな折、三男は自室トイレ内で謎の死を遂げました。
検死・司法解剖の結果、死因・心臓麻痺による自然死。事件性なし。
長男と次男は表面上は三男を悼み、火葬が終わった後、彼の豚骨を抱え涙しましたが、
これで三男の遺した遺産が自分たちに転がり込むと思うと内心、ニヤニヤが止まりません。
長男と次男はまず、
三男の部屋の金庫の鍵やセキュリティを解除するパスワードの書かれたメモを探しましたが、
どこにも見当たりません。
そんなとき狼が姿を現します。
『私が三男のカツレツさんから金庫の鍵やセキュリティ解除のパスワードなど、
財産管理の全てを一任されている。それに至った公正証書もある』
三男にとっては、兄たちよりも狼のほうがよっぽど信頼できる存在だったようです。
『なんだと!』
『ふざけるな!』
三男が残した遺産、現金・株券・権利書など100億円相当。
契約書の要約
『管財人として狼を指定する。
狼には年間1000万円(生きている限り毎年/課税後の金額))を給与/管理費として贈与する。
狼亡きあとに残った分は国庫に返納するものとする。』
納得いかない長男と次男は裁判を起こしましたが、完敗しました。
裁判費用は鉄の家と土地を売って賄おうとしましたがそれも不可で、
自費から費用を捻出することとなり、
亡くなったおじいちゃんや三男にもっと良くしておけばよかったと後悔しましたが後の祭りです。
一方、管財人を任されていた狼は毎年受け取れるお金で堅実に暮らしました。
めでたしめでたし。
その後…。
三男の死から間もなくして、長男と次男も相次いで亡くなります。
やはり事件性のない自然死であると判断されました。
請け負い人となった狼は三人の遺骨を引き取り、
その遺骨を煮出して豚骨ラーメンを作って食べました。
骨の髄まで染みわたる味がしました。
愛でた死愛でた死。